March, 2010 のアーカイブ

NINE

原題:
Nine (9)
年度:
2009
製作国:
アメリカ/イタリア
配給:
角川映画/松竹
監督:
ロブ・マーシャル
キャスト:
ダニエル・デイ・ルイス/マリオン・コティヤール/ペネロペ・クルス/ジュディ・デンチ/ニコール・キッドマン/ケイト・ハドソン/ソフィア・ローレン/ステイシー・ファーガソン
ストーリー
ブロードウェーミュージカル「NINE」映画化。著名な映画監督のグイドは新作「イタリア」の脚本が全く進まない。周囲から押し寄せる期待の大きさや最近の凋落ぶりへの容赦無い指摘にどん底になり現場から逃げ愛人に走るなどする。悩むグイドを訪れた救世主のはずの妻は、グイドの短絡さに愛想を尽かす・・・。

 

評価
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9
気に入った。D・デイ・ルイスの巧さとカッコよさが際立つ。「役者が揃った!」って叫びたくなる脚本運びのウマさ。豪華な役者の影でなにげに印象的なライティングやカメラが光ってるし、歌もかなり良い。映画人の不器用さをメタ的に幾重も表現。そしてM・コティヤール、知りませんでしたが宜しく。ミュージカルも良さそうだけど映画も良い。

雑記:

  1. F・フェリーニ「8 1/2」をミュージカル化した「NINE」の映画化。ややこしいw
  2. アンソニー・ミンゲラが途中で脚本を引き取ったが、途中で死。遺稿となる。
  3. 脚本家ストライキの影響をモロに受けた。何度か延期。
  4. 有名女優クラウディア役ははじめキャサリン・ゼタ・ジョーンズでオファー。ただ、あまり大きな役でないため降板。デミ・ムーアやジュリエト・ビノシュもオーディションを受けたが最終的にN・キッドマン(出産2週間後にリハーサル)
  5. 2009年に公開された映画でタイトルに数字の9を使った4本中の1つ。あとは「第9地区」など。
  6. 標題歌「Nine」は本作ではカットされた

30年間虐待を続けた神父とかばい続けた教会 (Deliver Us from Evil)

原題:
Deliver Us from Evil (我らを悪から救いたまへ)
年度:
2006
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
エイミー・バーグ
キャスト:
オリヴァー・オグレディ他
ストーリー
ドキュメンタリー。1970年代後半から90年代にかけ北カリフォルニアで起こったカトリック神父による子供への性的虐待の数々。オグレディ神父は、信仰に篤い親を信用させた上で教区の少年少女へのいたずらやレイプを繰り返す。教区の司教は事実を隠蔽し、同神父を別地区に移動させるだけ。繰り返される悲劇。被害者やマスコミが声を上げたときには既に多くの被害者が。

 

評価
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9
意義深いドキュメンタリー。「旧教」の名を体現する隠蔽体質、魂を救わない信仰への不信、故郷の地でのほほんと暮らすオグレディ。。。しかもこれが彼だけの問題ではないことは衝撃的。硬直した組織がいかに人間の本性をも固定化させるか。篤いはずのジョウノ氏の「神も信仰も人間が作り上げたもの」という叫びは実に重い。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. 長編ドキュメンタリー賞ノミネート(06)。同年受賞は「不都合な真実」
  3. 聖職者による性的被害は、米国内だけで10万人を超える被害者を数える。しかも80%は沈黙してるとされる。
  4. ベネディクト16世は虐待を隠匿しているとして訴追されたが、ブッシュ大統領への嘆願により免訴された

ペーパー・ムーン

原題:
Paper Moon (張りぼての月)
年度:
1973
製作国:
アメリカ
配給:
CIC
監督:
ピーター・ボグダノビッチ
キャスト:
ライアン・オニール/テータム・オニール/マデリーン・カーン/ランディ・クエイド
ストーリー
1935年のカンザス。母親を亡くした9歳のアディは、母の愛人で、未亡人に聖書を売る詐欺師モーゼに連れられミズーリの親戚宅まで行くことになった。モーゼとモーゼ以上にしたたかな少女アディの「実の親子かも知れない」珍道中。酒の密売人を出し抜いて大金を手にするがバレてピンチ!

 

評価
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8
シャープの効いたモノクロがいい味出してる。「可愛い」だけじゃないT・オニールの既に貫禄ある演技。あとでじわじわくる佳作。張りぼての月は本物に。こだわりの長回しが随所にあるがカメラワークが良い意味で気にならない。「大人と子供の淡い愛情モノ」に分類されるのだろうか。(子供のタバコに眉をひそめないタイプなら)プレゼントしたくなる映画。

雑記:

  1. T・オニールは本作でアカデミー助演女優賞(10歳)。2010年時点でいまだオスカー受賞の最年少記録。
  2. ほとんどのシーンに登場する役者(T・オニール)が「助演」なのは珍しい
  3. コントラストの強いモノクロ映像は監督と仲が良かったオーソン・ウェルズのアドバイス。
  4. 原作「Addie Play」は人気小説だったが監督が歌曲から着想を得て「ペーパー・ムーン」に。それに太鼓判を押したのもウェルズ。
  5. T・オニールが吸っているタバコはレタスでできたノーニコチンもの。
  6. ドライブ中にふたりが喧嘩になる長いシーンは、39テイク。

ザ・マジックアワー

海外タイトル:
Magic Hour, The (国際=マジックアワー)
年度:
2008
製作国:
日本
配給:
東宝
監督:
三谷幸喜

キャスト:
佐藤浩市/妻夫木聡/深津絵里/綾瀬はるか/西田敏行/小日向文世/寺島進/戸田恵子/伊吹吾郎/香川照之

ストーリー
ギャングが牛耳る「まるで映画のような」港町・守加護(すかご)。ボスの手下でホテル支配人の備後はボスの女に手を出したことがバレてしまった。絶体絶命だが命が助かる交換条件は対立組織が擁する伝説のスナイパー「デラ富樫」を連れてくること。しかし見つかるわけがない。備後は売れない俳優・村田にギャング映画の撮影だと思い込ませてボスに会わせ危機を回避しようとするが・・・。

 
 

評価
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8
痛快だなあ。おもしろい。三谷監督やりたい放題じゃないすかw 映画なのに「聞こえない設定の舞台袖」で演じさせてみたり戸田恵子何回もお色直しさせたり。虚構それ自体を虚構に仕立て上げる手腕さすが。「ありえなさ」こそこの映画の醍醐味。人を演じる人を演じる」佐藤浩一はヤルね。

雑記:

  1. 市川崑が映画監督役で出演。最後の作品となった。
  2. 劇中映画「黒い101人の女」は市川崑「黒い十人の女」(61)の「続編」
  3. 西田敏行はラスト10分だけアドリブが「解禁」された
  4. 戸田恵子演じるマダム蘭子は出演シーンごとに衣装変更。ホクロも変えてる。
  5. 深津絵里が歌う曲は「I’m Forever Blowing Bubbles」 実際に深津が歌ってる

ご存知お笑いテロリスト、今度は新自由主義経済に挑戦!! (The Yes Men Fix the World)

原題:
Yes Men Fix the World, The (イエスメンが世界を正す)
年度:
2009
製作国:
フランス/イギリス/アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
アンディ・ビックルバウム/マイク・ボナーノ/カート・エングフェール
キャスト:
アンディ・ビックルバウム/マイク・ボナーノ他

シリーズ:
1/2

ストーリー
実在の団体を装い偽情報を発表するなどして物議を醸す2人組「YES MEN」が、今回は「自由主義経済信奉」を相手に世界で暴れまわる。「史上最大の産業事故」であるインド・ボーパールのガス爆発事故の賠償未払問題を糾弾すべくダウ・ケミカル社の幹部に成りすまし勝手に巨額の賠償を発表。その他エクソンやカトリーナ復興支援企業の強欲をユニーク手法で突き上げる。

 

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6
ぶっちゃけ食傷気味であり二番煎じ感も否めないけど、彼らの行動力には相変わらず脱帽。フリードマン流の新自由主義イコール強欲な企業の量産、という単純図式もある程度致し方ないか。内容か編集かどちらかに物足りなさを感じるのは自分が純粋じゃない証か?M・ムーアにも言えるけれど、統制経済の負の側面を描写しなければ不公平と思う。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. 劇中の「サバイバボール」でイーストリバーに未許可で浮いていたが警察が阻止
  3. その後も、米商工会議所、カナダ環境大臣などに成りすました(コペンハーゲンのCOP15で勝手に削減目標発表)

ハート・ロッカー

原題:
Hurt Locker, The (傷ついた箱=”棺桶”)
年度:
2008
製作国:
アメリカ
配給:
ブロードメディア・スタジオ
監督:
キャスリン・ビグロー
キャスト:
ジェレミー・レナー/アンソニー・マッキー/ブライアン・ジェラティ/ガイ・ピアース/レイフ・ファインズ/デビッド・モース
ストーリー
イラク戦争下のバグダッド。米軍の爆発物処理特殊部隊は巧妙に隠された爆発物を探知しそれを慎重に処理する任務。事故死した前任者に代わり新しく赴任した新リーダー、ジェームズ二等軍曹は爆発物処理のスペシャリストだが、命知らずな任務遂行ぶりに部下のサンボーン軍曹らは振り回される。

 

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9
名作だと思う。汗や息やプレッシャーなどを手持ちのコマ切れ映像で丹念につなぎスローの使いどころも巧い。「きっとこちらが正解なのだろう」と思わせる描写(ガンスコープ越しに命中観察できないので補佐必要!普通に生活してる横で戦争してる)など非常に巧い。アメリカ礼讃という批評は的外れだと思う。むしろ逆では。戦争の是非すら発せず。戦争映画に新視点。

雑記:

  1. アカデミー作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、編集賞他。K・ビグロー女性監督賞初。その他各国賞。
  2. ヨルダンとクウェートで撮影。クルーのスケジュール調整に相当難儀。
  3. 2010年時点で、オスカー作品賞としては最も低予算の映画。

マッドマックスを生んだオーストラリアB級映画のメチャクチャな世界 (Not Quite Hollywood)

原題:
Not Quite Hollywood: The Wild, Untold Story of Ozploitation! (ハリウッドなんかじゃねえぜ: オージー低予算映画の語られないナマの真実)
年度:
2008
製作国:
オーストラリア/アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
マーク・ハートレー
キャスト:
クエンティン・タランティーノ/ブライアン・トレンチャード・スミス/デニス・ホッパー他
ストーリー
ドキュメンタリー。「ジャンル映画」とも呼ばれるオーストラリア発の低予算映画(”B級映画”)の数々。1970-80年代に大量生産されたそれらは、お決まりのヌード、過激なバイオレンス、ド派手なカーアクション、、スタンス無しで怪我人も続出。最近再び注目されるB級映画への熱い思いを大ファンのタランティーノらが語る。

 

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5
ひとつ知識としては面白かった。モラルの高まりや教育意識の変革などで随分と「つまらなくなった」ハリウッドに比べれば、確かに全力投球でひとつの「芸術」を作り上げる意気込みは愉しい。本作が豪映画ということからも、CGや3Dのハイバジェット映画に目を細める郷愁を表現した記念碑的作品なのだろう。でもぶっ飛んで語るタランティーノのノリはすごい。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. オーストラリア映画協会のAFI賞受賞(最優秀ドキュメンタリー)
  3. 映像を挿入した映画は1970年から2008年まで72本に上る

スクール・オブ・ロック

原題:
School of Rock, The (「スクール・オブ・ロック(ロックの学校)」)
年度:
2003
製作国:
アメリカ
配給:
UIP
監督:
リチャード・リンクレイター
キャスト:
ジャック・ブラック、ジョーン・キューザック、マイク・ホワイト
ストーリー
落ちこぼれロッカーのデューイはバンドもクビになり家賃も払えず失意。同居してる臨時教師ネッド宛ての臨時教師の電話を受けネッドに成りすまし一流私立小学校に乗り込む。子供たちに反骨精神たる「ロック魂」を教え込みバンド大会の出場を目指す。気難しい校長や親たちには隠れて着々と子供たちの実力は上がっていく・・・。

 

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7
普通に楽しめた。ストーリー自体はよくある「はみ出し教師が最初荒くれるがやがて生徒の、そして最後はみんなの心をつかむ」系の定番だけど、J・ブラックの思い切り演技と子供たちのリアルな巧さが飽きさせない。「ロック」と「体制」の永遠の対立は最近おとなしいね。それが時代なのかもしれない、とどちらかと言えば秩序重視派の一人として思いました。

雑記:

  1. 子供たちは実際のバンドメンバー。従って実際に演奏。
  2. ネッド役M・ホワイトは脚本も。J・ブラックの友人で彼を想定して脚本を書いた。
  3. 学校の親たちは全員ボルボに乗っている。
  4. 当初はミュージカル映画のつもりだった。

選挙

海外タイトル:
Campaign (国際=選挙運動)
年度:
2006
製作国:
日本
配給:
アステア
監督:
想田和弘

キャスト:
山内和彦/山内さゆり/小泉純一郎/川口順子

ストーリー
神奈川県川崎市の市議補選に立候補した男性に密着したドキュメンタリー。2005年に小泉郵政選挙で国政に大うねりが起こった直後の川崎市議補選。コイン商を経営していた山内和彦は自民党の公募面接に合格。政治のシロウトが選挙運動に奮闘することに。後援会や党上層らとの慣れぬやりとり。妻をも巻き込んでのドブ板。。

 
 

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6
政策よりとにかく名前の連呼。「妻」ではなく「家内」と呼べ、地元の運動会や祭りにも参加して住民目線をアピール。「何をしても何もしなくても怒られる」。。日本のドブ板選挙の「異常性」が際立ち、それが明らかな製作意図だけど(つまりハナから海外向け)、それを異常だと切り捨てることはしたくない。山内氏の人の良さが政治の世界の一筋の光明と観たい。

雑記:

  1. ベオグラード・ドキュメンタリー映画祭グランプリ。その他ベルリン含む各国映画祭招待作品。
  2. 監督は山内氏と東大の入学年次が同じ友人。
  3. 2007年の任期満了で退任。出馬せず。

20世紀少年 第2章/最後の希望

海外タイトル:
20th Century Boys: Chapter Two – The Last Hope (国際=20センチュリー・ボーイズ: 第2章-最後の希望)
年度:
2009
製作国:
日本
配給:
東宝
監督:
堤幸彦

キャスト:
豊川悦司/常盤貴子/平愛梨/香川照之/ユースケ・サンタマリア/藤木直人/石塚英彦/宇梶剛士/小日向文世/佐々木蔵之介/森山未來/古田新太/小池栄子/木南晴夏/ARATA/前田健/荒木宏文/六平直政/佐藤二朗/片瀬那奈

シリーズ:
1/2/3

ストーリー
浦沢直樹の人気漫画のアニメ映画化第2章。「血のおおみそか」事件を機に世界の頂点に登りつめ崇められる「ともだち」。事件の首謀者とされた遠藤ケンジは行方をくらませたが、その姪カンナは高校生に成長し、ともだちの欺瞞を暴きたい。一方かつての幼馴染のオッチョ、ユキジ、ヨシツネたちは、発見された「しんよげんの書」の実現を阻もうとする。

 
 

評価
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4
「原作といかにそっくりか」を楽しむ以外の楽しみ方ができなかった。原作を知らないで鑑賞すれば、恐らく宗教への偏見に満ちた駄作、と斬っていたと思う。ローマ法王までもがともだちの死を悼むなど荒唐無稽以外の何者でもないと思ってしまった。とは言え、エンタテイメント作品としては愉しめる。金もそれなりにかけていて飽きさせない。でも、それだけ。

雑記:

  1. TV放送時には映画版になかったシーン(新たに撮影)がある。
  2. サダキヨ(ユースケ・サンタマリア)は本作のみ出演。