'国:ドイツ' のアーカイブ

Toyland おもちゃの国

原題:
Spielzeugland (おもちゃの国)
年度:
2007
製作国:
ドイツ
配給:
ビジュアルボイス
監督:
ヨヘン・アレクサンダー・フライダンク
キャスト:
ジュリア・イェーガー/セドリック・アイヒ/トルステン・ミハエル/クラウディア・ヒュプシュマン
ストーリー
短編。ナチス統制下のドイツ。一緒にピアノを習う友達同士のハインリヒとデビッド。実はデビッド一家はユダヤ人で明日連行されることが決まっている。ハインリヒの母は息子に「デビッドは明日からおもちゃの国に行く」という嘘をつく。ハインリヒは自分も行きたいとねだるが当然拒否される。ハインリヒは母に内緒で付いていくことを決める。

 

評価
コメント
8
佳作。シンプルな短編ながら、列車の扉を開けたときに人々が交わす無言の、だけど人間愛にあふれた雄弁な会話が本当に心に残る。編集も気持ちよい。序盤と終盤にひとつずつ表れる「良い嘘」の対比が見事。そして冒頭とラストのピアノ。このシンメトリーには唸る。

雑記:

  1. アカデミー短編実写賞受賞
  2. スタッフもキャストも初めはノーギャラ。制作費は30000ユーロ。

名もなきアフリカの地で

原題:
Nirgendwo in Afrika (アフリカの名もなき地で)
年度:
2001
製作国:
ドイツ
配給:
ギャガ・コミュニケーションズ
監督:
カロリーヌ・リンク
キャスト:
レア・クルカ/カロリーネ・エケルツ/メラーブ・ニニッゼ
ストーリー
第二次世界大戦直前、祖国ドイツでのナチスの迫害を逃れて英植民地ケニアのロンガイの農場で暮らすことになったユダヤ人一家。ヴァルターとイエッテルの夫婦は慣れぬアフリカでの暮らしに戸惑い、時に諍う。幼い娘レギーナは異国の暮らしに順応し、現地の料理人オウアや子供たちとともにたくましく成長する。

 

評価
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9
良い映画。違いにこそ価値がある。陳腐な箴言のようでいて、人の諍いのほとんどはそれを忘れてしまうことに原因があるのだ。夫婦のすれ違い、言葉の壁、文明差、文化や死生観の違い、そして、同国人なのに「よそ者」として逃げなければならない事実。そんな大人の事情をよそに、レギーナの屈託ないたくましさはどうだ。2人とも撮影現場ではさぞ才覚見せたんだろうな。

雑記:

  1. アカデミー外国語映画賞
  2. 原作シュテファニー・ツヴァイク。自伝。
  3. 監督C・リンクは「ビヨンド・サイレンス」(96)「点子ちゃんとアントン」(00)
  4. ドイツ語、スワヒリ語、英語

戦場のピアニスト

原題:
Pianist, The (ピアニスト)
年度:
2002
製作国:
フランス/ドイツ/ポーランド/イギリス
配給:
アミューズピクチャーズ
監督:
ロマン・ポランスキー
キャスト:
エイドリアン・ブロディ/トーマス・クレッチマン/フランク・フィンレイ
ストーリー
実体験の回想録を基にした話。1939年のワルシャワ。ナチスドイツの攻撃を受けたラジオ放送局で演奏中だったユダヤ人ピアニストのウワディク・シュピルマンは一家とともにゲットーへの移住を強制される。毎日が生きるか死ぬかの過酷な暮らし。ポーランド人のなかにもナチスへの協力者が現れるなかシュピルマン一家は離散の危機に。

 

評価
コメント
9
ポランスキーの魂が乗った名作。切なくて感動的。収容所ではなく「よりリアルに根ざした」無意味な虐待と虐殺。A・ブロディの素晴らしい演技。生きることと食べることをひたすら動物的に追求する描写のはずなのに、どんなピアニストの映画よりも芸術感あふれる後半の力強さはどうだ。せっかく弾切れ→わざわざ弾込めてズドン、キャラメル6等分、缶があるのに開かない、などの演出ひとつひとつが丁寧でしつこくない。人に勧めたい映画。

雑記:

  1. R・ポランスキー監督も両親が収容所。自身も幼少期はナチス占領下のポーランド。
  2. カンヌ・パルムドール、ボストン映画批評家賞、アカデミー3部門。
  3. A・ブロディは6週間にわたるダイエットで14kg落とした。
  4. クラコフでロケ地を探していたとき、R・ポランスキー一家をかつて助けた男性に偶然会った
  5. A・ブロディは欠乏感を味わうため、アパートを引き払い、車を売り、テレビを観なかった
  6. 仏セザール賞も受賞。一言もフランス語が話されない映画で初。
  7. オープニングには一切クレジット無し。

善き人のためのソナタ

原題:
Leben Der Anderen, Das (他人の生活)
年度:
2006
製作国:
ドイツ
配給:
アルバトロス
監督:
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
キャスト:
ウルリッヒ・ミューエ/マルティナ・ゲデック/セバスチャン・コッホ/ウルリッヒ・トゥクール/トマス・ティーマ
ストーリー
旧東ドイツの秘密警察=国家保安省(シュタージ)のヴィースラーは社会主義と東独国家の未来を信じ、任に厚く上官からも信頼されていた。西側への傾倒を察知するため劇作家ドライマンとその恋人の女優クリスタの監視を命じられ、自宅に盗聴器を仕掛け昼夜盗聴を開始する。しかし彼らの深い愛情に次第に心が動かされる。やがて聞こえてきたのは「聴いた人は悪人になれない」というピアノソナタ・・・。

 

評価
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10
名作。ラスト15分(特にラストシーン)に激しく心を打たれた。脚本が素晴らしすぎる。この時代、この責任のなかで貫く「純愛」の切なさ。翻弄される人生。秘密警察ゆえの冷徹な表情と寡黙な任務のなかにこそ、熱くほとばしるものがあった。ほんのちょっと昔にこれがあり得たという時代のうねりにもぞっとする。この社会背景の異常さ。音楽がこれほどマッチしている映画も少なくなってきた。

雑記:

  1. ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督(脚本も)は本作がデビュー作。自らも監視された過去。
  2. アカデミー外国語映画賞
  3. ベルリンの壁崩壊後、シュタージによって監視された「反体制分子」の個人情報は本人に限り閲覧が許可された。しかしそれによって身の回りの人間がシュタージに加担していたことを知り人間不信が増大。
  4. 撮影には旧シュタージ本部も使われた。
  5. 悪人になれない、というピアノソナタはガブリエル・ヤレド作曲。映画音楽多数。
  6. 作中の本はブレヒト「マリー・Aの思い出」

ヒトラーの贋札

原題:
Fälscher, Die (贋札師)
年度:
2006
製作国:
ドイツ/オーストリア
配給:
クロックワークス
監督:
シュテファン・ルツォヴィツキー
キャスト:
カール・マルコヴィクス/アウグスト・ディール/デービト・シュトリーゾフ/マリー・ボイマー/ドロレス・チャップリン
ストーリー
戦時のナチス・ドイツ指揮下で実施された史上最大規模の偽造紙幣プロジェクトである「ベルンハルト作戦」を、実際に偽札作りに関わったザクセンハウゼン強制収容所のユダヤ人の視点で描く。偽札作りで名を馳せていたロシア系ユダヤ人のサリーや印刷工のブルガーたちはやがて敵国イギリスの経済を破壊するための偽ポンド作りを命じられる。ナチスに手を貸すという同胞への反逆と命を守る葛藤に悩みながらも精巧な偽札作りに務める。

 

評価
コメント
8
良かった。センチかも知れないけれど正義とはやはり極限下でこそ問われるもの。悲惨な虐殺も戦闘もヒトラーすらも描かずに、ホロコーストの本質を描いて見せた。「金は造れる」という言葉が重い。そしてこれが実話を基にしている点が何より重い。鉛色の空、収容所のカーキ色、偽ポンドの白(!)、随所の色の使い方も秀逸。

雑記:

  1. ベルガーによる原作「ヒトラーの偽札 悪魔の工房」
  2. アカデミー外国語映画賞。オーストリア初。
  3. 降伏したドイツ軍によって偽紙幣や機械は湖に沈められたが1959年に週刊誌が回収。全容が明らかに。
  4. トルコの機密情報を盗み出したイギリスのスパイは、全額をこの偽札で受け取ってしまう(=キケロ事件)
  5. ドル札にも手を出したが、結局使われなかった

es [エス]

原題:
Experiment, Das (実験)
年度:
2001
製作国:
ドイツ
配給:
ギャガ
監督:
オリバー・ヒルツェヴィゲル
キャスト:
モーリッツ・ブライブトロイ/ユストゥス・フォン・ドーナニー/クリスチャン・ベルケル/オリヴァー・ストコウフキ
ストーリー
1971年に行われた心理実験。そのあまりに衝撃的な結末から、現在は禁止されている実話を描く。無作為に募集された20人の被験者を看守役と囚人役に分け、2週間その役割を演じさせ、その精神状態の変遷を調べる試み。特ダネをつかみ記者に戻ろうとするタレクなど、軽い気持ちの被験者が大半だったが、次第に人格に影響が表れる。

 

評価
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6
人為的な極限状態下の心理という特殊テーマ、、、斬新な着眼点。だけど最後まで実話とは述べず。これが虚構なら銃の存在や監視外の行動などの不確定要素を外した実験をして欲しかっただけに、実話の具体的情報は出すべき。そして実験と結果の心理学的な意味はやはり軽く触れて欲しかった。事前の想像以上には至らなかった。

雑記:

  1. スタンフォード大ジンバルド教授の実験。アメリカは裁判係争中で、映画の上映は不可
  2. 実験年などには異説もあり

スターリングラード

原題:
Enemy at the Gates (近くに潜む敵)
年度:
2001
製作国:
アメリカ/ドイツ/イギリス/アイルランド
配給:
日本ヘラルド
監督:
ジャン・ジャック・アノー
キャスト:
ジュード・ロウ/ジョゼフ・ファインズ/レイチェル・ワイズ/エド・ハリス/ボブ・ホスキンズ
ストーリー
1942 年対独スターリングラード戦線。ソ連軍政治委員のダニロフ(J・ファインズ)に腕を買われて狙撃班入りしたヴァシリ(J・ロウ)の名は、狙撃した敵将校の数と共に国中に轟く。地元の兵士ターニャ(R・ワイズ)への想い/ダニロフとの友情と軋轢を胸に抱える中、独軍の刺客ケーニッヒ少佐(E・ハリス)との対決が始まる。

 

評価
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5
勿体無いことに全体的にメッセージが弱い。当時のロシア人達がコミュニズムを否定するセリフは軽薄に聞こえる。個々のエピソードが軽い。息子が独軍に寝返ったと知った直後にターニャが死ぬ皮肉を生かして欲しい/敵に背を向けて味方に撃たれるモチーフをヴァシリにも欲しい/失恋したダニロフがわざと撃たれるのは強引。

雑記:
1. 本戦線での敗退がナチの敗退を決定づけた重要な戦い
2. 冒頭の戦闘シーンはカメラ7台エキストラ700人
3. フランス人監督なのにベトナム→チベット→ロシアと外国ばかり

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

原題:
Buena Vista Social Club (ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ)
年度:
1999
製作国:
ドイツ/アメリカ/フランス/キューバ
配給:
日活
監督:
ヴィム・ヴェンダース
キャスト:
コンパイ・セグンド/イブライム・フェレール/ライ・クーダー/エリアデス・オチョーア
ストーリー
キューバの名うての老ミュージシャン達が、ライ・クーダーの呼びかけの元、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」というアルバムを作製するドキュメンタリー。アムステルダムやNYでのコンサート映像や、音楽や生き様に関する彼らへのインタビューを挟みながら、忘れられかけていたラテン音楽の盟主たちの音楽が流れていく。

 

評価
コメント
5
彼らについて、少しでも前提知識があれば、またはキューバ音楽の現状と見通しについて、少しでも関心があれば、このドキュメンタリーは心を打つのだと思う。残念ながら音楽の良さ以外には、爺さんたちが寄り集まってCDを作っている姿にどうもトキメかなかった。ただ、実録部分とコンサート映像のつなぎ編集の完成度高し。

雑記:
1. ライ・クーダーはW・ヴェンダース映画の音楽を担当していたことがあった
2. CDはグラミー賞を獲得

アース

原題:
Earth (地球)
年度:
2007
製作国:
ドイツ/イギリス
配給:
ギャガ
監督:
アラステア・フォザーギル/マーク・リンフィールド
キャスト:
地球/パトリック・スチュワート(渡辺謙)
ストーリー
地球に住む隣人たちの知られざる生態の数々を描くドキュメンタリー。北極から南極まで、渡り鳥やザトウクジラの旅に同行しながら、通常は見ることのできない動物たちの生き様を描く。その美しい奇跡の調和が、地球温暖化の進行により乱されつつある。我々にできることは何か。

 

評価
コメント
8
とにかく映像がすばらしい。さすがはBBCという感じがする。なかでも超ハイスピードカメラによる映像は圧巻。ホオジロザメが水面からあんなに跳ね上がる姿はなかなか撮れないのではないか。兄弟たちの奥深さを感じるとともに、今後も地球のためにできることを、言葉だけではなく実行していきたいと思った。

雑記:
1. 英BBCと日本のNHKが共同制作した「プラネットアース」の映像素材の再構成
2. 音楽はベルリン・フィル
3. スタッフは、「ディープ・ブルー」(03)