'アカデミー作品賞' のアーカイブ

ハート・ロッカー

原題:
Hurt Locker, The (傷ついた箱=”棺桶”)
年度:
2008
製作国:
アメリカ
配給:
ブロードメディア・スタジオ
監督:
キャスリン・ビグロー
キャスト:
ジェレミー・レナー/アンソニー・マッキー/ブライアン・ジェラティ/ガイ・ピアース/レイフ・ファインズ/デビッド・モース
ストーリー
イラク戦争下のバグダッド。米軍の爆発物処理特殊部隊は巧妙に隠された爆発物を探知しそれを慎重に処理する任務。事故死した前任者に代わり新しく赴任した新リーダー、ジェームズ二等軍曹は爆発物処理のスペシャリストだが、命知らずな任務遂行ぶりに部下のサンボーン軍曹らは振り回される。

 

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9
名作だと思う。汗や息やプレッシャーなどを手持ちのコマ切れ映像で丹念につなぎスローの使いどころも巧い。「きっとこちらが正解なのだろう」と思わせる描写(ガンスコープ越しに命中観察できないので補佐必要!普通に生活してる横で戦争してる)など非常に巧い。アメリカ礼讃という批評は的外れだと思う。むしろ逆では。戦争の是非すら発せず。戦争映画に新視点。

雑記:

  1. アカデミー作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、編集賞他。K・ビグロー女性監督賞初。その他各国賞。
  2. ヨルダンとクウェートで撮影。クルーのスケジュール調整に相当難儀。
  3. 2010年時点で、オスカー作品賞としては最も低予算の映画。

クラッシュ

原題:
Crash (衝突)
年度:
2005
製作国:
アメリカ
配給:
ムービーアイ
監督:
ポール・ハギス
キャスト:
サンドラ・ブロック/ドン・チードル/マット・ディロン/ブレンダン・フレイザー/テレンス・ハワード/クリス・“リュダクリス”・ブリッジス/タンディ・ニュートン
ストーリー
ロサンジェルス。黒人刑事が急行したのはある交通事故現場。この事故に至るまでの出来事の群像。ペルシャ人の雑貨経営者は銃器店での差別に憤慨。白人が少数の黒人を恐れているという思想を持つ黒人青年。強盗に車を奪われたという醜聞を隠そうとする検事。人種差別主義者の警官。彼らの人生が微妙に交錯し、思惑は衝突。

 

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6
「微妙にズレる」「気持ちが通じない」「本音が届かない」などの繊細な心象風景をうまくまとめたなあ。美辞麗句の仮面の底に差別が潜むサマとかの描き方がうまい。他方、少し鼻白む演出もあり(盗んだ車に密入国者満載)、問題提起を投げかけるだけなのが気になるけど、映画の文法表現としてはとても良いと思った。

雑記:

  1. アカデミー作品賞、監督賞、助演男優賞(M・ディロン)。「ロッキー」(78)以来の作品賞作品が3部門のみ。
  2. P・ハギス監督は「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本
  3. P・ハギス監督自身がカージャックに襲われ、映画の着想を得た。
  4. S・ブロックらが演じた夫婦らの家は監督自身の家。車も。予算が600万ドルしかなかったため。

ノーカントリー

原題:
No Country for Old Men (老人にとって住みにくい国)
年度:
2007
製作国:
アメリカ
配給:
パラマウント/ショウゲート
監督:
ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
キャスト:
トミー・リー・ジョーンズ/ハビエル・バルデム/ジョシュ・ブローリン/ウッディ・ハレルソン/ケリー・マクドナルド
ストーリー
テキサスの荒野でハンティング中に、麻薬取引のこじれで凄惨な銃撃戦があった場所に出くわしたベトナム帰還兵モス。そこにあった200万ドルが詰まったカバンを持ち帰ってしまい、そのせいで冷酷な殺人鬼シガーに負われる身となる。老保安官エドはモスとシガーを追う先々で次々と殺人が重ねられていく。

 

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7
特に何が起こるわけでもないのにこの不条理な怖さはすごい。そして淡々と起こる殺人にすら諦めの境地で人生を「仕方なく」生きるように見える保安官が切ない。コーエンらしい粋なセリフ回し(ドラッグストアとの店員のやりとりが絶妙)。「ファーゴ」に似てるねやっぱり。T・L・ジョーンズよりもJ・バルデムの渋い演技が好き。

雑記:

  1. アカデミー作品、監督、脚色、助演男優賞(J・バルデム)
  2. 編集もコーエン兄弟だが、「ロデリック・ジェインズ」名義
  3. 原作コーマック・マッカーシー「血と暴力の国」
  4. 多くの原作の有る映画と違い、相当原作に忠実。シーンの順番やセリフも。
  5. J・バルデムは「運転ができず、英語も苦手で暴力も嫌い」という理由で断ろうとしたがコーエン兄弟から「だから声をかけた」と言われて受諾。

ミリオンダラー・ベイビー

原題:
Million Dollar Baby (100万ドルの子) 
年度:
2004
製作国:
アメリカ
配給:
ムービーアイ、松竹
監督:
クリント・イーストウッド
キャスト:
クリント・イーストウッド/ヒラリー・スワンク/モーガン・フリーマン/アンソニー・マッキー
ストーリー
ボクシングジムを営む老トレーナー、フランキーの元にタフだけが取り柄だという貧乏な女マギーが弟子入りしたいとしつこくせがむ。始めあしらっていたが食い下がる31才のマギーにフランキーも折れる。基礎から仕込まれたマギーはやがて試合に出れば連戦連勝。フランキーもマギーもそれぞれに「孤独」を抱えながら強い絆ができる。ところがそこに思わぬ展開が。

 

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10
深く染み入る映画。心の穴を確かめ合うようにお互いを補完する2人にこんな展開が待っていようとは。無駄のないシナリオと主要3名の貫禄のある確かな演技がぐいぐいと映画を引っ張り、ラストの余韻はいつまでも残る。いったいどれだけの映画に触れればこういう映画が作れるのだろう。教会に通うフランキーに西欧の宗教観を象徴させたうえでのこのラストで、C・イーストウッドは大きな問題提起をぐいと示した。「神ではなく俺を求めてるんだ!」。脱帽。

雑記:

  1. アカデミー作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞
  2. ジェリー・ボイドの短編集のうち3つに題材を得た。
  3. C・イーストウッド監督25作目。出演57作目。
  4. マギーと対戦した「青熊のビリー」役は、H・スワンクのボクシングコーチ

オリバー!

原題:
Oliver! (オリヴァー!)
年度:
1968
製作国:
イギリス
配給:
COL
監督:
キャロル・リード
キャスト:
マーク・レスター/ジャック・ワイルド/ロン・ムーディ/シャニ・ウォリス/オリヴァー・リード
ストーリー
C・ディッケンズ原作の舞台の映画化。地方の孤児院暮らしのオリヴァー少年は、丁稚に売られた所で諍いを起こし、奉公先を飛び出し単身ロンドンへ。そこで盗品仲買人ファギン率いる少年盗賊団の一味になる。ある日仲間のスリの容疑者にされたことがきっかけである紳士に引き取られる。ファギンらはオリヴァーをなんとか取り戻したい。

 

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6
何よりも美術!時代を見事に再現した細かいアイテムたちに脱帽(エネルギッシュなゴミゴミ感!)。そして歌や踊りには感心(紳士邸に行商人が売りに来るシーン!)。そして主人公の冒険譚にとどまらず、快活な親分と盗っ人たちが妙に魅力的。舞台も是非いつか観たい、と思った。ただストーリーがもう少し骨太だったらな。

雑記:

  1. アカデミー作品賞/監督賞/美術監督賞/ミュージカル音楽賞/サウンド賞
  2. 原作チャールズ・ディッケンズ/舞台化ライオネル・バート:ロンドンで超ロングラン
  3. 映画は「オリバー・ツイスト」(33:ウィリアム・J・コーエン監督)「オリヴァ・ツイスト」(48:デヴィッド・リーン監督)

ビューティフル・マインド

原題:
Beautiful Mind, A (美しき精神)
年度:
2001
製作国:
アメリカ
配給:
UIP
監督:
ロン・ハワード
キャスト:
ラッセル・クロウ/エド・ハリス/ジェニファー・コネリー/クリストファー・プラマー/ポール・ベタニー
ストーリー
集団中の個人の意思決定メカニズムを理論化した功績で1994年にノーベル経済学賞を受賞したジョン・ナッシュの数奇な半生。天才数学者としてプリンストン大学院に入学した彼は、統一真理を定式化するという大目標を掲げ、授業にも出ず独り研究に没頭。やがてMITでは冷戦下の暗号解読に深く関わり、精神に大きな負荷がかかる。

 

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9
R・クロウが最初から最後まで出ずっぱり!それでもストーリーに充分厚みを感じられる巧い造りと演技。ある意味ハリウッド王道の展開で、ある意味騙されている部分もあるのだろうけど、やはり実話の重みにハッと畏まる。傘をずっと持っていたり、図書館で若者を教育するシーンはサイコーだね。E・ハリスちょい間抜け。

雑記:

  1. R・ハワード監督:「コクーン」(85)「バックマン家の人々」(89)「バックドラフト」(91)「アポロ13」(95)「エドtv」(98:See#29/2001)「身代金」(96)
  2. 受賞理由:「非協力的なゲーム理論」の発展=ナッシュ均衡

ウエスト・サイド物語

原題:
West Side Story (ウェスト・サイド物語)
年度:
1961
製作国:
アメリカ
配給:
UA
監督:
ジェローム・ロビンズ/ロバート・ワイズ
キャスト:
ナタリー・ウッド/リチャード・ベイマン/ジョージ・チャッキリス/リタ・モレーノ
ストーリー
NY の下町を舞台に、敵対するグループ:プエルトリコ系の「シャーク団」と白人系の「ジェット団」。ジェット側のトニー(R・ベイマン)とシャークのボスの妹マリア(N・ウッド)が恋に落ちてしまう。二人の想いとは裏腹に抗争に輪がかかり、やがて悲劇が起こる。NY版ロミジュリのミュージカル。

 

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7
NY俯瞰からスラム街に落とし込むリズミカルな出だしが良い。ロミジュリに似ているなと思ったらアレンジだった。 Storyは措いても、唄&ダンスがすごいね!時間と金をかけたな~という感じ。また、ダンスホールの一目惚れするシーンで二人をハイライトする技法は今でも斬新。確かに映画の教科書かもしれない。。。

雑記:
1. アカデミー作品/監督/助演男優(G・チャッキリス)/助演女優(R・モレーノ)/撮影/美術監督/ミュージカル音楽/音響/編集/衣装デザイン
2. 監督賞を分け合うのは唯一
3. 撮影場所は現リンカン・センター・ビルが在るところ。撮影の為に工事を遅らせた。

グラディエーター

原題:
Gladiator (剣闘士)
年度:
2000
製作国:
アメリカ
配給:
UIP
監督:
リドリー・スコット
キャスト:
ラッセル・クロウ/ホアキン・フェニックス/コニー・ニールセン/オリヴァー・リード
ストーリー
帝政ローマ。老齢のM・アウレリウス帝に寵愛された将軍マキシマス(R・クロウ)は、野心的な嫡子コモドゥス(J・フェニックス)によって不当に死刑に処せられる。同時に妻子を殺されるが、彼は生き延び、地方で奴隷の剣闘士として名を上げ、やがて中央に招聘される。剣闘士として民意を味方につけ、積年の恨みを晴らそうとする。

 

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7
R・クロウが頑張っている映画。悪役コモドゥスの心理描写(父や民や元老院に愛されない苦悩/マキシマスへの嫉妬 /実姉への恋慕など)もなかなか面白かった。戦闘シーンなどの余計なスロモが目障りだったが、映像はとても綺麗。ただ、主人公側の脚本(失脚→妻子殺され →落ち延び→復活→復讐)の必然性が弱い気がした。

雑記:
1. コロセウムのシーンでは実際は2列くらいしかエキストラがいない。後はCG。
2. マキシマスの腕の刺青「SPQR」(=Senatus Populus que Romanorum:元老院ならびにローマ市民)は公民であることの証で今も使われている。
3. 馬のあぶみが登場しているが、西暦800年頃の発明。

サウンド・オブ・ミュージック

原題:
Sound of Music, The (音楽の調べ)
年度:
1965
製作国:
アメリカ
配給:
20世紀フォックス
監督:
ロバート・ワイズ
キャスト:
ジュリー・アンドリューズ/クリストファー・プラマー/エレノア・パーカー/リチャード・ヘイドン
ストーリー
ナチ併合直前のオーストリア。修道女のマリア(J・アンドリューズ)は、厳格なトラップ大佐(C・プラマー)の7人の子供たちの家庭教師を努めることになる。奔放快活で子供が好きなマリアは歌を通じて子供たちに受け入れられ、やがて大佐と恋に落ちる。ナチの影に怯えながらも、音楽祭に乗じて一家は亡命を図る。

 

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9
これぞ王道。底流のストーリーが暗くなりがちなナチ併合ということもあって、歌と子供と修道院という平和のシンボルのようなトリオに本当に助けられる。勿論恋愛部分は時になんだかコテコテに見える部分もあるけれど、何せ40年以上前。ミュージカル形式も大成功。「私のお気に入り」という感じ。

雑記:
1. アカデミー作品賞/監督賞/編集賞/編曲賞/サウンド賞
2. 実話
3. 「I Have Confidence」を歌うシーンで本物のマリア・フォン・トラップがカメオ出演
4. 大佐の元妻は7年前に死んだとの言及があるが、5歳の娘が居る
5. ザルツブルクは実はスイスと国境を接していない