'点10' のアーカイブ

トイ・ストーリー3

原題:
Toy Story 3 (おもちゃの物語3)
年度:
2010
製作国:
アメリカ
配給:
ディズニー
監督:
リー・アンクリッチ
キャスト:
トム・ハンクス/ティム・アレン/ジョーン・キューザック/ネッド・ビーティ/ドン・リックルズ/マイケル・キートン

シリーズ:
1/2/3

ストーリー
人間が見てないところで意志をもったおもちゃたちの世界。シリーズ第3段。前作から10年後。カウボーイ人形のウッディやスペースレンジャーのバズは以前のようにアンディに遊んでもらおうと気を引くがアンディはもう大学生に。寄付された保育園では持ち主はいないが代々遊んでくれる子供たちが。アンディのもとに帰ろうとするウッディと残ろうとする他のおもちゃ。しかしこの保育園は大変なところだった。

 

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10
IMAX3D鑑賞。素晴らしい。回を重ねるごとに完成度高まる。おもちゃは歳を取れない、という前作の主要テーマをもう一回?と思ってたが、この見事な料理の仕方に驚く。ともかくいきいきとキャラが立ち、伏線回収と大団円に至る脚本がキレにキレる。スペイン語バズに吹いた。そしてもう一度観たい。3Dでなくてもいいかも。

雑記:

  1. スクリプトに2年半。総製作期間は4年。
  2. 出てくるキャラクターは302
  3. アンディの苗字は「デイヴィス」。一瞬登場する高校の成績表より。
  4. 字幕がついたピクサー映画は「Mr.インクレディブル」以来。

隔絶北朝鮮の秘密のベール取り払う (Kimjongilia)

原題:
Kimjongilia (キムジョンイルファ)
年度:
2009
製作国:
アメリカ/フランス/韓国
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
N・C・ハイキン
キャスト:
カン・チョイファン/イ・シン他
ストーリー
ドキュメンタリー。北朝鮮脱走者(脱北者)の証言を集めた同国の実態。国の至る所に強制収容所。指導者の悪口は三代にわたって収容所行き。そこでのタダ働きは経済の基盤を成すほど。過酷な生活に耐えかね脱北を試みる者多数。韓国行きは壁が厚い。首尾よく中国に侵入できても見つかれば強制送還、銃殺刑。その恐怖。

 

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10
かなり良質なドキュメンタリー。かの国の生々しく過酷な現状。拉致など屁でもないんだろうな。ただ、恐怖政治に洗脳された北朝鮮国民を弄び国際政治の道具とする中国は何なのかと思う。挟まれる舞踏映像とタイトルのポップさと、この内容が示すどす黒さの対照が据わりの悪い皮肉となって印象に残る。日本の表現者にこれが創れない理由はなんだろう。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. サンダンスでワールドプレミア
  3. ハイケン監督の初ドキュメンタリー
  4. 金正日花(キムジョンイルファ)は、日本の植物学者・加茂元照氏がキムジョンイルの46歳の誕生日を祝って贈呈。ベゴニアをベース。

海を飛ぶ夢

原題:
Mar Adentro (裡なる海)
年度:
2004
製作国:
スペイン
配給:
東宝東和
監督:
アレハンドロ・アメナーバル
キャスト:
ハビエル・バルデム/ベレン・ルエダ/ロラ・ドゥエニャス/クララ・セグラ/マベル・リベラ
ストーリー
海での事故により四肢麻痺となり30年弱になるラモン。ラ・コルーニャの自宅のベッド。家族の献身的な助力に支えられながら動かぬ体で生を見つめ続けた彼は死を決意。弁護士のフリアは彼の尊厳死を裁判で勝ち取るために彼の話を聞き、彼の「生き方」に次第に惹かれる。

 

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10
魂が揺さぶられた。J・バルデムの強烈な演技に舌を巻いた。カトリック社会での尊厳死という正答のない重いテーマを濃厚に丁寧に描く。キャストそれぞれの主張は全て等しく個人の死生観。逃げずに真正面から描き対立軸も置かなかった。それがリアルな社会であり、身近にある死の本質。

雑記:

  1. アカデミー外国語映画賞。ベネチア映画祭主演男優賞。その他各国で受賞。
  2. 実話に基づく。
  3. 3ヶ月前に写真公開。J・バルデムのメークに慣れてもらうため。メークは5時間かかってた
  4. 音楽もA・アメナーバル

ゆきゆきて、神軍

海外タイトル:
Emperor’s Naked Army Marches On, The  (国際=裸の皇軍の行進)
年度:
1987
製作国:
日本
配給:
疾走プロ
監督:
原一男

キャスト:
奥崎謙三

ストーリー
昭和天皇へのパチンコ発射事件などで知られる過激なアナーキスト奥崎謙三が、戦時中のニューギニア戦線の現場で起こった上官による部下殺害事件の真相を暴き責任を追及しようと、遺族とともにかつての上官宅などを次々とアポなし訪問する。35年以上昔のことに関係者は一様に口をつぐむが、次第に本物の地獄絵図が明らかになっていく。

 
 

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10
ドキュメンタリー史の傑作じゃないだろうか。奥崎氏の主張や手法にはまるで賛成できないけれど、彼が暴いていく真相こそが戦争の真の地獄だと感じる。美化された戦争が大量生産された現代に放り込まれた問題作。戦争犯罪の難しさ。時代の潮流の苛烈さ。被写体と製作者の距離感も明確で、ドキュメンタリーの本質(ヤラセ)を完璧に活用した問題提起となっている。秀作。

雑記:

  1. 日本A映画監督協会新人賞、ベルリン映画祭カリガリ映画賞、シネマ・デュ・レェール・グランプリ、報知映画賞優秀監督賞、等受賞
  2. 撮影期間は1982年から5年間。
  3. 疾走プロダクションは原監督が妻と結成したプロダクション。ほとんどの作品で共同作業。
  4.       

  5. 奥崎氏のと原監督の意図が噛み合っておらず、監督は相当苦労して撮影したようだ。

善き人のためのソナタ

原題:
Leben Der Anderen, Das (他人の生活)
年度:
2006
製作国:
ドイツ
配給:
アルバトロス
監督:
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
キャスト:
ウルリッヒ・ミューエ/マルティナ・ゲデック/セバスチャン・コッホ/ウルリッヒ・トゥクール/トマス・ティーマ
ストーリー
旧東ドイツの秘密警察=国家保安省(シュタージ)のヴィースラーは社会主義と東独国家の未来を信じ、任に厚く上官からも信頼されていた。西側への傾倒を察知するため劇作家ドライマンとその恋人の女優クリスタの監視を命じられ、自宅に盗聴器を仕掛け昼夜盗聴を開始する。しかし彼らの深い愛情に次第に心が動かされる。やがて聞こえてきたのは「聴いた人は悪人になれない」というピアノソナタ・・・。

 

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10
名作。ラスト15分(特にラストシーン)に激しく心を打たれた。脚本が素晴らしすぎる。この時代、この責任のなかで貫く「純愛」の切なさ。翻弄される人生。秘密警察ゆえの冷徹な表情と寡黙な任務のなかにこそ、熱くほとばしるものがあった。ほんのちょっと昔にこれがあり得たという時代のうねりにもぞっとする。この社会背景の異常さ。音楽がこれほどマッチしている映画も少なくなってきた。

雑記:

  1. ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督(脚本も)は本作がデビュー作。自らも監視された過去。
  2. アカデミー外国語映画賞
  3. ベルリンの壁崩壊後、シュタージによって監視された「反体制分子」の個人情報は本人に限り閲覧が許可された。しかしそれによって身の回りの人間がシュタージに加担していたことを知り人間不信が増大。
  4. 撮影には旧シュタージ本部も使われた。
  5. 悪人になれない、というピアノソナタはガブリエル・ヤレド作曲。映画音楽多数。
  6. 作中の本はブレヒト「マリー・Aの思い出」

ミリオンダラー・ベイビー

原題:
Million Dollar Baby (100万ドルの子) 
年度:
2004
製作国:
アメリカ
配給:
ムービーアイ、松竹
監督:
クリント・イーストウッド
キャスト:
クリント・イーストウッド/ヒラリー・スワンク/モーガン・フリーマン/アンソニー・マッキー
ストーリー
ボクシングジムを営む老トレーナー、フランキーの元にタフだけが取り柄だという貧乏な女マギーが弟子入りしたいとしつこくせがむ。始めあしらっていたが食い下がる31才のマギーにフランキーも折れる。基礎から仕込まれたマギーはやがて試合に出れば連戦連勝。フランキーもマギーもそれぞれに「孤独」を抱えながら強い絆ができる。ところがそこに思わぬ展開が。

 

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10
深く染み入る映画。心の穴を確かめ合うようにお互いを補完する2人にこんな展開が待っていようとは。無駄のないシナリオと主要3名の貫禄のある確かな演技がぐいぐいと映画を引っ張り、ラストの余韻はいつまでも残る。いったいどれだけの映画に触れればこういう映画が作れるのだろう。教会に通うフランキーに西欧の宗教観を象徴させたうえでのこのラストで、C・イーストウッドは大きな問題提起をぐいと示した。「神ではなく俺を求めてるんだ!」。脱帽。

雑記:

  1. アカデミー作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞
  2. ジェリー・ボイドの短編集のうち3つに題材を得た。
  3. C・イーストウッド監督25作目。出演57作目。
  4. マギーと対戦した「青熊のビリー」役は、H・スワンクのボクシングコーチ

時計じかけのオレンジ

原題:
Clockwork Orange, A (時計じかけのオレンジ)
年度:
1971
製作国:
アメリカ
配給:
ワーナー
監督:
スタンリー・キューブリック
キャスト:
マルコム・マクダウェル/パトリック・マギー/マイケル・ベイツ/ウォーレン・クラーク
ストーリー
近未来。モラルが頽廃した町で暴力とレイプに明け暮れる少年グループ。一派を率いるアレックスは、その日もドラッグ入りのミルクバーでハイになって夜の街へ。浮浪老人をいたぶり、敵対グループと争い、民家に押し入りレイプ。 ある日仲間の裏切りで逮捕されてしまったアレックスは懲役刑を食らうも模範囚となり、政府が計画していた最新の矯正プログラムに志願する。

 

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10
何度観ても最高。大して芸術センスのない自分ですら、この映画が放つめくるめくアートとバイオレンスのパワーには圧倒される。個人の暴力を描く裏で、実はおぞましいほどの暴力を行使する国家こそ「時計じかけのオレンジ」だという強烈なメッセージ。この架空の近未来が、実は共産主義を想定していることは示唆に富む。文句なく不朽の名作と言える。

雑記:

  1. 原作アンソニー・バージェス。
  2. 若者たちが使う独特の言葉は「ナッドサット言葉」。ロシア語に強く影響。バージェスは言語学者でもある。
  3. この映画を観て知事暗殺を計画した男の日記を読んで「タクシードライバー」が書かれ、それに影響されてレーガン暗殺企てに。
  4.  

  5. M・マクダウェルがそらで唄えるのが「雨に唄えば」だけだったので、採用
  6. ナンパ女性との早回しセックスシーンは、松本俊夫「薔薇の葬列」に影響

ノー・マンズ・ランド

原題:
No Man’s Land (中立地帯)
年度:
2001
製作国:
フランス/イタリア/ベルギー/イギリス/スロヴェニア
配給:
ビターズ・エンド
監督:
ダニス・タノヴィッチ
キャスト:
ブランコ・ジュリッチ/レネ・ビトラヤツ/フィリプ・ショヴァゴヴィッチ/カトリン・カートリッジ/サイモン・カロウ
ストーリー
セルビア軍とボスニア軍が対峙する前線。夜中に道に迷ったボスニア軍兵士が攻撃を受け、チキだけが生き残り中間地帯の塹壕に取り残される。仲間のボスニア兵の身体の下に仕掛けられた地雷のそばで、セルビア兵ニノと相対。地雷のボスニア兵は生きており、身体を動かすと大爆発する状態。二人は思案して、それぞれ助けを求める。

 

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10
名作!どこかトボけた雰囲気なのに、凡百の反戦映画を吹っ飛ばすメッセージが凄い。国連軍同士が互いの言語に戸惑うのを尻目に、敵同士が共通言語で意思疎通という皮肉。国連を初めとする傍観者=国際社会への失望感がにじみ出ていて悲しい。こんな不条理なのに、極端な寓意性がなく、ある意味リアルなのが恐ろしい。

雑記:

  1. 脚本・音楽もD・タノヴィッチ
  2. アカデミー最優秀外国語映画賞/カンヌ脚本賞 そのた各国賞
  3. D・タノヴィッチはボスニア生まれ(32歳)。戦地映像を中心に
  4. 有事法制審議と絡めて、民主党議員が議員たち向け鑑賞会を企画した

2001年宇宙の旅

原題:
2001:A Space Odyssey (2001年: 宇宙の大叙事詩)
年度:
1968
製作国:
アメリカ
配給:
MGM
監督:
スタンリー・キューブリック
キャスト:
ケア・デュリア/ゲイリー・ロックウッド/ウィリアム・シルベスター
ストーリー
猿人が跋扈する太古の地球。部族間の争いにあけくれる朝、ひとりの猿人が見つけたものは聳え立つ幾何学的な漆黒の板。恐る恐るそれに触れた猿人は知恵に目覚め、骨を武器に対立勢力に勝利を収める。時代は大きく下って2001年。月にコロニーを作るほど文明が発達した人類。ある日月面の一部から強力な電波信号を検知した。そこには巨大な漆黒の板が聳え立ち、電波は遠く木星の方角を示している。人工知能を搭載した宇宙船HALに乗り込み、選抜された飛行士達が木星を目指す・・・。

 

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10
深遠であり、幽玄。文明を発達させ母星を脱出し知能は人工化されても、宇宙の法則を統べる形而上の存在の前には「赤子」に等しいのだ、ということを強く暗示。文明化により徐々に「搾り取られる」人類はなんとか弱き存在だろう。HALの冷徹な所業と茫漠な宇宙の冷酷さにヨハン・シュトラウスのワルツを組み合わせるとはなんと粋な皮肉を示すのか。猿人が骨をたたきつける場面は何度観ても映画史上最高のシーンだと思う。

雑記:

  1. アカデミー特殊視覚効果賞
  2. 管制官の声を務めたフランク・ミラーは当時のUS空軍の実際の管制官。緊張のため足をトントン鳴らしながら撮影。
  3. アーサー・C・クラークの同名小説。ただし、本作の脚本と同時進行されたため、映画が先か小説が先かは不明。
  4. HALの声を務めたダグラス・レインは一度もセットに来なかった
  5. 初期の版では全編にわたってナレーションがあった
  6. A・C・クラークによれば、キューブリックは当初、映画公開前に地球外の知的生命体が発見されてしまう事態に備えた保険をかけようとロイド社にかけあったが、同社が拒否。そのことについてカール・セーガン「ロイドはもったいないことをした」
  7. フロイド博士の娘役は監督の娘ビビアン・キューブリック
  8. 冒頭の25分を含め、全編で88分もの長さがセリフ無し。
  9. HALは、当初Athena(アテナ)と呼ばれ、女性の声を当てていた

A2

海外タイトル:
-
年度:
2001
製作国:
日本
配給:
「A」上映委員会
監督:
森達也
キャスト:
アレフ信者/各地住民/森達也
ストーリー
前作から数年を経て、再びオウム真理教(アレフ)内部の視点で、事件から一呼吸おいた後の地域社会のオウムとの接し方、またマスコミ報道には表れない一面。ある街では立ち退き要求と監視の為にテントが張られるが、実際去る際には記念撮影まで。オウムは解散すべきで、立ち退き要求は不当だと語る右翼。性欲に悩む信者など。

 

評価
コメント
10
抜群に面白い。普段から、行政・マスコミのオウムへの態度はオカシイと思っていたし、法治・民主国家である筈の日本で、転入や入学の拒否が行政レベルで公認されることは変だと思っていた。まさに慧眼。マスコミ論調を無批判に受け入れ思考停止状態になることの滑稽さと恐ろしさ。当初ビデオ化予定なかったのはなんか残念。多くの人が観ればなあ。

雑記:

  1. 各大手新聞社の映画サイトの本作レビューに「マスコミ批判」「マスコミの嘘」の趣旨の内容説明は一切無い(まあ当然?)
  2. 本作完成後に、NY同時多発テロ。ある信者から監督に「6年前の自分たちを客観的に見られた」とのメールが