June, 2010 のアーカイブ

ALI アリ

原題:
Ali (アリ)
年度:
2001
製作国:
アメリカ
配給:
日本ヘラルド/松竹
監督:
マイケル・マン
キャスト:
ウィル・スミス/ロン・シルバー/ジェイダ・ピンケット=スミス/ポール・ロドリゲス/ジェイミー・フォックス/ジェフリー・ライト/ジョン・ボイト
ストーリー
ボクシング界の英雄モハメド・アリの半生。本名のカシアス・グレイで台頭し始めた1964年。挑発的な言動と華麗なフットワークでのし上がった彼はヘビー級王座に付く。ムスリムだった彼は本名をモハメド・アリに改め時代の寵児に。ベトナム戦争への徴兵を拒否し逮捕され法廷でも争うことになり、差別的な社会に対して気炎を吐く。

 

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5
役者も良かったしカメラワークも見事だし特にファイトシーンの臨場感には唸るけど、こう心にこないのは何故だろう。長い割にはちとダラダラしてませぬか。人生の大事なパートを百花繚乱的に詰め込んだけれど、アリの背骨というか「スジ」が掴みづらかったのかな。何のために戦うのか。人種差別?公民権?名声?伝記の難しさかも。

雑記:

  1. W・スミスは体重20キロ近く増やし1年にわたる長期間トレーニングをこなした。イスラム法学やアクセントも含む。
  2. W・スミスとM・マン監督は、製作予算超過分をギャラから提供することを申し出た

アイアンマン2

原題:
Iron Man 2 (アイアンマン2)
年度:
2010
製作国:
アメリカ
配給:
パラマウント
監督:
ジョン・ファブロー
キャスト:
ロバート・ダウニー・Jr./グウィネス・パルトロウ/ドン・チードル/ミッキー・ローク/スカーレット・ヨハンソン/サム・ロックウェル/サミュエル・L・ジャクソン

シリーズ:
1/2

ストーリー
自ら開発した装着型軍事兵器「アイアンマン」にて「軍事の民主化」を成し時代の寵児となったトニー・スターク。その続編。自己顕示欲旺盛なトニーは名を冠したイベントを開催し得意満面。最強兵器の独占状態を快く思わない保守派議員やライバルの軍事企業からは睨まれる。そんななか、父の恨みをスターク家に持つロシアの天才イワンも同等兵器を完成させようとしていた。

 

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7
吹替。2から。これはこれで面白い。ゴテゴテしたメカニックやわざとらしく近未来風なコンピュータインターフェース(スキャンすげえ)。ノリの軽い兵商S・ロックウェルの怪演ドハマリ過ぎ。アメコミの王道ひた走るストーリー。アンジーを目指したか、美しい武闘派S・ヨハンソンが大分食っててキャラ立ちおめでとう。1観ます。

雑記:

  1. 運転手はJ・ファブロー監督自身。結構活躍。
  2. コミックで有名な「アタッシェ収納スーツ」が登場
  3. イワン役のリサーチの為、M・ロークはモスクワの刑務所を訪問。スラブアクセントも学んだ。
  4. 「1」でローディー役だったテレンス・ハワードはD・チードルに交代。ハワードとマーベル間のトラブルが原因
  5. 「1」でトニー役の候補だったS・ロックウェルが本作でアンチヒーロー(武器商)として登場

マンハッタン保育園お受験戦争 (Nursery University)

原題:
Nursery University (保育園大学)
年度:
2008
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
マーク・H・サイモン/マシュー・メイカー
キャスト:
-
ストーリー
ドキュメンタリー。ニューヨーク・マンハッタン。9・11後のベビーブームで幼児が急増。高学歴の親たちはアイビーリーグの「切符」を目指し有名私立保育園への入園に血眼。年数万ドルの授業料と高い競争率もなんのその、願書の入手合戦から熾烈な競争がスタート。入園コンサルタントなるアドバイザー料金も馬鹿にならないよ!

 

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6
大都市の幼児教育が抱える悩みは洋の東西を問わずこんな感じかもね。「子供の自主性」「個性尊重」「学歴偏重の弊害」「カネ以外の価値観」・・・云々の美辞麗句もわが子の教育のリアリティの前には関係ねぇ。幸福の基準を一歩引いて考えられる程には先進国の成功者たちは成熟していないということか。「子供の為」という言葉の一人歩きをいつも憂う。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. M・H・サイモン監督は”After Innocence”でサンダンス特別審査員賞。Foxテレビで法務担当という経歴も。

クライマーズ・ハイ

海外タイトル:
Climber’s High, The (国際=登山家の高揚)
年度:
2008
製作国:
日本
配給:
東映/ギャガ
監督:
原田眞人

キャスト:
堤真一/堺雅人/小澤征悦/田口トモロヲ/堀部圭亮/螢雪次朗/高嶋政宏/山崎努

ストーリー
520人の命を奪った世界最大の航空機事故、日航機墜落事故(1985年8月)。事故の惨劇を伝える地元新聞社の記者たちの姿を描く。群馬県のローカル新聞社「北関東新聞社」の遊軍記者・悠木は全権デスクを命じられ早速各所に指示を飛ばす。編集局や販売局や上層部と対立しながらも地元ジャーナリストの意地で渾身の紙面を作ろうと奔走。

 
 

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8
原作・NHKともに未見。ローカル新聞社の気概と緊張感が表現されていて面白かった。報道者の使命とか背後の黒幕等にあえて切り込まず、「報道現場で起こったであろうこと」に絞ったのは良い。逆に、息子や登山や社長の醜聞など報道以外の要素が蛇足に思えるのが残念(特に息子)。演出惜しいす。役者の熱いリアルな演技はとても好き。

雑記:

  1. 日本アカデミー賞主要賞総ナメ
  2. 横山秀夫の同名小説をNHKがドラマ化、さらに本作で映画化。
  3. 悠木が記者を志すきっかけとして言及した映画は「地獄の英雄」(71/B・ワイルダー)
  4. 中曽根総理の靖国参拝を報じるニュースの声は露木茂

座頭市

海外タイトル:
Zatôichi (国際=座頭市)
年度:
2003
製作国:
日本
配給:
松竹
監督:
北野武

キャスト:
ビートたけし/浅野忠信/柄本明/石倉三郎/岸部一徳/大楠道代/ガダルカナル・タカ

ストーリー
盲目の侠客、市の物語「座頭市」の北野風アレンジ。市がたどり着いた宿場町。最近は銀蔵一味の仮借ない支配で人々は苦しめられている。市は子供のころ家族を盗賊に惨殺され復讐に燃える芸者姉弟と出会う。一方、病床の妻の為、銀蔵一味の用心棒に志願した剣客・源之助もまた、人を殺めることが本分。

 
 

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6
饒舌な北野作品、というレアな体験。金髪もタップもアリ。ひとつのエンタメ作品としては楽しめたけれど「勝新座頭市の大胆なアレンジ」という位置づけは旧作知らない人には何のこっちゃ。脚本が王道過ぎて深読みしそうになる。役者たちのヘタウマだけど雰囲気に妙にマッチする感じは不思議。個人的には寡黙な北野さんの方が好きかも。

雑記:

  1. 久石譲ではなく鈴木慶一が音楽担当
  2. 「うまいのかまずいのかわからないものばかり作ってるけどうまい親子丼とか作れるの?」という疑問に対して親子丼を作ってみた。北野監督の弁。
  3. 血の描写はほぼCG。その点は批判もされたが監督は意図的。CG担当への指示:「スクリーンに花が咲くように」

冒険者たち

原題:
Aventuriers, Les (冒険者たち)
年度:
1967
製作国:
フランス
配給:
大映
監督:
ロベール・アンリコ
キャスト:
アラン・ドロン/リノ・ヴァンチュラ/ジョアンナ・シムカス/セルジュ・レジアニ
ストーリー
パリの近くに工房を構え、複葉機のアクロバット飛行で飛び廻るマヌーとレーシングカーの新型エンジンの開発に没頭するローラン。そんな自由人2人の前に現れた前衛芸術家レティシア。3人はコンゴの海底に眠る宝を探しにアフリカへ。それぞれの夢と微妙な恋愛感情の交錯。宝を狙う別の一味が彼らを追う。

 

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8
青春映画の金字塔という評価も納得。自由と夢。挫折と栄光。恋愛。空と海。スピード、富。それらがごちゃごちゃしてる青春の蒼さ。序盤中盤終盤のメリハリと哀切に満ちた音楽が良い効果。要塞島の強烈な印象。A・ドロンに目が行ってL・ヴァンチュラと三角関係になってることに気づかなかった(失礼)。

雑記:

  1. ジョゼ・ジョヴァンニの同名小説の映画化。
  2. テーマ曲はフランソワ・ド・ルーベ
  3. 要塞島はフランスのTV局が買い上げてクイズ番組の舞台に。
  4. J・シムカスはシドニー・ポワチエと結婚して引退。
  5. 「グランブルー」のエンゾの水葬シーンはオマージュ

隔絶北朝鮮の秘密のベール取り払う (Kimjongilia)

原題:
Kimjongilia (キムジョンイルファ)
年度:
2009
製作国:
アメリカ/フランス/韓国
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
N・C・ハイキン
キャスト:
カン・チョイファン/イ・シン他
ストーリー
ドキュメンタリー。北朝鮮脱走者(脱北者)の証言を集めた同国の実態。国の至る所に強制収容所。指導者の悪口は三代にわたって収容所行き。そこでのタダ働きは経済の基盤を成すほど。過酷な生活に耐えかね脱北を試みる者多数。韓国行きは壁が厚い。首尾よく中国に侵入できても見つかれば強制送還、銃殺刑。その恐怖。

 

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10
かなり良質なドキュメンタリー。かの国の生々しく過酷な現状。拉致など屁でもないんだろうな。ただ、恐怖政治に洗脳された北朝鮮国民を弄び国際政治の道具とする中国は何なのかと思う。挟まれる舞踏映像とタイトルのポップさと、この内容が示すどす黒さの対照が据わりの悪い皮肉となって印象に残る。日本の表現者にこれが創れない理由はなんだろう。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. サンダンスでワールドプレミア
  3. ハイケン監督の初ドキュメンタリー
  4. 金正日花(キムジョンイルファ)は、日本の植物学者・加茂元照氏がキムジョンイルの46歳の誕生日を祝って贈呈。ベゴニアをベース。

サーフ界伝説の家族の裏側と本音 (Surfwise)

原題:
Surfwise (サーフィン一色)
年度:
2007
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
ダグ・プレイ
キャスト:
ドリアン・パスコヴィッツ他
ストーリー
ドキュメンタリー。医学部卒のエリートユダヤ人、ドリアン・パスコヴィッツは欲望渦巻く資本主義に嫌気が差し、愛する妻ジュリエットと9人(!)の子供たちとともにキャンピングカーで移動しながらサーフィン漬けの生活を始める。独自の性哲学と独特な教育方針。そのサーフ技術と生活スタイルが全米のカリスマにまでなるが、内部に湧き出る矛盾。

 

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7
華やかな生活に潜む矛盾や皮肉が表面化する後半がかなり見せ所。理想郷を目指したクレイジーな父は現実と社会に溶け込めない子供たちからは感謝されない。好きなことをやっても人は後悔する。どんな現代の預言者でも現実と折り合いを付けざるを得ない。「ではなぜ私たちを撮るのだ」というドクのセリフが印象に残る。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. 2007年トロント映画祭のプレミア上映で家族が勢ぞろいする予定だったが悪天候で飛行機が飛ばず4人が不参加。

グラン・トリノ

原題:
Grand Torino (「グラントリノ」)
年度:
2008
製作国:
アメリカ
配給:
ワーナー
監督:
クリント・イーストウッド
キャスト:
クリント・イーストウッド/ビー・バン/アーニー・ハー/クリストファー・カーレイ/ジョン・キャロル・リンチ
ストーリー
妻に先立たれた朝鮮戦争退役軍人ウォルト。勤め上げたフォードの修理工だった過去を懐かしみ、亡妻の配慮で気にかける神父を追い返す日々。頑固な差別主義な老人である彼は周りから疎まれ孤独。唯一愛するのは72年型フォード・グラントリノ。そんな彼の日常に、隣人のモン族の家族が関わることになる。

 

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8
正統派のヒューマンドラマという感じ。黒人チンピラ3人に囲まれたり血を吐いたり怒りでコップ落としたりなど演出がややあざといのが気になるけれど老年のC・イーストウッドを最大限に生かす良作。逆に、「俳優イーストウッド」に共感できなければ駄作かも。監督イーストウッドとしてはW・アレンばりの安心感はさすが。俳優よりフィルムメーカーとして名を刻むか。

雑記:

  1. スーの恋人トレイ役はクリントの息子スコット・イーストウッド。また別の息子は本作で作曲に携わっている。
  2. コワルスキーはポーランドでは非常にありふれた姓であり、ポーランド系を表す最も判りやすい指標。
  3. ミシガン州の映画製作振興法成立後に最初に作られた映画の一つ。
  4. モン民族の言葉はほぼアドリブ。

Toyland おもちゃの国

原題:
Spielzeugland (おもちゃの国)
年度:
2007
製作国:
ドイツ
配給:
ビジュアルボイス
監督:
ヨヘン・アレクサンダー・フライダンク
キャスト:
ジュリア・イェーガー/セドリック・アイヒ/トルステン・ミハエル/クラウディア・ヒュプシュマン
ストーリー
短編。ナチス統制下のドイツ。一緒にピアノを習う友達同士のハインリヒとデビッド。実はデビッド一家はユダヤ人で明日連行されることが決まっている。ハインリヒの母は息子に「デビッドは明日からおもちゃの国に行く」という嘘をつく。ハインリヒは自分も行きたいとねだるが当然拒否される。ハインリヒは母に内緒で付いていくことを決める。

 

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8
佳作。シンプルな短編ながら、列車の扉を開けたときに人々が交わす無言の、だけど人間愛にあふれた雄弁な会話が本当に心に残る。編集も気持ちよい。序盤と終盤にひとつずつ表れる「良い嘘」の対比が見事。そして冒頭とラストのピアノ。このシンメトリーには唸る。

雑記:

  1. アカデミー短編実写賞受賞
  2. スタッフもキャストも初めはノーギャラ。制作費は30000ユーロ。