| 原題: Cove, The (入り江) 年度: 2009 製作国: アメリカ 配給: アンプラグド 監督: ルイ・シホヨス キャスト: リック・オバリー他 |
| ドキュメンタリー。和歌山県太地町は伝統的な捕鯨地区。世界の水族館向けのイルカ供給産地としても有名。アメリカ人活動家リック・オバリーらはこの地で「隠密裡に」行われているイルカ漁に注目。イルカ漁の事実、その手法、水銀が多く含まれる肉を鯨肉と「偽装して」販売していること等を世界に訴えようと撮影禁止地区に忍び込み、隠された「事実」を告発する。 |
| ドキュメンタリーとして良質。良い映画。撮影手法や一面的・断定的な視点には批判もあろうが、それらを含めて活動家なりの義憤に基づく問題提起。映画のテーマはイルカ漁や捕鯨そのものよりも「隠蔽」に重きがあり、地元や日本政府やマスコミは耳を傾ける必要。日本版テロップは不要と思った。「扇情的な」血の海には特に何も感じなかった。カンガルー映画、誰か作らないのかね。 |
雑記:
- アカデミー最優秀長編ドキュメンタリー賞
- 岩に偽装したカメラの製作にはILM系の企業が。
- 日本公開版は顔にボカシ。また、「別の統計もある」などのテロップ入り。
- 日本公開には抗議運動が起こり上映中止が相次ぐ。ニコ動で先行限定公開など話題に。
- 国際公開版に映画の最後で映画に登場する水産庁役人について”deputy of fisheries for japan fired in 2008″(解雇された)と記されている。しかし実態は通常の人事異動とのこと。日本公開版に記載なし。

ザ・コーヴのWikipediaの中の「太地町でのやらせ撮影」を読まれましたか?これらがたとえば半分だけ事実だとして、それでも映画を高く評価するということでしょうか。映画の出来がよければ、それがどのような手法で撮られたものかはあまり問題ではなく、撮られた対象者(ごく普通の人たちです)の立場は優先して考慮すべきことでもなく、とにかく作品は観られるべきだと思われますか。同時に、イルカ漁について議論するために絶対この映画を観ておく必要があると思われますか?(非難ではありません。素朴な疑問です。私は表現の自由も大切だし、イルカ漁はやめてもいいのではと考えている者です。めんどくさかったらスルーしてください)
quelqun様コメントありがとうございます。
撮影手法や事実誤認(あるとして)は確かに問題はあると思いますが、それと映画の評価は別だと思っております。ドキュメンタリー映画は、表現者なりの問題提起を伴うことが普通ですので、反対の立場(この映画でいうと地元の方や多くの日本人たち)には耐え難いものになるときもあると思っております。マイケル・ムーアにカメラを向けられたチャールトン・ヘストンのようなものかと。 それが正しいかどうかの判断をするためには観る側に一定のリテラシーが求められるのでなかなか簡単ではないと思いますが、そうやってある表現が批判にさらされることで、全体としての人間の英知が高まるのではないかと思っております。 やらせが事実であれば問題だと思います。 最近TBSが(また)やらせをやりましたが、どこに許される線が引かれるのか、難しいと思います。
ドキュメンタリー映画としてこの映画は、人々の目をこの問題に向けさせ、議論を喚起するという目的をある程度達成したと言えます。私自身は映画で展開されたイルカ漁批判や一面的な視点には賛成しておりません。一方でイルカ漁の存在自体が多くの日本人に知られていないことは問題だと思っております。レビューで書いたとおり、この映画はイルカ漁批判というよりはどちらかと言えば、それらの事実が「隠蔽」されていることが制作者の本当の意図と捉えました。 であるならば、やはりこの映画は積極的に公開し多くの日本人がそれぞれの意見を持つべきではないでしょうか。 この映画が唯一の手段である必要はもちろんありませんが、少なくとも、イルカ漁が間違っていないのであれば、イルカ漁もこの映画も隠すのはおかしいと思います。
ちなみに、私は日本の今の商業捕鯨には反対の立場です。