'1990′s' のアーカイブ

フライド・グリーン・トマト

原題:
Fried Green Tomatoes (グリーントマトのフライ)
年度:
1991
製作国:
アメリカ
配給:
アスキー
監督:
ジョン・アブネット
キャスト:
キャシー・ベイツ/ジェシカ・タンディ/メアリー・スチュアート・マスターソン/メアリー・ルイーズ・パーカー/シシリー・タイソン
ストーリー
自分よりTVに夢中な夫に倦む中年の主婦エヴリンは人生に疲れ気味だったが、たまたま老人ホームで出会った老女ニニーが語る過去の物語に激しく心を揺さぶられる。閉鎖的な南部の田舎町でたくましく生きるイジー、そんな彼女の奔放さに魅せられるルース。最愛の人を亡くしたきっかけに急速に友情を深める2人。

 

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8
何が素晴らしいって女優たちの演技。K・ベイツ完璧。まさかのホラー女優卒業宣言w 戦前の南部に存在した様々な社会問題を忍ばせ、過去の出来事が現在に影響を与える手法が面白い。陳腐な友情のテーマをこんなに美しく爽やかに描くとは。結末は読めたけど問題ではない秀作。多分何年かあとに再見しそう。

雑記:

  1. 原作スージー・ブライトの小説。原作は同性愛要素があり、原作者は本作に納得してない。
  2. メアリー~という2人の女優を区別する為に撮影現場ではそれぞれ「ルー」「スチュー」と呼ばれた
  3. M・S・マスターソンがミツバチを採るシーンはスタントなし。用意していたスタントが直前でキャンセル。
  4. オスカー。J・タンディは「ドライビングMissデイジー」(89)で主演女優賞、K・ベイツは「ミザリー」(90)で主演女優賞。

フォロウィング

海外タイトル:
Following (尾行)
年度:
1998
製作国:
イギリス
配給:
アミューズ
監督:
クリストファー・ノーラン

キャスト:
ジェレミー・セオボルド/アレックス・ハウ/ルーシー・ラッセル/ジョン・ノーラン

ストーリー
孤独な作家志望の男ビルの独白。ある時から街中で無作為な人物の尾行をすることを始めた。再尾行の禁止、という自らに課したルールを破った時、相手の方から話し掛けられた。彼は空き巣を生業で、這入った家の主の人生を想像することが楽しいという。彼に付き、空き巣を始めるビル。ある女性宅に侵入してから、事態が狂い始める。

 
 

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6
時間軸の狂わせ方は「メメント」の原点なのだろうけど、記憶疾患、というような理由付けが本作にはないので単純に違和感。それでもこの手のギミックは、何度観てもまだ新鮮味があり、目が離せない。その脚本・編集術に舌を巻く。残念なのは「メメント」の原点、との評価にしかなり得ないところ。ファン以外には飽きられる恐れ。

雑記:

  1. 主人公を尋問する警官役ジョン・ノーランは、監督の叔父 
  2. 脚本・編集・撮影もC・ノーラン
  3. フィルム・ノワールに多分に影響
  4. 低予算で定職のあるスタッフばかりなので、土曜日のみの撮影。したがって撮影に1年

弾丸ランナー

海外タイトル:
Non-Stop (米=ノンストップ)
年度:
1996
製作国:
日本
配給:
日活
監督:
SABU(サブ)

キャスト:
田口トモロヲ/DIAMOND☆YUKAI/堤真一/麿赤兒/大杉漣/菊地隆則/白石ひとみ

ストーリー
ダメ男安田が一念発起、銀行強盗を計画。入念な準備を終え本番。マスクを忘れて近くのコンビニへ。財布を忘れて万引きを画策するも見つかり、思わず発砲。ヤク中の店員に追われる。一方ヤクザの竹田は、自分の弱気で親分と兄貴分を刺されたばかりでブルー。そこへヤクの金を払わない店員と鉢合わせて憤激。走る追う追われる3人!

 
 

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7
アイデア直球という感じで粗削りなんだけど、三者三様の表現がとっても映画らしくて好き(特に性癖。わはは)。劣等感だの敗北感を、走って走ってスカッと解消!大袈裟に言えば走りつづけてある境地すなわちコレ人生、って随分センチなテーマなのに、リアリティを適度に薄めた「映画感覚」が冴え冴えと。センスを感じます。

雑記:

  1. 挿入歌「Shame」は、作詞・作曲・歌:DIAMOND☆YUKAI 
  2. 堤真一は、(何故か)「友情出演」
  3. 組長を暗殺するチンピラ役は、サブ監督
  4. ベルリン映画祭パノラマ部門招待作品
  5. 撮影期間14日間

少年たちは花火を横から見たかった

海外タイトル:
-
年度:
1999
製作国:
日本
配給:
ロックウェルアイズ
監督:
岩井俊二

キャスト:
奥菜恵/山崎裕太/小橋賢児/麻木久仁子/深浦加奈子

ストーリー
CX系ドラマ「ifもしも」の一話として制作された「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」(93)から6年。成長した奥菜恵と山崎裕太の2人が舞台となった千葉県飯岡町を再び訪れる。彼らが辿る撮影の想い出や、岩井監督自らが語る脚本の変遷やアイデアの源泉。当時の番組スタッフ達も制作秘話を語る。

 
 

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5
本編がお気に入りなので、ある意味では楽しめた。特にプールシーンでのライティングに至る経緯や5通りのカメラ視点などは、大変に興味深かった。ただ、自らが企画・監督する「作品」としては、疑問。OVとしてのリリースにしても。磯野家の謎を長谷川町子が企画したような。特に「銀河鉄道の夜」の人形劇は面白いけど、自慰。

雑記:

  1. 奥菜恵はもとより、ノリミチ役山崎裕太は、「あっぱれさんま大先生」や「グッバイ・ママ」(91:秋元康)などで活躍
  2. 劇中のショートストーリーは、「檸檬哀歌」

ゴダールの決別

原題:
Hélas pour moi (嗚呼、わが悲しみよ)
年度:
1993
製作国:
フランス/スイス
配給:
コムストック
監督:
ジャン・リュック・ゴダール

キャスト:
ジェラール・ドパルデュー/ロランス・マスリア/ベルナール・ヴェルレー/ジャン・ルイ・ロカ

ストーリー
ある夫婦を主人公とした物語で、神の降臨がテーマ。神と肉体関係を持ったその人妻の告白や、周辺の人々が彼ら夫婦の所在を説明、それと、彼らを物語の劇中人物として動向を追う語り部役の語りが入る。全篇に哲学的・神学的な引用がセリフとキャプションによって散りばめられる。静止した人物が動き出すなど、実験的手法多々。

 
 

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6
邪道を承知で巻き戻しつつ鑑賞。時間軸が掴みづらい上に、「映画言語の限界か」などと、メタ的セリフが入ったりと、彼の文法を受け入れないとキツい。そのクセ飽きるわけでも腹が立つ訳でもないけど。それにしても、あのペダンチックな「文章の数々」(映画なのに!)を逐一説明してくれる弁士さんが欲しい、と思いつつ再見を誓う。

雑記:

  1. ギリシア神話をモチーフにしたジャン・ジドローの戯曲「アンフィトリオン」に着想を得た。その中で人妻と関係を持つゼウス神が登場
  2. カンヌ映画祭審査員グランプリ
  3. 「神」の潰れた声色はマイクをのどぼとけにつけて発声したゴダール自身

浮き雲

原題:
Kauas pilvet karkaavat (漂う雲)
年度:
1996
製作国:
フィンランド
配給:
ユーロスペース
監督:
アキ・カウリスマキ

キャスト:
カティ・オウティネン/カリ・ヴァーナネン/エリナ・サロ/サカリ・クオスマネン

ストーリー
レストランの給仕長イロナは、夫の市電運転手ラウリと、貧しいながらも幸せな中年夫婦。ところが、レストラン買収で彼女も解雇されるなど、夫婦で失業。思うように職もなく、紹介所の斡旋のいかがわしいダイナーもロクなモンじゃない。やがてかつてのレストランのオーナーの取り計らいで、自分のレストランを経営する夢を与えられる。

 
 

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7
本棚はあるけど本はこれから、とか寂れたレストランを良くするアイディアが給仕とコックの見せかけ一人二役、、などのユーモアはもとより、ラストのお店繁盛の安心感は感情共有。妻の給料を取りに行ってボコボコにされ妻にTELし、「いま遠くに居る」という夫と、それを「絶対許さない」という妻。それでも花を受け取って家路。コレ良いよ。

雑記:

  1. カウリスマキ兄弟はフィンランドで、映画製作会社(ヴィレアルファ)、配給会社(センソ・フィルムズ)、映画館(シネマアンドラ)を設立・所有。評論家からのキャリアスタートでまさに映画漬け人生
  2. 製作時のフィンランドの失業率22%
  3. 子供の写真は、M・ペロンパーの子供時代

神様の愛い奴

海外タイトル:
-
年度:
1998
製作国:
日本
配給:
LOFT CINEMA
監督:
藤原章/大宮イチ

キャスト:
奥崎謙三他

ストーリー
異色ドキュメンタリー。従軍中の同僚隊員の不審死に疑問を持ち中隊長宅で長男を襲撃し、殺人未遂で13年服役していたアナーキストの奥崎謙三。出所し77歳になった彼は獄中で「発見」した「血栓溶解法」を周囲に強引に薦めるが元々暴力でしか自己表現できない彼は周囲に疎まれる。異端児な彼を使ったアダルトビデオの企画が舞い込む。

 
 

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3
「哀れみ」の感情が先行すると怒りの矛先が偽りの恭順を見せるスタッフに、「奇抜観たさ」ならばチープな映像を見せる撮影・編集に向かう。何よりも「ゆきゆきて」で見せた気骨ある奥崎氏を期待すると、奥崎氏自身の倒錯した自己矛盾が許せなくなる。非常に評価に迷う作品だけど、途中から評価しない理由を探す自分に気づく。唯一反骨を見せた2人の女優に拍手。

雑記:

  1. 2001年に<決定版>と加えられてリバイバル上映
  2. 2005年に奥崎氏死去。
  3. 大宮イチは大楽源太名義で「ゲルマニウムの夜」など
  4. 奥崎家の家屋はその後駐車場に。。。(嗚呼)

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊

海外タイトル:
Ghost in the Shell (国際=甲殻の幽霊)
年度:
1995
製作国:
日本
配給:
講談社/バンダイビジュアル/MANGA ENTERTAINMENT
監督:
押井守

キャスト:
田中敦子/大塚明夫/山寺宏一/玄田哲章/仲野裕/大木民夫

シリーズ:
1/2

ストーリー
2029年。サイボーグ化された人類とネット上の仮想世界が発達した近未来の日本。構成員がほとんど部分的にサイボーグである公安9課は、国際手配中のハッカー電脳体「人形使い」を拘束。しかし何故か外務省の特殊部隊に奪われる。率いる草薙素子は取り戻そうと猛追跡。

 
 

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8
うん。評判どおり深い。そしてアニメーション技術の素晴らしさに目を見張るし内容の奥行きは再見に耐える。こうなると「エヴァ」や「ガンダム」や海外アニメ等との比較や順番や影響などが気になるし、そういう位置づけで楽しむアニメ。世界観の独特さは固定ファンがっちり。日本のコンテンツ産業底上げの原点にふさわしいね。

雑記:

  1. 原作は士郎正宗の同名コミック。ただし押井監督演出による多くの相違点。
  2. キャラクターデザイン&作画監督は沖浦啓之。後の「人狼 JIN-ROH」(00)
  3. 一部をCGでリニューアルした「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0」(08)がある
  4. 日本のアニメ映画としては初めて日米英同時公開
  5. 素子はまばたきせず

FRIED DRAGON FISH

海外タイトル:
Fried Dragon Fish (国際=ドラゴンフィッシュのフライ)
年度:
1996
製作国:
日本
配給:
日本ヘラルド/エース・ピクチャーズ
監督:
岩井俊二
キャスト:
芳本美代子/浅野忠信/酒井敏也/OHGUCHI HIROSHI/光石研/田口トモロヲ
ストーリー
小さな探偵事務所にテスト導入されたデルタ社のデータベースアクセスPC(?)。そのオペレータとして派遣されたプーは、時価1000万円というドラゴンフィッシュ失踪事件に首を突っ込む。DBを駆使して行き着いた先には熱帯魚と共に暮らすナツロウが居た。彼は事件の黒幕トビタの部下のテロリストで、その部屋で「飼われ」ていた。

 
 

評価
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6
料理、というだけのキーワードで、脚本の鑑のようなストーリーと、お得意の大胆な色使いなど。やはりスゴい映像作家。ただ、全体的にこじんまりでパンチ不足。映像でなく(ニュースとかの)セリフに語らせるし。芳本に比べて、浅野の平板な演技。それが味なのかも。ところで野暮だけど、デルタ社のイメージ湧かないな。熱帯魚食べたい。

雑記:

  1. CX系深夜ドラマ「La Cuisine」の最終回スペシャル版として放映され、反響殺到
  2. サブタイトル「THOMAS EARWING’S AROWANA」
  3. 「ディーバ」を意識して制作したとのこと
  4. Charaの「Break Thease Chains」に触発され、主役は当初彼女に打診
  5. “F902″は本体マックでキーボードWin
  6. 原作では「スワロウテイル」の前編

打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?

海外タイトル:
Fireworks, Should We See It From the Side or the Bottom? (国際=花火は横から見るの?それとも下から?)
年度:
1993
製作国:
日本
配給:
日本ヘラルド/ヘラルド・エース
監督:
岩井俊二
キャスト:
山崎裕太/奥菜恵/反田孝幸/小橋賢児/ランディ・ヘブンス/山崎一/石井苗子/田口トモロヲ/蛭子能収/光石研
ストーリー
小学校高学年の1学期最終日。今夜は花火大会。ノリミチとユウスケはプールで他愛なく競争し、ユウスケが勝つが、2人とも想いを寄せるナズナが勝者だけにそっと、花火を一緒に観にいこうと誘う。ユウスケは同級生の手前、花火を横から見る仲間の集まりに参加する。もうすぐ転校するナズナは傷つく。もしも、ノリミチが勝っていたら?

 

評価
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8
中篇ながらとっても印象に残った。音楽の挿れ方や独特の夜の撮り方(祭りの逆光/プールでの寄りなど)も良いけど、特筆すべきは奥菜恵の巧さというか可憐さというか、とにかく卓越している感じ。「ifもしも」ドラマ、という設定が少し残念だけど(後半部分の真意が読めない!)、いろんな大切なモノを大いにくすぐられました。佳作。

雑記:

  1. CX系ドラマ「ifもしも」のスペシャル版として制作
  2. 本作の6年後にドキュメンタリー「少年たちは花火を横から見たかった」(99)が制作された
  3. 挿入歌「Forever Friends」(Remedios)
  4. TVドラマ放映にもかかわらず、翌年日本映画監督教会新人賞受賞(初)
  5. キネコ処理