October, 2009 のアーカイブ

20世紀少年

海外タイトル:
20th Century Boys (国際=20センチュリー・ボーイズ)
年度:
2008
製作国:
日本
配給:
東宝
監督:
堤幸彦

キャスト:
唐沢寿明/豊川悦司/常盤貴子/香川照之/石塚英彦/生瀬勝久/宮迫博之/佐々木蔵之介/神木隆之介/佐野史郎/森山未來/小日向文世/小池栄子

シリーズ:
1/2/3

ストーリー
浦沢直樹の人気漫画のアニメ映画化第1章。ケンジら幼馴染グループが、子どものころ原っぱに作った「秘密基地」でお遊びでひねり出した「よげんの書」。そこに描かれた世界崩壊のシナリオが次々と現実のものになっていく。カルト宗教団を率いる「ともだち」の不穏な動き。「よげん」の実現を阻止しようと、それぞれの人生を進んでいたかつての仲間たちは結集する。

 
 

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5
忠実だなあ、っていうのが第一印象かと思ったら途中も最後もそうだった。よく作りこんであって特に脚本は、原作未読の人にもわかるように最大限配慮したんだろうなと判るのだけれど、どうしても作りこまれすぎた映像のせいなのか、いまいち作品に入っていけない感じ。唯一T-Rexを初めとした音楽たちは映画ならでは。時代を行き来する手法は巧いと思った。

雑記:

  1. 3部作で制作費60億。邦画史上最大級?
  2. 巨大ロボットに6000万円。

イラク戦争を導いたプロパガンダTV局 (Outfoxed)

原題:
Outfoxed: Rupert Murdoch’s War on Journalism (出し抜かれた: ルパード・マードックのジャーナリズム戦争)
年度:
2004
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
ロバート・グリーンウォルド
キャスト:
ルパード・マードック/ロジャー・アイレス/ビル・オライリー他
ストーリー
公正中立を掲げるニュースメディアのなかでも、「メディア王」ルパード・マードック率いるFoxニュースが、いかに共和党の代弁者としての偏向報道をし、世論を誘導しているかを扱ったドキュメンタリー。世界の4分の3が何らかの形で彼のメディアに触れているという強力な権力を使い、共和党のプロバガンダ機関としての「報道」を繰り返す。反対意見は一切認めない。社内に通達される報道ガイダンスのメモなど。

 

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9
文句なく面白いが、この映画そのものが「偏向」している可能性だけは常に念頭に置かなければ。メディアの恐ろしさと現実。ひたすら日本に置き換えて鑑賞。ある意味でFoxニュースのような「気骨のある」姿勢のメディアがなく、論評のある報道自体が少ないのではないか。他のメディアはどうなんだろう。スケールが違いすぎるけど、TBSかNHKあたりでやって欲しいなあ。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. エンドクレジットでエリック・クラプトン「Layla」。彼は長年反マードックでもあったので、無料で利用許可
  3. オーストラリアのマードック所有のTV局では広告拒否。また新聞社はタイトル変更しない限り広告拒否
  4. 先にDVDから発売。強い要望があり後に劇場公開。

善き人のためのソナタ

原題:
Leben Der Anderen, Das (他人の生活)
年度:
2006
製作国:
ドイツ
配給:
アルバトロス
監督:
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
キャスト:
ウルリッヒ・ミューエ/マルティナ・ゲデック/セバスチャン・コッホ/ウルリッヒ・トゥクール/トマス・ティーマ
ストーリー
旧東ドイツの秘密警察=国家保安省(シュタージ)のヴィースラーは社会主義と東独国家の未来を信じ、任に厚く上官からも信頼されていた。西側への傾倒を察知するため劇作家ドライマンとその恋人の女優クリスタの監視を命じられ、自宅に盗聴器を仕掛け昼夜盗聴を開始する。しかし彼らの深い愛情に次第に心が動かされる。やがて聞こえてきたのは「聴いた人は悪人になれない」というピアノソナタ・・・。

 

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10
名作。ラスト15分(特にラストシーン)に激しく心を打たれた。脚本が素晴らしすぎる。この時代、この責任のなかで貫く「純愛」の切なさ。翻弄される人生。秘密警察ゆえの冷徹な表情と寡黙な任務のなかにこそ、熱くほとばしるものがあった。ほんのちょっと昔にこれがあり得たという時代のうねりにもぞっとする。この社会背景の異常さ。音楽がこれほどマッチしている映画も少なくなってきた。

雑記:

  1. ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督(脚本も)は本作がデビュー作。自らも監視された過去。
  2. アカデミー外国語映画賞
  3. ベルリンの壁崩壊後、シュタージによって監視された「反体制分子」の個人情報は本人に限り閲覧が許可された。しかしそれによって身の回りの人間がシュタージに加担していたことを知り人間不信が増大。
  4. 撮影には旧シュタージ本部も使われた。
  5. 悪人になれない、というピアノソナタはガブリエル・ヤレド作曲。映画音楽多数。
  6. 作中の本はブレヒト「マリー・Aの思い出」

男と女の不都合な真実

原題:
Ugly Truth, The (醜い真実)
年度:
2009
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
監督:
ロバート・ルケティック
キャスト:
キャサリン・ハイグル/ジェラルド・バトラー/シェリル・ハインズ/ジョン・マイケル・ヒギンズ
ストーリー
敏腕プロデューサー・アビーは理想の恋愛対象バッチリ。男の人とデートしてもつい説教くさくなったり場を仕切りたがったりどうも恋愛がうまくいかない。視聴率対策で局が雇い入れたマイクは過激な恋愛の持論を臆せず視聴者にぶちまけることで人気がある。アビーは毛嫌いするが、自分がついに見つけた理想の男コリンを「落とす」ためのテクをマイクにアドバイスされる・・・。

 

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5
まあスカッとたまにはいいのでは。イマドキ「男のチェックリスト」もないと思うけど。両極端すぎる男たちが可笑しい。ラブコメの王道まっしぐらなので、脳内でC・ディアズに変換しながら観るとちょうど良い。良い子はどちらも信じてはダメですよw 最も良かったのは邦題、それもかなり良い、と思う。配給スマッシュヒット。ただ選曲(K・ペリーにF・ライダーなど)は安易過ぎでは?

雑記:

  1. 劇場には「Helpful Advice」(役立つアドバイス)というコードネームで出荷された。(Another Inconvenient Truthとかの方がよかった・・)

カイジ/人生逆転ゲーム

海外タイトル:
Gambling Apocalypse Kaiji  (国際=賭博黙示録カイジ)
年度:
2009
製作国:
日本
配給:
東宝
監督:
佐藤東弥

キャスト:
藤原竜也/天海祐希/香川照之/山本太郎/光石研/松山ケンイチ/松尾スズキ/佐藤慶

ストーリー
人気漫画の映画化。知人の借金の連帯保証人となったばかりにある日突然200万円の負債を負った伊藤カイジ。そんな金は返せないと嘆くカイジにサラ金社長の遠藤凛子が示したのは、同じように借金を抱えた若者を大型客船「エスポワール」に集めた一夜限りのギャンブル。主催する闇金融グループ「帝愛」の幹部・利根川は参加者に勝たなきゃクズだと檄を飛ばす。

 
 

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6
詰めたねえ。文句なく原作が面白いので逆に心配だったけど無難な仕上がり。遠藤の大胆なキャラ変更はピリリとスパイス効いて成功。鉄骨の演出は本当にハラハラ、Eカードもそぎ落として成功。限定ジャンケンの心理活写が省かれたのが残念。役者の演技は皆上手だが、原作が心理描写とギャンブル自体の展開で魅せ物語の陳腐さをカバーしていたが映画は前者を犠牲にした分後者の弱さが目立った。地下帝国のリアリティの無さね。

雑記:

  1. 福本伸行原作。
  2. 原作:遠藤は男。石田の息子(娘ではなく)が登場。地下帝国では班長とサイコロのギャンブルなど。
  3. 福本伸行も黒服役でカメオ出演。
  4. 地下帝国は栃木県の実際の石切り場
  5. 藤原竜也と松山ケンイチは「デスノート」以来の共演

マリファナは危険か安全か!? 30日間やりまくりの人体実験 (Super High Me)

原題:
Super High Me  (超ハイにして!)
年度:
2007
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
マイケル・ブリードン
キャスト:
ダグ・ベンソン他
ストーリー
30日間マクドナルドだけを食べ続けるドキュメンタリー「スーパー・サイズ・ミー」(04)に感化された「マリファナネタ専門の」スタンダップ・コメディアンのダグ・ベンソンが、30日間マリファナを吸いまくるとどうなるか、を自らの体を使って人体実験するドキュメンタリー。カリフォルニア州の「治療目的では合法」という制度を利用する。一旦ドラッグを抜くために30日間の「禁麻」を行いいよいよ本番へ。その前後で知能テストや直感テストなどのあらゆるテストを行い、影響を試す。ネタの完成度も。

 

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7
いろんな意味で興味深いのは確かだけど、やや盛り上がりとメッセージ性に欠けた。英語ネイティブなら彼のジョークの変遷も楽しめたのかもしれないけど。各種テストの結果についても分析が欲しかったところ。禁止している州や国について、その根拠をもう少し掘り下げても面白かったのではないか。州法と連邦法の対立の構図は面白い。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. 「無料で上映会を行う」という条件付きで無料DVDが申込可能
  3. 「420」はアメリカで大麻を指す隠語。理由については諸説。
  4. エンドクレジットの謝辞のリストに「Your Mom」(君のママ)。何故?

ヒトラーの贋札

原題:
Fälscher, Die (贋札師)
年度:
2006
製作国:
ドイツ/オーストリア
配給:
クロックワークス
監督:
シュテファン・ルツォヴィツキー
キャスト:
カール・マルコヴィクス/アウグスト・ディール/デービト・シュトリーゾフ/マリー・ボイマー/ドロレス・チャップリン
ストーリー
戦時のナチス・ドイツ指揮下で実施された史上最大規模の偽造紙幣プロジェクトである「ベルンハルト作戦」を、実際に偽札作りに関わったザクセンハウゼン強制収容所のユダヤ人の視点で描く。偽札作りで名を馳せていたロシア系ユダヤ人のサリーや印刷工のブルガーたちはやがて敵国イギリスの経済を破壊するための偽ポンド作りを命じられる。ナチスに手を貸すという同胞への反逆と命を守る葛藤に悩みながらも精巧な偽札作りに務める。

 

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8
良かった。センチかも知れないけれど正義とはやはり極限下でこそ問われるもの。悲惨な虐殺も戦闘もヒトラーすらも描かずに、ホロコーストの本質を描いて見せた。「金は造れる」という言葉が重い。そしてこれが実話を基にしている点が何より重い。鉛色の空、収容所のカーキ色、偽ポンドの白(!)、随所の色の使い方も秀逸。

雑記:

  1. ベルガーによる原作「ヒトラーの偽札 悪魔の工房」
  2. アカデミー外国語映画賞。オーストリア初。
  3. 降伏したドイツ軍によって偽紙幣や機械は湖に沈められたが1959年に週刊誌が回収。全容が明らかに。
  4. トルコの機密情報を盗み出したイギリスのスパイは、全額をこの偽札で受け取ってしまう(=キケロ事件)
  5. ドル札にも手を出したが、結局使われなかった

アメリカを動かすキリスト教原理主義の実態 (Jesus Camp)

原題:
Jesus Camp  (イエスのキャンプ)
年度:
2006
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
ハイディ・ユーイング/レイチェル・グレイディ
キャスト:
ベッキー・フィッシャー/テッド・ハガード/マイク・パパントニオ他
ストーリー
アメリカ南東部を中心に人口の4分の1を占めているとされるキリスト教原理主義者(福音派)。そのなかでも聖霊の降臨と「異言」を中心教義に据えるペンテコステ派の活動にスポットライトを当てるドキュメンタリー。女性牧師ベッキー・フィッシャーは、キリストの支配する国を作る使命感に燃え、大勢の子どもたちを集めトランス状態を伴う降臨体験をさせるキャンプを開催している。

 

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9
衝撃的。アメリカの現実の重要な一側面を淡々とした映像の力で見せ付けた。最小限の説明だけでほとんど何の論評も加えないのにこのメッセージ性。そしてやはり、これらの「裏事情」があまり伝わってこないという怖さ。何より、これがアカデミー賞ノミネートされていること。それにしても原理主義者たちは、科学を否定する一方で部分的に科学的なアプローチをしている矛盾をどう解決?これが児童虐待でなくてなんなんだろう。。。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ノミネート
  3. 映画公開後の強烈な反対により、このキャンプは中止に追い込まれた
  4. 福音派教会代表のT・ハガードは、男娼との同性愛関係が発覚して代表辞任

宇宙戦争

原題:
War of the Worlds  (世界戦争)
年度:
2005
製作国:
アメリカ
配給:
UIP
監督:
スティーブン・スピルバーグ
キャスト:
トム・クルーズ/ダコタ・ファニング/ティム・ロビンス/ジャスティン・チャットウィン/ミランダ・オットー
ストーリー
別れた妻から一時的に2人の子どもを預かった港湾作業員レイ。近所に落ちた「雷」の様子を見に行くと、地中から巨大な3本足の機械が現れ人々を殺戮していった。この「トライポッド」は大昔から埋められていた異星人の侵略マシーンであり、人類を滅ぼすべく「乗員」たちが降りてきたのだ。世界中で大被害が報告されるなか、息子と娘を連れて逃げるレイ。

 

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3
まあ、、ヒドいっすね。逃げる車のなかでの噛み合わない会話のやり取り(と、そのカメラワーク)や、剥き出しにされた醜い人間の性、それにSFらしい微生物の登場など良い題材はいくつかあって一つ一つは面白いと思うのに、それらをつなぐ脚本がとても残念な感じ。CGも若干見飽きたというか、宇宙人の容赦ない殺戮と、民家での(足を忍ばせてでもいるような)探索がどうしても繋がらないので参った。

雑記:

  1. 原作H・G・ウェルズ。
  2. 音楽J・ウィリアムズ。撮影J・カミンスキー。ナレーションM・フリーマン
  3. エイリアンが自転車のスポークを回すシーンは、発達された文明では、人類にとっては非常に重要な「車輪の発明」というステップを飛ばしたのかも、という(実は)深い意味が。
  4. 1953年版「宇宙戦争」の主役二人が今回、祖父母役で登場
  5. 墜落したジャンボ機は、使用済みの実際のボーイング機体が使われた
  6. S・スピルバーグ「ジュラシック・パーク」などと同様、ミラーに映したシーンが。

貸しまくる人々〜カード地獄USA〜 (Maxed Out)

原題:
Maxed Out: Hard Times, Easy Credit and the Era of Predatory Lenders  (限度額いっぱい: 厳しいご時世に安易なクレジット、そして骨まで奪う貸し手の時代)
年度:
2006
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
ジェームズ・D・スカーロック
キャスト:
ルイス・C・K、ベス・ネイフ他
ストーリー
1人あたり5枚のクレジットカードが発行され、1ドルからでも使うのがごく当然という極端な「借金大国」アメリカの実情を描いたドキュメンタリー。クレジットで破産をする人が後を建たない。いまや大手銀行の傘下に連なる各カード会社の戦略は、むしろ支払能力のない人にカードを持たせ違約金や延滞金という形で利益を乗せていく。追い討ちをかけるように破産法が改正。逃げ道が奪われる。

 

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6
対象をアメリカに絞っているが、多かれ少なかれ金融型資本主義に共通する問題。サブプライムローン破綻を予言したと言われているけれど、このカード社会の弊害は相当前から指摘されてきた。少し論調が一方的で編集も単調なのが気になるけどこの恐ろしさは広く知っておいたほうが良いだろうと思う。少なくとも他国との比較は欲しかったなあ。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. 同名の本も出版。
  3. カード被害者たちを支援するNPO「AFFIL」が各国で上映会