May, 2009 のアーカイブ

スラムドッグ$ミリオネア

原題:
Slumdog Millionaire (スラムの野良犬の億万長者)
年度:
2008
製作国:
イギリス
配給:
ギャガ
監督:
ダニー・ボイル
キャスト:
デブ・パテル/フリーダ・ピント/マドゥル・ミッタル/アニル・カプール/イルファン・カーン
ストーリー
4択クイズに順次答えて賞金を吊り上げる生放送のTVクイズ番組で、ムンバイのスラム出身で無学のジャマールが1000万ルピーまで到達。最後の1問を翌日に残したところで不正を疑われて逮捕される。警察にジャマールが語るスラム上がりの過酷な半生。運命に翻弄され家を追われたジャマール兄弟は、ある日富豪のママンに拾われる。

 

評価
コメント
8
伏線の使い方が秀逸。良質な演出の「型」を持つD・ボイルらしさが今回も光る。ストーリーは単純だけど、映像と編集のセンスがさすがです。ボンベイからムンバイへの変質を少年から青年へのしたたかな成長譚と重ね、(西欧人と違って)ミリオネアになりたくて出演してるわけじゃない、というチクリとしたメッセージも面白いね。みのを頭から追い払うのに苦労したw

雑記:

  1. 原作はインドの外交官ビカス・スワラップの「ぼくと1ルピーの神様」
  2. 音楽はA.R.ラフマーン「ムトゥ踊るマハラジャ」
  3.  

  4. ベンツがロゴを写さないように要望。スラムによるイメージダウンを気にして。
  5. D・ボイル監督とプロダクションは子役の3人が16才まで教育を受けられるよう基金と運転手を用意
  6. 冒頭、子どもたちが警察から逃げて屋根から飛び降りるシーンは自身の「トレインスポッティング」にも。
  7. 直DVDになる可能性もあった。
  8. 米アカデミー、ゴールデングローブ、英国アカデミーで作品・監督・脚本の3賞を受賞したのは「シンドラー」以来。
  9. 主要シーンをデジタルで撮影してアカデミー撮影賞を受賞した最初の作品

タイムマシン

原題:
Time Machine, The (タイム・マシーン)
年度:
2002
製作国:
アメリカ
配給:
ワーナー
監督:
サイモン・ウェルズ
キャスト:
ガイ・ピアース/サマンサ・ムンバ/ジェレミー・アイアンズ/オーランド・ジョーンズ/マーク・アディ
ストーリー
1899年。数学者の青年アレクサンダーは、婚約当日に恋人を強盗に殺される。怒りに駆られ昼夜問わず研究に勤め、ついにタイム・マシンを完成させる。早速事件当日に戻り運命を変えようとするが失敗。過去は不変なのか。その謎を解く為、未来への旅を始める。辿り着いた80万年後の世界は、原始の地球のような光景だった。

 

評価
コメント
4
消化不良気味。オリジナルと比べるのは酷かなあ。伏線が巧くない。仕組みが分かりづらい(何故爆発?)。せっかく情緒たっぷりのレトロなマシンで珍しい手法のタイムトリップなのに、ストーリー面のセンスが感じられない。前半の恋人まわりの動機と後半の世界を建て直す使命感がリンクしていない。地底人のチャチさは健在で良かった。

雑記:

  1. CGはデジタル・ドメイン(「タイタニック」)とILMが担当
  2. S・ウェルズ監督は原作H・G・ウェルズの曾孫
  3.  

  4. 撮影最後の18日間はウェルズ監督が過労で倒れた為、ゴア・ヴァービンスキーが担当
  5. NYが流星群に破壊されるシーンもあったが、テロで削除

時計じかけのオレンジ

原題:
Clockwork Orange, A (時計じかけのオレンジ)
年度:
1971
製作国:
アメリカ
配給:
ワーナー
監督:
スタンリー・キューブリック
キャスト:
マルコム・マクダウェル/パトリック・マギー/マイケル・ベイツ/ウォーレン・クラーク
ストーリー
近未来。モラルが頽廃した町で暴力とレイプに明け暮れる少年グループ。一派を率いるアレックスは、その日もドラッグ入りのミルクバーでハイになって夜の街へ。浮浪老人をいたぶり、敵対グループと争い、民家に押し入りレイプ。 ある日仲間の裏切りで逮捕されてしまったアレックスは懲役刑を食らうも模範囚となり、政府が計画していた最新の矯正プログラムに志願する。

 

評価
コメント
10
何度観ても最高。大して芸術センスのない自分ですら、この映画が放つめくるめくアートとバイオレンスのパワーには圧倒される。個人の暴力を描く裏で、実はおぞましいほどの暴力を行使する国家こそ「時計じかけのオレンジ」だという強烈なメッセージ。この架空の近未来が、実は共産主義を想定していることは示唆に富む。文句なく不朽の名作と言える。

雑記:

  1. 原作アンソニー・バージェス。
  2. 若者たちが使う独特の言葉は「ナッドサット言葉」。ロシア語に強く影響。バージェスは言語学者でもある。
  3. この映画を観て知事暗殺を計画した男の日記を読んで「タクシードライバー」が書かれ、それに影響されてレーガン暗殺企てに。
  4.  

  5. M・マクダウェルがそらで唄えるのが「雨に唄えば」だけだったので、採用
  6. ナンパ女性との早回しセックスシーンは、松本俊夫「薔薇の葬列」に影響

MONDAY マンデイ

海外タイトル:
Monday (国際=月曜日)
年度:
1999
製作国:
日本
配給:
シネカノン
監督:
SABU(サブ)
キャスト:
堤真一/松雪泰子/大河内奈々子/西田尚美/大杉漣/小島聖/塩見三省/田口トモロヲ/寺島進
ストーリー
高木はホテルの一室で目を覚ます。何故ここにいるのかよく覚えていない。周りにあるモノを眺めるたび記憶が少しずつ甦る。黒いスーツを着ているのは、知人の告別式に参加したからだ。そこであまりにも馬鹿馬鹿しい体験をし、カノジョに報告した。。。記憶を取り戻すにつれ、酔った勢いでしでかしたトンでもないことに狼狽し始める。

 

評価
コメント
7
堤真一オンステージだ。酔っ払い特有のニヤケ方が巧すぎる。記憶を徐々に遡る間の細かい気配りが嬉しい。爆発したのが誰とか、何故あんなキレイなカノジョがアル中に文句云わないのか、とか無視無視! それだけに後半あたりから、それまでの恍けたノリがなくなるのが惜しい。銃社会云々なんかこの際なくて良いのに。

雑記:

  1. ベルリン国際映画祭・香港国際映画祭正式出品
  2. コメディ、アクション、ホラー、ファンタジー、ダンスといったあらゆるジャンルを詰め込み、90分以内くらいの映画を作ることを念頭においた

スキゾポリス

原題:
Schizopolis (増殖都市)
年度:
1996
製作国:
アメリカ
配給:
ザジフィルムズ
監督:
スティーヴン・ソダーバーグ
キャスト:
スティーヴン・ソダーバーグ/ベッツィ・ブラントリー/デヴィッド・ジェンセン/マイク・マローン
ストーリー
独自の自己啓発思想を提唱する団体に属するフレッチャーは、ボスの演説原稿を書く仕事にかかりきり。職場のスパイ騒ぎの張本人は自分だし、家庭でも妻とあまりうまくいっていない。ある日妻の浮気相手を見ると、それは自分そっくり。一方害虫駆除を生業とするエルモは訪問先でフレッチャーの同僚の妻と関係をもってしまう。

 

評価
コメント
8
一言すれば実験映画なんだけど、それでは身も蓋もない。冒頭とラストの確信犯的登場、しかも自分が主役という、ぶっ飛んだ芸術家らしい責任の取り方(笑)。非凡なテクニックの独創性に心地良く浸れるヒール系シネマかも。ある意味シロウトっぽい手の広げようだけど、土台が良いので安心安心。鏡百面相と、突然の各国語には笑った。

雑記:

  1. S・ソダーバーグは監督・脚本・撮影・主演
  2. 興行的不振が続いてハリウッドから見放されたころに低予算で制作。したがってスタッフは大抵キャストも兼ねている。二役こなす相手女優も元妻
  3. エンドロールのように見える1コマは、権利関係なので、スタッフ表示はない

メン・イン・ブラック2

原題:
Men in Black II (黒服の男たち・2)
年度:
2002
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー
監督:
バリー・ソネンフェルド
キャスト:
トミー・リー・ジョーンズ/ウィル・スミス/ララ・フリン・ボイル/リップ・トーン/ロザリオ・ドーソン
ストーリー
MiBのエージェントとして数年を経て、Jは教える新米の手際の悪さにウンザリ。よく喋る犬のFを相棒にしたところで異星人の殺人事件発生。どうやら過去に、故郷の命運を左右する「ザルダの光」を地球に隠した異星人が、それを探しに侵入している模様。その鍵を握るのは記憶を消されて郵便局員をしている元相棒のKだという。コンビ復活!

 

評価
コメント
3
「それなりの」映画だとはわかっちゃいるんだけど、それでも大いに期待はずれ。エイリアン達の映像には目を見張るところもあるけど、それだけなので飽きる。ストーリーも良くわかんないし(あっという間に忘れそう)、ジョークもやや外し気味。多分二人の掛け合いが前作のように巧く噛みあっていないから?M・ジャクソンは唯一良かった。

雑記:

  1. ラストは貿易センタービルが開いてUFOが飛び立つシーンだったが、差し替え
  2. オープニングのコロンビアロゴのトーチがニューラライザーのようにピカッ(予告編ではサングラス)

スワロウテイル

海外タイトル:
Swallowtail Butterfly (国際=アゲハ蝶)
年度:
1996
製作国:
日本
配給:
日本ヘラルド/エース・ピクチャーズ
監督:
岩井俊二
キャスト:
三上博史/Chara/伊藤歩/江口洋介/アンディ・ホイ/渡部篤郎/桃井かおり/山口智子/大塚寧々/ミッキー・カーティス
ストーリー
架空の物語。日本円が世界で最も強かった時代、日本=円都(イェンタウン)には円を求める移民=円盗(イェンタウン)たちで溢れていた。娼婦のグリコのところに迷い込んだ少女はアゲハと名付けられ、フェイフォンら移民達の仲間に入る。偶然手に入れたニセ札作りのデータを基に大量のニセ札を作り、ライブハウスを買い取る。

 

評価
コメント
8
映画ならではの完成度の高い寓話に拍手。舞台設定も、登場人物のアクの強さも、言語も、一見チープになりがちなテーマにも、強烈な独創性を感じさせる。光の使い方が特徴的な映像も、音楽も最高に決まっている。好きなシーンもたくさんあった。だけど、それらが個々にカッコ良過ぎて、せっかくのメッセージが狙い過ぎに映るかも。

雑記:

  1. 子供が偽札を笑って使っている、という珍しい理由でR指定
  2. 音楽は小林武史
  3. 紙幣の磁気は磁性インクによるものなので、後から磁気情報を摺り込むことはできない
  4. アゲハ=伊藤歩は日本アカデミー賞新人俳優賞

運動靴と赤い金魚

原題:
Bacheha-Ye aseman Children of Heaven (神の子供たち)
年度:
1997
製作国:
イラン
配給:
アスミック・エース
監督:
マジッド・マジディ
キャスト:
ミル・ファロク・ハシェミアン/バハレ・セッデキ/アミル・ナージ
ストーリー
妹ザーラの靴を修繕してもらったアリ少年は、帰り道でその靴を無くしてしまう。家は貧しいので親に云うと叱られてしまうだろう。このままでは妹は学校に行けない。兄妹で思案して、まず妹が靴を履いて登校し、終わると走って帰って兄に交替することに。そんなある日マラソン大会が催されることになり、3等の商品は運動靴。。。

 

評価
コメント
7
馴染みの薄い国の映画は、一般人の生活様式ひとつが興味深い。無くした靴とたった一足の靴という象徴を絡ませ、繊細なプロット組みで貧富・兄妹・思いやりなどを見事に描いている。あるいはイランをアピールする意図があったのかな。スロモや編集がやや気になるけど、むしろこちらがハリウッド惚けかも。冒頭の修繕と金魚は脱帽。

雑記:

  1. イラン映画に子供映画が多いのは、イスラム規範に基づく検閲をパスする為の苦肉の策?
  2. アリ役の少年はシロウトで、実際先生に叱られていて涙を流しているところを監督が見留めて採用
  3. イランの生徒は午前のみと午後のみに分かれている

ノー・マンズ・ランド

原題:
No Man’s Land (中立地帯)
年度:
2001
製作国:
フランス/イタリア/ベルギー/イギリス/スロヴェニア
配給:
ビターズ・エンド
監督:
ダニス・タノヴィッチ
キャスト:
ブランコ・ジュリッチ/レネ・ビトラヤツ/フィリプ・ショヴァゴヴィッチ/カトリン・カートリッジ/サイモン・カロウ
ストーリー
セルビア軍とボスニア軍が対峙する前線。夜中に道に迷ったボスニア軍兵士が攻撃を受け、チキだけが生き残り中間地帯の塹壕に取り残される。仲間のボスニア兵の身体の下に仕掛けられた地雷のそばで、セルビア兵ニノと相対。地雷のボスニア兵は生きており、身体を動かすと大爆発する状態。二人は思案して、それぞれ助けを求める。

 

評価
コメント
10
名作!どこかトボけた雰囲気なのに、凡百の反戦映画を吹っ飛ばすメッセージが凄い。国連軍同士が互いの言語に戸惑うのを尻目に、敵同士が共通言語で意思疎通という皮肉。国連を初めとする傍観者=国際社会への失望感がにじみ出ていて悲しい。こんな不条理なのに、極端な寓意性がなく、ある意味リアルなのが恐ろしい。

雑記:

  1. 脚本・音楽もD・タノヴィッチ
  2. アカデミー最優秀外国語映画賞/カンヌ脚本賞 そのた各国賞
  3. D・タノヴィッチはボスニア生まれ(32歳)。戦地映像を中心に
  4. 有事法制審議と絡めて、民主党議員が議員たち向け鑑賞会を企画した

メメント

原題:
Memento (形見)
年度:
2000
製作国:
アメリカ
配給:
アミューズ
監督:
クリストファー・ノーラン
キャスト:
ガイ・ピアース/キャリー・アン・モス/ジョー・パントリアーノ/マーク・ブーン・Jr/スティーヴン・トボロウスキー
ストーリー
妻をレイプされ殺されたショックで、以後の記憶は数分しか持てない後遺症を負ったレナード。彼は復讐の為の犯人探しをするため、見たものをポラロイドに写し、メモを取り、重要なことは入れ墨で記録を残した。犯人らしいのはジョン・Gと思われ、協力者(?)ナタリーや刑事(?)のテディと関わり、そして忘れ続けながらも事件を追ってゆく。

 

評価
コメント
7
記憶が続かないというテーマを記憶が続かないような見せ方をする、というメタ・ギミックとでもいうべき着想と完成度の高さに感服。DVDの時間軸再生があるけど、それを我慢してでももう一度マトモに観たい。特に順行と逆行が「同時進行」するなんてね。ただ、まあそれだけなのも事実。娯楽を追及してせっかくのメッセージ性が弱いかな。

雑記:

  1. 撮影期間は25日間
  2. 前向性健忘(Anterograde Amnesia)という実在の症状
  3. C・ノーランの兄ジョナサンの短編「メメント・モリ」が原作だが、映画完成まで出版されなかった為、監督自身の脚本と思われている
  4. 各国の賞で、主に脚本部分で受賞