February, 2010 のアーカイブ

パララックス・ビュー

原題:
Parallax View, The (パララックス視点)
年度:
1974
製作国:
アメリカ
配給:
CIC
監督:
アラン・J・パクラ
キャスト:
ウォーレン・ビーティ/ウィリアム・ダニエルズ/ヒューム・クローニン/ステイシー・キーチ・Sr
ストーリー
次期大統領選での当選が目されていた候補が暗殺され、犯人とされた男も転落死。事件調査の結果、完全な単独犯と「断定」される。ところが事件の関係者が次々と変死。「反社会派」とされる新聞記者ジョーは独自に調査を進めると、背後には巨大なテロ組織の存在が見えてきた。。。

 

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7
W・ビーティはこの手の役が似合う。入会テストの「だんだん意味がずれていく映像の奔流」の薄気味悪さ。何も語らない演出。陰謀組織がないなんてふざけるなと言わんばかりのパクラ監督の政治的こだわり。タイトルも暗示的でメッセージ性が高い。そして、引きと寄りを巧みに使い分けるカメラ。「大統領の陰謀」と区別できないのが難点。

雑記:

  1. 冒頭のパレードシーンは、ロバート・ケネディ暗殺事件のコピー
  2. 「コールガール」(71)、「大統領の陰謀」(76)と合わせパクラ監督のスリラー三部作
  3. 冒頭の「独立記念日」パレードは7月のシアトルだが、木々に葉がないのは不自然。

コララインとボタンの魔女 3D

原題:
Coraline (コラライン)
年度:
2009
製作国:
アメリカ
配給:
ギャガ
監督:
ヘンリー・セリック

キャスト:
ダコタ・ファニング/テリー・ハッチャー/ジェニファー・ソーンダース/ドーン・フレンチ/キース・デビッド

ストーリー
3Dストップモーションアニメ。両親と古い屋敷に引っ越してきたばかりの少女コラライン。近所の人たちは風変わりな人たちばかり。両親は忙しくて構ってくれない。不満を抱えたコララインは偶然「別世界」への隠しドアを発見。理想的な両親がいて奇妙な世界。好奇心旺盛なコララインは大満足。ただ気がかりなのはそちらの世界ではみんな眼にボタンを嵌めている・・。

 
 

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7
ほんわかとした「飛び出す絵本」。一通り世界観をつかめばあとは何も考えず映像を愉しめる。豊かな表情の人物が魅力的なのと音楽が個人的にお気に入り。3Dの必然はあまり感じなかったけど、独特な世界観と漂う雰囲気は嫌いじゃない。造形も結構好き。ただ、一番気合が入ってて良かったシーンは冒頭で人形を紡ぐところでは?

雑記:

  1. ニール・ゲイマンのベストセラー児童文学。ヒューゴー賞受賞。
  2. H・セリック監督は、「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」の監督。
  3. 1:40という上映時間は、2010年2月時点でストップモーションとしては最長。
  4. 初の全編3Dストップモーション。
  5. 冒頭の引越し業者に渡されるチップの1ドル札。肖像はH・セリック監督。
  6. 2年間の準備(プリプロ)を経て18ヶ月撮影。
  7. 「コラライン」という名前は相当珍しいはずだが、クレジットにひとりだけ「コラライン・タシー」というスタッフがいる。

600万のクリップを集めた田舎の中学校が起こした奇跡 (Paper Clips)

原題:
Paper Clips (ペーパー・クリップ)
年度:
2004
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
エリオット・バーリン/ジョー・ファブ
キャスト:
トム・ボスリー/リンダ・フーパー/サンドラ・ロバーツ他
ストーリー
ドキュメンタリー。米テネシー州ウィットウェルは、人口わずか1600人の典型的南部の白人の町。異人種は身近にはいない。この地の中学校長の発案でホロコーストの教育が始まった。殺されたユダヤ人は600万人。どうもその数にピンと来ない。では彼らの無言の抵抗の象徴だったクリップを600万個集めてみよう。全米、全世界がそれを知り、やがて多くのクリップが集まる。

 

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6
幾分抹香臭いけど、地域が一体となって取り組む様子は良いし、だからこそ生存者たちの生の言葉は胸を打つ。クリップ集めに奔走する前半のほうが良かった。制作者の立ち位置が知りたかった。共同募金に声を嗄らす中学生の怖さ、あるいは世論が急に熱狂する怖さと同種の空気を感じないでもない。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. 最終的に届いたクリップは3000万個を超えた。
  3. 40マイル先には1925年に進化論を教えた先生の裁判があった町。100マイル先にはKKKの根拠地。
  4. クリップを送った著名人:G・W・ブッシュ、ビル・クリントン、ビル・コズビー、スティーブン・スピルバーグ、トム・ボスレー、トム・ハンクスなど

運命じゃない人

海外タイトル:
Stranger of Mine, A (国際=見知らぬ人)
2004
製作国:
日本
配給:
PFFパートナーズ
監督:
内田けんじ
キャスト:
中村靖日/霧島れいか/山中聡/山下規介/板谷由夏
ストーリー
恋人に逃げられたばかりの宮田は、友人の探偵・神田に突然呼び出されるが大した用事ではない。神田がその場で声をかけた女性・マキは、婚約者と別れ家もなく消沈していたところだった。2人は宮田のマンションに泊まることになるが、そこへ荷物を取りに来た元恋人あゆみが現れ事態はややこしくなる。

 

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8
単なる安い恋愛モノかと思いながら観ていたが意外な展開にびっくり。複数視点の複数時間軸はパルプフィクションみたいで好き。脚本にヒネリが効いていて「鋭いな」と思わせる。中村靖日氏の容姿を生かした素朴な演技がステキ。人間の「表の顔」と「裏の顔」は、普段は判らないが神視点なら可能!もう一回観たい。

雑記:

  1. PFFスカラシップ
  2. カンヌ映画祭批評家週間正式出品。フランス作家協会賞など4賞受賞。
  3. 内田監督長編デビュー作

クラッシュ

原題:
Crash (衝突)
年度:
2005
製作国:
アメリカ
配給:
ムービーアイ
監督:
ポール・ハギス
キャスト:
サンドラ・ブロック/ドン・チードル/マット・ディロン/ブレンダン・フレイザー/テレンス・ハワード/クリス・“リュダクリス”・ブリッジス/タンディ・ニュートン
ストーリー
ロサンジェルス。黒人刑事が急行したのはある交通事故現場。この事故に至るまでの出来事の群像。ペルシャ人の雑貨経営者は銃器店での差別に憤慨。白人が少数の黒人を恐れているという思想を持つ黒人青年。強盗に車を奪われたという醜聞を隠そうとする検事。人種差別主義者の警官。彼らの人生が微妙に交錯し、思惑は衝突。

 

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6
「微妙にズレる」「気持ちが通じない」「本音が届かない」などの繊細な心象風景をうまくまとめたなあ。美辞麗句の仮面の底に差別が潜むサマとかの描き方がうまい。他方、少し鼻白む演出もあり(盗んだ車に密入国者満載)、問題提起を投げかけるだけなのが気になるけど、映画の文法表現としてはとても良いと思った。

雑記:

  1. アカデミー作品賞、監督賞、助演男優賞(M・ディロン)。「ロッキー」(78)以来の作品賞作品が3部門のみ。
  2. P・ハギス監督は「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本
  3. P・ハギス監督自身がカージャックに襲われ、映画の着想を得た。
  4. S・ブロックらが演じた夫婦らの家は監督自身の家。車も。予算が600万ドルしかなかったため。

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊

海外タイトル:
Ghost in the Shell (国際=甲殻の幽霊)
年度:
1995
製作国:
日本
配給:
講談社/バンダイビジュアル/MANGA ENTERTAINMENT
監督:
押井守

キャスト:
田中敦子/大塚明夫/山寺宏一/玄田哲章/仲野裕/大木民夫

シリーズ:
1/2

ストーリー
2029年。サイボーグ化された人類とネット上の仮想世界が発達した近未来の日本。構成員がほとんど部分的にサイボーグである公安9課は、国際手配中のハッカー電脳体「人形使い」を拘束。しかし何故か外務省の特殊部隊に奪われる。率いる草薙素子は取り戻そうと猛追跡。

 
 

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8
うん。評判どおり深い。そしてアニメーション技術の素晴らしさに目を見張るし内容の奥行きは再見に耐える。こうなると「エヴァ」や「ガンダム」や海外アニメ等との比較や順番や影響などが気になるし、そういう位置づけで楽しむアニメ。世界観の独特さは固定ファンがっちり。日本のコンテンツ産業底上げの原点にふさわしいね。

雑記:

  1. 原作は士郎正宗の同名コミック。ただし押井監督演出による多くの相違点。
  2. キャラクターデザイン&作画監督は沖浦啓之。後の「人狼 JIN-ROH」(00)
  3. 一部をCGでリニューアルした「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0」(08)がある
  4. 日本のアニメ映画としては初めて日米英同時公開
  5. 素子はまばたきせず

親愛なるザカリーへ (Dear Zachary: A Letter to a Son About His Father)

原題:
Dear Zachary: A Letter to a Son About His Father (親愛なるザカリーへ:息子に宛てた父についての手紙)
年度:
2008
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
カート・キューン
キャスト:
アンドリュー・バグビー他
ストーリー
ドキュメンタリー。彼を知る誰しもが異口同音に「良いヤツ」「愛すべき男」と語るアンドリュー。そんな純朴な青年が殺された。幼馴染であり親友のカートは、彼の死後生まれたザカリー向けに、見ぬ父である生前のアンドリューを知ってもらうビデオを作り始めた。彼の死に関わったと思われる元恋人でありザカリーの母親シャーリーはカナダの司法制度に守られる。

 

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9
これは良質ドキュメンタリー。あまりの結末に衝撃を受けた。途中から映画の目的を見失う訳だが、だからこそ前半インタビュー部分の登場者たちの本音度が明らかに。そして、「殺人容疑者が保釈」という理解に苦しむ制度の存在を知った。「先進国」にもいろいろ考え方がある。編集は独特だけど巧いと思った。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. カート(監督)は、全ての収益を「アンドリュー基金」に。

ノーカントリー

原題:
No Country for Old Men (老人にとって住みにくい国)
年度:
2007
製作国:
アメリカ
配給:
パラマウント/ショウゲート
監督:
ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
キャスト:
トミー・リー・ジョーンズ/ハビエル・バルデム/ジョシュ・ブローリン/ウッディ・ハレルソン/ケリー・マクドナルド
ストーリー
テキサスの荒野でハンティング中に、麻薬取引のこじれで凄惨な銃撃戦があった場所に出くわしたベトナム帰還兵モス。そこにあった200万ドルが詰まったカバンを持ち帰ってしまい、そのせいで冷酷な殺人鬼シガーに負われる身となる。老保安官エドはモスとシガーを追う先々で次々と殺人が重ねられていく。

 

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7
特に何が起こるわけでもないのにこの不条理な怖さはすごい。そして淡々と起こる殺人にすら諦めの境地で人生を「仕方なく」生きるように見える保安官が切ない。コーエンらしい粋なセリフ回し(ドラッグストアとの店員のやりとりが絶妙)。「ファーゴ」に似てるねやっぱり。T・L・ジョーンズよりもJ・バルデムの渋い演技が好き。

雑記:

  1. アカデミー作品、監督、脚色、助演男優賞(J・バルデム)
  2. 編集もコーエン兄弟だが、「ロデリック・ジェインズ」名義
  3. 原作コーマック・マッカーシー「血と暴力の国」
  4. 多くの原作の有る映画と違い、相当原作に忠実。シーンの順番やセリフも。
  5. J・バルデムは「運転ができず、英語も苦手で暴力も嫌い」という理由で断ろうとしたがコーエン兄弟から「だから声をかけた」と言われて受諾。

レリジュラス (Religulous)

原題:
Religulous (あほらし宗教)
年度:
2008
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
ラリー・チャールズ
キャスト:
ビル・マー他
ストーリー
ドキュメンタリー。アメリカの社会風刺コメディアン、ビル・マーが世界で支配的な一神教、すなわちユダヤ・キリスト・イスラム・モルモンの各教の信者や聖職者に会い、素朴な疑問をぶつけていく。神は何故今すぐ世界を救わないのか、ヘビが喋ったなんてほんとに信じてるの?など。聖地も訪れ、行く先々でキツい皮肉をお見舞いする。

 

評価
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7
信仰の自由は保証されるべきだけど、科学的な教育の阻害になるのは明らかに有害。その意味でアメリカ保守層は全く支持できない。彼らが「終末の核ボタンの投票権」を持つことが恐ろしい。この映画が公開され、それなりに賛否を醸すことはとても健全(保守地域でも上映されてるとして)。また、コメディアンが政治を堂々と語ることが羨ましい。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. 「スピリチュアル・ジャーニー」という仮題でインタビューを申し込む。聖職者たちはビル・マーが来ることをその場まで知らされていなかった。
  3. 2008年イースター(3月)に合わせて公開の予定だったが脚本家組合のストと重なり結局10月にずれ込んだ。
  4. 2008年の米公開ドキュメンタリーで興収1位。歴代では現在7位(米公開ドキュメンタリー)。
  5. ビル・マーは父がユダヤ教、母がカトリック。自身はカトリックとして育てられた。
  6. 「レリギュラス」と発音しそうだが、ビル・マー自身が「レリジュラス」とわざわざ訂正しているCBSインタビューがある。

ONE PIECE FILM STRONG WORLD

海外タイトル:
One Piece Film: Strong World (国際=ワンピース映画: 強者の世界)
年度:
2009
製作国:
日本
配給:
東映
監督:
境宗久

キャスト:
田中真弓/中井和哉/岡村明美/山口勝平/平田広明/大谷育江/山口由里子/矢尾一樹/チョー/竹中直人/北島康介/皆藤愛子

ストーリー
漫画「ONE PIECE」劇場版10作目。海賊王を目指すルフィとその個性的な仲間たちの「麦わら海賊団」。冒険中に、故郷の「イーストブルー」が何者かに襲われたことを知る。そこへ、かつての海賊王ゴールド・ロジャーに敗れたものの脱獄していた「金獅子のシキ」が20年ぶりに現れルフィたちと遭遇する。

 
 

評価
コメント
5
劇場版初見。完成度の高い(ってまだ未完成だけど)漫画なだけに映画はかえって難しいのかな。仲間がさらわれて助けに行く、という普通の英雄譚はワンピース向きじゃないのでは。どちらかと言えば縦横無尽で綿密な舞台演出と(特に敵の)キャラ設計(多彩な「能力」含む)を楽しませて欲しかったなあ。いや、つまらなかったわけじゃないよ、うん。

雑記:

  1. 原作の尾田栄一郎氏が製作総指揮と映画ストーリーまで務めた。
  2. 他の作品は3月公開ばかりだったが、本作は12月公開。
  3. ブルック映画初登場