September, 2009 のアーカイブ

グローバル化に逆らうお笑いテロリスト (The Yes Men)

原題:
Yes Men, The (イエスメン)
年度:
2003
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
ダン・オールマン/セイラ・プライス/クリス・スミス
キャスト:
マイク・ボナーノ/アンディ・ビックルバウム

シリーズ:
1/2

ストーリー
ブッシュ大統領の偽Webサイトを立ち上げて痛快におちょくるなど、実際の団体や人物に「なりすまし」、反対ではなく支持(Yes)の立場を装いながらも、かなり際どい手法で社会問題を強烈にエグりだす2人組の「お笑いテロリスト」YES MENのドキュメンタリー。 やはり偽サイトで世界貿易機関(WTO)の職員に成りすまし、フィンランドの講演に招待された。そこで「WTO」としての奇抜な提案を発表する。聴衆唖然。

 

評価
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7
これは強烈。そして爽快。日本ではこの手のテロリスト的お笑いはあり得ないと思うので、羨ましい。ドキュメンタリー作品としての被写体への立ち位置がいまいち不明なのは残念だけど彼らがエグるグローバリゼーションの矛盾についてこういう形で世の中に訴えることも、個人的に羨望(マクドナルドはやり過ぎw)。ひとつ疑問が。彼ら、顔が売れてしまっちゃダメなのでは?

雑記:

  1. 日本未公開
  2. おちょくった企業たち:ダウ・ケミカル、エクソン・モービル、BPなどなど
  3. 「イラク戦争終結!」のNYタイムズ号外もこの人たち。(←知らなかった)
  4. アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭で観客賞。

酔いどれ天使

海外タイトル:
Drunken Angel (国際=飲んだくれ天使)
年度:
1948
製作国:
日本
配給:
東宝
監督:
黒澤明

キャスト:
志村喬/三船敏郎/山本礼三郎/木暮実千代/中北千枝子/千石規子

ストーリー
大戦直後の闇市の外れで開業医を営む、飲んだくれで口は悪いが人情味のある眞田。ある日銃創の手当を受けにきた闇市を取り仕切るヤクザ松永が、肺病を病んでいることを知る。眞田は酒を断つなどするよう忠告するが、松永は意地を張って聞き入れない。罵りながらも放っておけない眞田。そんな中松永の兄貴分の岡田が出所する。

 
 

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6
主役のふたりに痺れた(特に志村が好き)。話自体はハグレ者が人の暖かさに触れ価値観が揺らぐが、皮肉にもその人の為に悲劇的運命、という感じで決して傑出していないけど、ヤクザ者に対する黒澤の諦念が色濃く表現されていると感じた。志村は罵倒しながらも歩み寄ったのに、空回りしたヤクザの男気の悲哀。

雑記:

  1. 三船敏郎初主演映画かつ黒澤&三船コンビとしても初
  2. キャバレーで唄われたのは、当時の人気歌手笠置シズ子による「ジャングル・ブギ」
  3. 横浜にいた娼婦相手の無免許医がモデル
  4. 東宝の争議などで半年以上製作中断
  5. 映像と音楽をリンクさせるなどの演出手法

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

原題:
Royal Tenenbaums, The (ロイヤル・テネンバウム一家) 
年度:
2001
製作国:
アメリカ
配給:
ブエナビスタ
監督:
ウェス・アンダーソン
キャスト:
ジーン・ハックマン/アンジェリカ・ヒューストン/ベン・スティラー/グウィネス・パルトロー/ルーク・ウィルソン/オーウェン・ウィルソン/ダニー・グローヴァー/ビル・マーレイ
ストーリー
弁護士ロイヤル率いるテネンバウム一家は天才家族。長男チャスはビジネスに目覚め、長女マーゴは劇作に、次男リッチーはテニスで、それぞれ10代前半でブレイク。ところがロイヤルは子供にかまけず、結果的に別居。22年経ってそれぞれ人生に落ちぶれた家族が、再び一緒に暮らすことに。身勝手だったロイヤルは煙たがられる。

 

評価
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7
細かい回想を織り込む編集や、一家族の離合集散という舞台的設定や、(特に養姉と弟の関係などの)個々の挿話も、クスクス笑いを誘う小ネタ(執事また刺すし)も、もちろん衣裳も音楽も大概好きなのに、何かが物足りないと思ったら、やっぱり群像劇の宿命の速過ぎるテンポだった。あれよあれよという間に通り過ぎてしまった感じ。

雑記:

  1. 救急隊員役でブライアン・テネンバウムという、監督とウィルソン兄弟の大学の同僚がいる。彼の名前が映画に使われた
  2. BB弾が埋まった手ははB・スティラーではなく、オーウェン兄弟の弟のアンドリューの手。実際に埋まっている
  3. テニス試合の解説役で監督カメオ

世界一の巨大スーパーの闇 (Wal-Mart: The High Cost of Low Price)

原題:
Wal-Mart: The High Cost of Low Price (ウォルマート: 低価格の高い代償)
年度:
2005
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
ロバート・グリーンウォルド
キャスト:
リー・スコット/ドン・ハンター他
ストーリー
圧倒的な低価格の世界最大のスーパーマーケット「ウォルマート」の実情に迫るドキュメンタリー。大規模な店舗を全米はじめ世界中に展開し、4000億ドルの売上を上げる巨大企業。美辞麗句で散りばめられた宣伝文句とは裏腹の「闇」を暴く。土着の小売業者の切実な状況、従業員への冷遇、人種差別、徹底したコストカット戦略。少ない社会貢献・・・。

 

評価
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6
ウォルマートが標的になってしまったが、同種の問題はグローバリズムの進んだ自由主義経済圏では普通に起こり得る。従業員や顧客ではなく、株主を向いた経営の弊害。とは言えこの種の(M・ムーア的な)映画もまた、闇「のみ」を描いている点では一面的でありそこは大いに差し引く必要。社会に一石を投じる使命は果たせているのがエラい。ただ、作り手としての態度表明も見せて欲しかった。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. この映画で大いに評判を落としたウォルマートはその後改善に取り組む。ハリケーン・カトリーナには国内一の金銭貢献。
  3. 作中に登場するウォルマートを皮肉ったCMは、実際の店舗ではなく合成。
  4. イギリスの紹介部分でウェールズがイングランドの一部であるかのような地図

パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド

原題:
Pirates of the Caribbean: At World’s End (カリブ海の海賊:世界の果てにて)
年度:
2007
製作国:
アメリカ
配給:
ブエナビスタ
監督:
ゴア・バービンスキー
キャスト:
ジョニー・デップ/オーランド・ブルーム/キーラ・ナイトレイ/ジェフリー・ラッシュ/ジョナサン・プライス/ビル・ナイ/チョウ・ユンファ、ステラン・スカルスガルド

シリーズ:
1/2/3

ストーリー
「カリブの海賊」シリーズ第3弾(一応完結編)。死者の防人デイヴィ・ジョーンズの心臓を手に入れた東インド会社のベケットは、商取引による世界制服を狙い海賊殲滅にかかる。復活したバルボッサを初めとした海賊たちは団結し、「難破船の島」に「9人の伝説の海賊」が招集。しかしその1人は生死不明のジャック・スパロウ。父を呪いから救おうとするウィルは引き続きブラックパール号に残る。

 

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4
ム・ムズカシイ。人物の性格描写が変わりすぎて混乱。CG描写が「激しすぎて」また混乱。前2作を大前提にしてしまっているのこの手のエンタメ作品としてはもったいない。この独特な世界観とJ・デップも良さが発揮できていない感じ。あんなアクションなしのチョウ・ユンファがあまりにも可哀相。一方最も輝いていたのはG・ラッシュ。

雑記:

  1. 続編2本は同時に撮影。
  2. 本編で最後のはずが、J・デップの要望で4作目決定
  3. 日没直前の「グリーンフラッシュ」は大気のゆらぎにより稀に起こる現象。見ると幸せに。
  4. 戦闘前に頭目同士で合うシーンは、セルジオ・レオーネ風イタリア・ウェスタンへのオマージュ
  5. 「海賊の評議会」は実際に存在していた

20世紀少年 最終章/ぼくらの旗

海外タイトル:
20th Century Boys: The Last Chapter – Our Flag (国際=20センチュリー・ボーイズ: 最終章-僕らの旗)
年度:
2009
製作国:
日本
配給:
東宝
監督:
堤幸彦

キャスト:
唐沢寿明/豊川悦司/常盤貴子/香川照之/平愛梨/藤木直人/石塚英彦/宮迫博之/佐々木蔵之介/神木隆之介/山寺宏一/高橋幸宏/佐野史郎/森山未來/古田新太/小池栄子/木南晴夏/福田麻由子

シリーズ:
1/2/3

ストーリー
浦沢直樹の人気漫画のアニメ映画化最終章。西暦2000年の「血の大みそか」と2015年の世界同時ウィルステロ事件を経て、世界には「ともだち」が君臨していた。その「ともだち」は、宇宙からの新たなウイルス到来を「予言」し、自分を信じる者のみが生き残ると世界を洗脳する。地下レジスタンスを率いるカンナたちの前に懐かしいオッチョも合流。ケンジが生きていると信じて「ともだち」に挑む。

 
 

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6
原作を通読している自分はこの最終章から観たのは正解。その後1,2と観るほうが楽しめるだろう。原作を生かしつつどう崩すか、に焦点が合わざるを得ないのは仕方ない。ロボット動き回るシーンは要らなかったと思うけど、脚本に原作者入れてるだけあって納得感はあった。ラストも実に自然にスッと理解。テーマを社会問題に変えたのも評価。ただ、無意味なタレントのカメオたち(ロンブー淳とかダイアモンドとか)とTV局だらけの製作委員会に少しヒいたので減点。

雑記:

  1. 映画オリジナルの結末を秘すため、試写会もラスト10分をカット。
  2. ラストのコンサートシーン。1万人のエキストラを集め、2日間。
  3. もぎりのスタッフも、「エンドロール終わっても帰らないで」と言う。

鉄コン筋クリート

海外タイトル:
Tekkonkinkreet (国際=テッコンキンクリート)
年度:
2006
製作国:
日本
配給:
アスミック・エース
監督:
マイケル・アリアス
キャスト:
二宮和也/蒼井優/伊勢谷友介/宮藤官九郎/本木雅弘
ストーリー
人気漫画のアニメ映画化。昭和の「旧き良き」下町風情の町「宝町」。ここを縦横無尽に飛び回る悪童コンビ、クロとシロ。親も家もない彼らはたくましく生き、その強さと絆の深さで町でも一目置かれた存在。町をレジャーランドとして再開発しようとする動きがあり、伴って登場する屈強なヤクザ集団。クロは自分たちの町と年少のシロを守ることだけが生きがい。抵抗に立ち上がる。

 
 

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8
描いたねえ。原作のあの世界観を保ち、超えた。ともかくそれだけを目指したのではないかと思えるくらい。主人公のふたりがやはりどうしようもなく魅力的で、声もマッチ。この作品全体を貫く「対と補完」というテーマは一見ありきたり。それがこの色彩世界の妙、そしてカメラワークのうまさによって原作ファンを唸らせている。実写にはないアニメの良さ、あるいは敢えて言えばマンガの良さなのかも知れない。

雑記:

  1. M・アリアス監督は「アニマトリックス」など。日米で活躍するVFXスペシャリスト。
  2. クロがお金をじっちゃんに渡すシーン。お金のデザインが一部変わってる。
  3. 原作・松本大洋。

イノセンス

海外タイトル:
Innocence: Ghost in the Shell (国際=無垢: 甲殻の幽霊)
年度:
2004
製作国:
日本
配給:
東宝
監督:
押井守
キャスト:
大塚明夫/田中敦子/山寺宏一/大木民夫/仲野裕/榊原良子/武藤寿美/竹中直人

シリーズ:
1/2

ストーリー
人間が「電脳」化され、身体の機械化が進む未来世界。そこで多発するアンドロイドによる持ち主の殺人事件。事件を担当する公安のバトーとトグサのコンビ。犯人の少女アンドロイドを追い詰めたが「助けて」という言葉を残して自壊。事件の裏にある暗い全容を明らかにするべく、メーカーのロクスソルス社を開始する。人間、サイボーグ、アンドロイドの本質とは何か。

 
 

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7
予備知識ゼロで観てしまったので前作も未見。なのにただただ圧倒された。この華美に過ぎるとも言える映像に加え、ペダンチックな古典引用の数々。人形と人間の違いって何。難解と言われてるほどには難解とは感じなかったし、意味不明でもなかった。あえて古典を持ってきたりするあたりも多分押井監督の趣味だから仕方なし。これは是非前作、そして2度目を観たい。

雑記:

  1. 前作「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」(95)
  2. 「シーザー(カエサル)を理解するのにシーザーである必要はない」はM・ウェーバー。
  3. 「個体が創りあげたものもまた、その個体同様に遺伝子の表現型」はR・ドーキンス
  4. 日本のアニメで初めてのカンヌ映画祭コンペティション出品
  5. 5分間の祭りのシーンに1年かかった
  6. 最初の15分間、世界観や前作のあらすじを説明するDVDバージョンもあるらしい(ちがったw)

パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト

原題:
Pirates of the Caribbean: Dead Man’s Chest (カリブ海の海賊:死者の箱)
年度:
2006
製作国:
アメリカ
配給:
ブエナビスタ
監督:
ゴア・バービンスキー
キャスト:
ジョニー・デップ/オーランド・ブルーム/キーラ・ナイトレイ/ビル・ナイ/ステラン・スカルスガルド/ジャック・ダベンポート

シリーズ:
1/2/3

ストーリー
「カリブの海賊」シリーズ第2弾。ブラックパール号の船長の座を奪還したジャック・スパロウ。13年前に幽霊船のデイビー・ジョーンズと交わした「血の契約」の刻限が迫り、ジョーンズに契約履行を迫られる。一方、総督の娘エリザベスは鍛冶屋ウィルとの結婚手続きを進めていたが、ジャックを脱獄させた罪で投獄させられる。ジャックは自分の窮地から脱するため、ジョーンズの心臓が納められた箱を手に入れようとウィルに持ちかける。

 

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4
なんだか急に萎れた。個人的には前作の三枚目かつ孤高の存在だったジャック・スパロウの性格描写が好きだったのだが、今作では「MIB」並みのコメディアンになってしまった。それでも相変わらずのJ・デップの演技力と映像作りの素晴らしさ。尺が3割減くらいだったらもっとすっきり良い作品になったと思うのに。でも一応次作も観ないと、という気持ちにはさせる。

雑記:

  1. ディズニーのカンパニーロゴの直後にD・ジョーンズの心臓音
  2. ブラックパールとフライングダッチの2艙の舟は、実際に建造された
  3. ティア・ダルマ役のナオミ・ハリスは「マイアミ・バイス」(06)と同時期に撮影。その為彼女のシーンは全て週末にバハマで撮影。
  4. ウィルとジョーンズが戦ったサイコロのギャンブルは、「Liar’s Dice」(嘘つきのサイコロ)
  5. ウィルに剣術を習ったエリザベスが背後の敵を2刀流で倒すシーンがあるが、これはLOTRのレゴラス(O・ブルーム)と同じ。

ウォー・ゲーム

原題:
WarGames (戦争ゲーム)
年度:
1983
製作国:
アメリカ
配給:
MGM/UA=CIC
監督:
ジョン・バダム
キャスト:
マシュー・ブロデリック/ダブニー・コールマン/ジョン・ウッド/アリー・シーディ/バリー・コービン
ストーリー
高校生デヴィッドはコンピュータマニア。成績が悪くてもコンピュータに侵入して成績を書き換えてしまう。ある日ゲーム会社のコンピュータを探索中に、NORAD(北米防空司令部)のシステムに侵入してしまい、そうとは知らずに、学習能力のある戦争シミュレーションを作動させてしまう。ソ連がミサイル発射との情報を受け、厳戒態勢が敷かれる。

 

評価
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6
仮想敵国がいて、テキスト表示しかできないパソコンから軍司令部のシステムにパスワードひとつで侵入できて、学習するコンピュータが暴走する、、、という設定自体がいまやカビくさく感じるのは仕方ないところ。それでも臨場感の表現法など、大いに真似されているのが分かる。マルバツの発想も素晴らしい。ただ、ヒロインの意味は?

雑記:

  1. M・ブロデリックは、「フェリスはある朝突然に」(86)でも成績改竄を
  2. ゲームのシーンの為に2ヶ月練習
  3. 100万ドルかけて(想像で)作ったNORADのセットは当時最も高価なセット