June, 2009 のアーカイブ

白痴

海外タイトル:
Hakuchi: The Innocent (国際=ハクチ:無垢)
年度:
1999
製作国:
日本
配給:
松竹
監督:
手塚眞
キャスト:
浅野忠信/甲田益也子/草刈正雄/橋本麗香/藤村俊二/江波杏子/あんじ/原田芳雄
ストーリー
架空の戦時日本。空襲に怯えて暮らす人々。ある寂れた路地裏は街娼やスリなどが住む雑多な貧窟。仕立て屋に宿を借りる伊沢は、大人気番組を扱うTV局の一演出助手。局の人間は、わがままなアイドル銀河の機嫌を損ねないようにしている。銀河に鼻であしらわれる伊沢。ある日隣に住む狂人の、白痴の妻が転がり込んできた。

 

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6
ふすまの質感や部屋と外の色使いの極端な差や、冒頭の華美なモデル登場など、独特の映像へのコダワリは高く評価。原作未読だけど、世界の終末と再生などの発想が斬新。ただ、ラスト近くの「展覧会の絵」には興醒め。クラシック音楽の教養番組?(せっかく)アマテラスと罵られた銀河が最後に登場しなかったのは何故?

雑記:

  1. 原作・坂口安吾「カンゾー先生」「不連続殺人事件」
  2. 現場制作費破格の7億円。うち新潟のオープンセットに3億円
  3. やはり坂口安吾御大でした。
  4. 初の(?)新潟県民参加型映画
  5. 銀河役・橋本麗香は、「実験映画」でも主演女優

プロミス

原題:
Promises (約束)
年度:
2001
製作国:
アメリカ
配給:
アップリンク
監督:
ジャスティン・シャピロ/B・Z・ゴールドバーグ/カルロス・ボラード
キャスト:
-
ストーリー
エルサレム育ちの米国人B.Z.ゴールドバーグ監督が、1997年~2000年にイスラエルとパレスチナの少年少女7人に密着。子供たちの目を通し、根の深い政治対立の現実を謳う。パレスチナ少年の写真を見たユダヤ少年は「会ってみたい」と言い、監督の仲介でそれが実現。子供らしいひとわたりの遊びの後で、両者は本音をぶつけ合う。

 

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9
彼らの一見偽善的な言動は確信犯的で、それは「BZがいなくなればまた元通りだ」と涙する少年の言葉に表されている。その冷徹な現実直視が心を鷲づかみ。大事なことはふたつ:こういうメッセージ性の強い映画の存在で、中東の現実はピクリとも変わらないこと。だからといって、この偽善の普及がやっぱり最も近道らしく思われること。

雑記:

  1. 2001年アカデミー長編ドキュメンタリーノミネート
  2.  

  3. BZ監督はインティファーダの時はエルサレムで各国ニュース番組制作に関わる
  4. 「プロミス・プロジェクト」として、自主上映支援や鑑賞者に各種サイトでの宣伝を依頼
  5. 中東情勢はこの映画後(2000~)に最悪の時期に突入

静かなる決闘

海外タイトル:
Quiet Duel, The (国際=静かなる決闘)
年度:
1949
製作国:
日本
配給:
大映
監督:
黒澤明
キャスト:
三船敏郎/三條美紀/志村喬/植村謙二郎/山口勇/千石規子
ストーリー
大戦末期の日本軍の野戦病院。軍医の藤崎は、自分の傷口を手術中の傷病兵の血液に漬けてしまうが、その兵士は梅毒を持っていた。純潔の梅毒持ちとなってしまった藤崎は復員後、六年越しの婚約者美佐緒との結婚を避け続ける。何も知らない美佐緒は理由を知りたがるが、彼女を思いやる藤崎は事実を伝えられず思い悩む。

 

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8
医学的根拠はともかく、シンプルで観念的なストーリーに惹きつけられた。時代の相違からくる違和感で、三船の演技が大仰に見えてしまう部分もあるけど、当時の倫理観(あるいは倫理観への警鐘?)を壮絶に表現。禁欲の意味も今とは随分違っていたのだろう。「聖人と言うがこんなことがなければ意外と俗人だったかも」が深い。

雑記:

  1. 数少ない黒澤の「恋愛」モノであると同時に、性を扱う唯一の作品
  2. 原作・菊田一夫「堕胎医」
  3. 黒澤は「罪なき罰」というタイトルにしたかったが、大映が地味だと云って拒否(惜しいなあ!)
  4. 「酔いどれ天使」で東宝を離れた黒澤が初めて大映で撮った作品

海辺の家

原題:
Life as a House (家のような人生)
年度:
2001
製作国:
アメリカ
配給:
日本ヘラルド
監督:
アーウィン・ウィンクラー
キャスト:
ケヴィン・クライン/ヘイデン・クリステンセン/クリスティン・スコット・トーマス/ジェナ・マローン/メアリー・スティーンバージェン
ストーリー
仕事をクビになり、末期ガンと診察された建築模型技師のジョージは、別れた妻ロビンの元にいる放蕩息子サムと親子の絆を持とうとする。海辺の自宅を壊し、思い通りの家を再建する仕事を無理やりサムに手伝わせる。建築は進み、サムの態度にも変化が表れる。ジョージとロビンももどかしいそれぞれの思いの丈を打ち明ける。

 

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8
ピアスを外すエピソードが欲しいのと、ラスト近くの「譲る」セリフは要らないけど、ハグ(特に新夫の)/ビデオ/海飛び込みなどの伏線使いがとても感動的で、地味ながら佳作。人生を壊して再建、という歯の浮くテーマをとっても現代風に見せてくれた感じ。H・クリステンセン上手じゃないの。父親はやっぱキレてはいかんよね。

雑記:

  1. H・クリステンセン壁を殴るシーンはアドリブ。(怪我した)
  2. エピソード2オファーを知らずにキャスティング
  3. 脚本マーク・アンドラスは「ガスター」の大ファン。犬はガスターで、登場人物2人の名前もガスターより
  4. 撮影は南カリフォルニア

L change the WorLd

海外タイトル:
L: Change the World (L: 世界を変える)
年度:
1994
製作国:
日本
配給:
ワーナー
監督:
中田秀夫
キャスト:
松山ケンイチ/工藤夕貴/福田麻由子/南原清隆/福田響志/佐藤めぐみ/藤村俊二/鶴見辰吾/高嶋政伸
ストーリー
映画化もされた人気漫画「デスノート」のスピンオフ。世界を震撼させたキラ事件に携わった風変わりな天才探偵「L」の「最後の23日間」をL視点で描く。死神との契約により自らの死期を設定したL。その頃にタイで起こった村の消滅事件から生き延びた少年と出会い、Lはテロ組織が強力なウイルスを開発し不穏な行動を取ろうとしていることを察知する。信頼したパートナー・ワタリを失ったLは、死期が迫るなか、自ら事件の解決に挑む。

 

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3
うーむ。(そんなに好きなわけじゃないけど)漫画家が作るそれなりにしっかりした原作からかけ離れると、こんなにヒドい脚本になってしまうのか・・・。っていうくらい滑稽な展開に吹く。テロリストが何故世界を滅ぼそうとしていたのかとかも良く分からない。シー・シェパードみたいなものか?ナンちゃん以外の役者は良かったと思います。松山ケンイチもイイネ!

雑記:

  1. タイの奥地にわざわざ村をつくった。(もったいない・・・涙)
  2. 日本映画初の、日本・韓国・香港・台湾同時公開
  3. 邦画初のP4 (極めて病原体を取り扱う危険な高度安全実験施設)を描く作品

エンジェル・ダスト

海外タイトル:
Angel Dust (国際=「エンジェル・ダスト」:天使の埃)
年度:
1994
製作国:
日本
配給:
ユーロスペース
監督:
石井聰亙
キャスト:
南果歩/若松武/豊川悦司/滝沢涼子/塩野谷正幸/近藤等則/秋山仁/田口トモロヲ
ストーリー
毎週月曜日の午後6時に山手線で若い女性が毒殺される事件が発生。異常犯罪心理捜査官の須磨節子が捜査に当たる。被害者の一人はある宗教集団に洗脳されており、須磨のかつての恋人である亜久に逆洗脳をされていた。連続事件の核心に触れるにつれ、亜久の存在が須磨を苦しめる。現在の夫との生活に満足していた筈なのに。

 

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6
めくるめくテクニカルな映像にたまげた。そして、気持ち悪いくらいのオウムとの符号が一層不可思議な印象。散りばめられた18禁的要素(洗脳/異常心理/偏執愛/両性具有/記憶再構築など)がそれぞれのキャストにマッチし、完成度が高い。ストーリーがどうも分かり辛いけど、監督の脳をなぞる映画なのでそれでいいのです。

雑記:

  1. オウム地下鉄サリン事件の前だが、洗脳宗教集団/首都圏幹線鉄道での凶行など酷似。さらに上九一色のサティアンを見下ろす位置に撮影場所のドームが存在
  2. エンジェル・ダストは、強烈な向精神薬PCPの俗称
  3. ラスト音楽はゾンビーズ「ふたりのシーズン」

I am Sam アイ・アム・サム

原題:
I Am Sam (僕はサム)
年度:
2001
製作国:
アメリカ
配給:
松竹/アスミック・エース
監督:
ジェシー・ネルソン
キャスト:
ショーン・ペン/ミシェル・ファイファー/ダコタ・ファニング/ダイアン・ウィースト/ローラ・ダーン
ストーリー
スターバックスに勤め、ビートルズを敬愛するサムは7歳の知能で止まっている。娘のルーシーが産まれた直後に母親は消え、サムが愛情込めて育てる。しかしルーシーは7歳となり知能でサムに追いつき、追い越す。福祉課がそれを見咎め、父娘を引き離す。育てる能力なしと判断されたサムは、親権獲得のため、敏腕弁護士リタを訪れる。

 

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7
まずはビートルズ。それもカバーのみというコダワリ、セリフへの忍ばせ方、構図、セリフで言及(一番はジョージ発言!)。マニア垂涎モノ。ニヤリとし、血が騒ぐ。ジョンの遺志を地で行くような愛は勝つモノだが、ありがちな差別は描かず親権問題に終始し、一方ありがちなアタシも悩んでるの!系だったりと。。返す返すもビートルズ。

雑記:

  1. 着想は、共同脚本クリスティ・ジョンソンの実の父親の話にインスパイア
  2. 実際にリサーチした知的障害者達もビートルズに詳しかった
  3. ルーシー役D・ファニングは「ER」「アリーmyLove」などに出演経験

どつかれてアンダルシア(仮)

原題:
Muertos de risa (笑い死に)
年度:
1999
製作国:
スペイン
配給:
アーティストフィルム
監督:
アレックス・デ・ラ・イグレシア
キャスト:
エル・グラン・ワイオミング/サンティアゴ・セグーラ/アレックス・アングロ/ユリ・ゲラー
ストーリー
何故か警察に追われ楽屋に到着したニノ&ブルーノの元人気お笑いコンビ。その再結成の収録時に実弾で撃ち合い、笑いを取る。話はコンビ結成時に戻る。ふとしたことでコンビを組んだシロウト二人は、オーディションの際、どつき、という持ちネタを得て人気者に。ただ、いつもどつかれるニノはあまり面白くなく、二人は次第にギクシャクと。

 

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5
どつきだけで持たせているけど、途中でやや飽きた。でも要所要所でくだらなさ満点の危うい綱渡り(クローゼット閉じこもりや新パートナー選抜とか)が成功。裏で醜くいがみ合う2人の姿は、表がやや演出不足なのでイマイチ。真面目かオフザケかの境界が不明。邦題はキライじゃないけど、原題&本編とかけ離れた。日本漫才は参考?

雑記:

  1. A・デ・ラ・イグレシア監督は過去の作品では独自の趣味でSF・ホラー・コミック・サンテリア教などを盛り込むなどスペイン映画の問題児。
  2. 「エイリアン3」を断った割に政治色の強い作品(フランコ独裁へのささやかな抵抗/言論弾圧/挿入される時事問題)

陽はまた昇る

海外タイトル:
Sun Will Rise Again, The (国際=陽はまた昇る)
年度:
2002
製作国:
日本
配給:
東映
監督:
佐々部清
キャスト:
西田敏行/緒形直人/渡辺謙/篠原涼子/真野響子/仲代達矢/石橋蓮司/江守徹
ストーリー
VHS誕生秘話を映画化。日本ビクターで開発に携わる定年間近の加賀谷。横浜工場ビデオ事業部長への内示を受けるが、TVやステレオと違い赤字部門。本社からの強烈な人員削減圧力のなか、家庭用VTRの時代を感じた彼は密かにソニーのベータ対抗の機械を開発する。しかし業界は既にベータへの規格統一に向け動いていた。

 

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8
プロジェクトXを一つも観ていないぬるい感性で、普通に感動。家庭問題やソニーの恋人、など演出過多気味なお約束な展開が多少気になるけど、VHS完成~規格公開を説く西田、のワンカットシーンの巧さにはビックリ。実話の成功物語の映画は美談に終始して良いのです。VHSが覇権を取るところを敢えて描かなかったのはエライ!

雑記:

  1. 加賀谷のモデルはミスターVHSこと高野鎮雄氏
  2.  

  3. 原作・佐藤正明「映像メディアの世紀 ビデオ・男たちの産業史」
  4. 日本でこれだけ多くの企業が実名で登場することは異例
  5. VHSは日本初の世界統一規格
  6. 舞台となる70年代前半は戦後初めて日本がマイナス成長

スター・トレック

原題:
Star Trek (スター・トレック)
年度:
2009
製作国:
アメリカ
配給:
パラマウント
監督:
J・J・エイブラムス
キャスト:
クリス・パイン/ザッカリー・クイント/エリック・バナ/ブルース・グリーンウッド/カール・アーバン
ストーリー
SFの金字塔的な同名TVシリーズのオリジナルシリーズ「宇宙大作戦」の再映画化。ジェームズ・カーク艦長(“船長”)の青年時代。惑星連邦のUSSケルヴィンで臨時艦長を務めた父は、ロミュラン人との戦いの最中800人の命を救い犠牲となる。やがて惑星連邦に士官候補生として入隊した青年カークは、スポックやマッコイなど他のUSSエンタープライズのクルーとともにバルカン人のピンチに駆り出される。論理的なバルカン人スポックと衝突しながらも、キャプテンに必要な資質を学んでいく。

 

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8
うーんさすがです。オリジナル(TOS)を知らなくても充分楽しめるのではないか。主要キャラクター一人一人の描き方が秀逸で、決してマニア向けに作っていない(と思う)。その分状況設定はヒヤヒヤものだったけれど、全員ハマリ役でストーリーも矛盾なくつながった。宇宙モノのSFの王道を行くCGアクションが本当に素晴らしく、個人的にはやっぱり(TVも入れれば)スターウォーズより好きだなあ。ただ他星人との絡みももうちっと見たかった。ネメシスに続き、ロミュラン悪玉w。 さて、DS9とか映画でやる日は来るのかな。。

雑記:

  1. ウフーラのファーストネームが初めて公式に「ニヨータ」だと明かされた。
  2. スールー役ジョン・チョーはこの時点で36歳であり、TOS時代のG・タケイの29歳より年長
  3. 論理と感情の二面性、耳の形の相似、そして異人種間のハーフ、などが共通だとしてオバマ大統領はスポックと良く比較された。
  4. ロミュラン司令官ネロ役(E・バナ)にはラッセル・クロウの可能性もあった。
  5. 前作(「ネメシス」)から7年、というのはシリーズ最長のインターバル
  6. バルカンの挨拶を完璧なものにするために、監督はスポック役Z・クイントの指を接着