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アンティル・ザ・ライト・テイクス・アス (Until The Light Takes Us)

原題:
Until The Light Takes Us  (その光が我らを包むまで)
年度:
2009
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
アーロン・エイツ/オードリー・ユール
キャスト:
-
ストーリー
ドキュメンタリー。温和なキリスト教国と思われがちなノルウェーで、1990年代に極端なブラックメタル・ミュージックが進化。インナーサークルと呼ばれる過激集団が社会へ放つ呪詛の言葉が遂には教会放火や殺人へエスカレート。服役中の獄中の元ボーカルへのインタビューを通じて明らかにされる血みどろの歴史。

 

評価
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8
数十年前の左傾化した若者の暴走と同じ構図がこんな最近に、しかもあの北欧で起こっていたことにびっくり。ブラックメタルの系譜がキリスト教や資本主義から土着文化を守る流れにつながることに無知だった。商業主義を嫌悪して調音を外すのに売るのね。軽すぎる刑も含め、カルチャーショック。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. 製作リッキー・レイクは女優。A・エプスタインを誘ってプロジェクト始めた。

バングラデシュの衣料工場で働く女工たち (Garment Girls/ガーメント・ガールズ)

原題:
Bostrobalikara: Garment Girls of Bangladesh (バングラデシュの衣料工場の女工たち)
年度:
2007
製作国:
バングラデシュ
配給:
CSOネットワーク/シャプラニール
監督:
タンヴィール・モカメル
キャスト:
-
ストーリー
ドキュメンタリー。貧困国バングラデシュにおいて繊維や衣料は重要な産業のひとつ。衣料工場には農村から出稼ぎに来た女工たちが懸命に働く。しかし低賃金や衛生や住居など多くの問題を抱え社会問題となっている。現場や関係者へのインタビュー等を通じ、国際社会の目の届かない「針子」たちの実態と課題を説く。

 

評価
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8
フェアトレードの問題はどれも奥深い。大量消費時代の経済原理では負のしわ寄せは低きに流れる水のごとくいつも貧国に。先進国の技術発展や消費嗜好の変遷が一次産業の生産体制と連動しておらず問題が顕在化。グローバル企業だけではなく社会全体の共感力向上と意識改革が求められている。怨嗟の声も含め、女工たちの屈託ない本音は映画以外でも人々に届けないと。

雑記:

  1. T・モカメル監督はもともと貧農を組織する左派系活動家。多くの社会問題作品をはじめ、小説や詩や文芸批評も手掛ける
  2. 日本語字幕版は市民活動を支援する「CSOネットワーク」による。教育目的の限定貸出のみ対応。
  3. 衣料産業で約200万人の雇用。85%が女性。
  4. 1974年発効の多角的繊維協定(MFA)により途上国の輸出量の割り当てが決められバングラデシュも一大産業化。しかし協定は2004年に廃止。
  5. 中国の大国化に伴なう賃金上昇によりバングラデシュの低賃金が注目されている。

FUCK ファック

原題:
FUCK: Four Letter Film (ファック: 四文字映画)
年度:
2006
製作国:
アメリカ
配給:
ムヴィオラ
監督:
スティーブ・アンダーソン
キャスト:
アラニス・モリセット/チャック・D/アイス・T/ハワード・スターン/ビリー・コノリー/ビル・マー
ストーリー
ドキュメンタリー。英語でもっともポピュラーな放送禁止用語”fuck”に関するあれこれ。映画監督、言語学者、コメディアン、ポルノ女優、政治家など多種多様な人がこの言葉について語る。使われる状況で様々な意味になり、品詞も万能。言論の自由にも議論は踏み込み、歴史的・言語的・学術的側面も。猫も杓子もファック!

 

評価
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8
ここまで連呼されると痛快。性交が形容詞になって老若男女が普通に使っちゃう社会もすごいけど、その普通に使う言葉を放送コードで禁止しちゃうアメリカ社会の「奇妙な」バランス感覚が面白い。そして禁止してるのにポッとこういう映画が出てくるのもまた。良くも悪くも実にアメリカ的。ヨーロッパや日本でこの手の映画をつくるとしたらどんなだろう。

雑記:

  1. 本作は90分。四文字言葉は857回使用。
  2. 本作を紹介するメディアやプレスがタイトルをどう表記するかを監視する特命チーム結成。F*ckやF***など様々。主要紙で伏字使わなかったのはカナダの1紙のみ。
  3. Fornication Under Consent of the King(王の名による姦淫)が語源とする俗説は恐らく根拠なし

父親たちの星条旗

原題:
Flags of Our Fathers (父親たちの旗)
年度:
2006
製作国:
アメリカ
配給:
ワーナー
監督:
クリント・イーストウッド
キャスト:
ライアン・フィリップ/ジェシー・ブラッドフォード/アダム・ビーチ/バリー・ペッパー/ジョン・ベンジャミン・ヒッキー

シリーズ:
1/2

ストーリー
太平洋戦争末期の小笠原諸島・硫黄島での日米交戦を描く2部作。アメリカ側(占領戦)視点。摺鉢山に掲揚される星条旗を写した有名な写真は厭戦ムードだった本土国民を熱狂させ、生き残った3人は時代の寵児となり、英雄に。戦時国債発行の為に彼らを持て囃したい政府側と地獄を見てきた彼らの間の温度差。さらに撮影時の真相も明らかに。

 

評価
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8
題材として面白く、編集も巧みで惹かれた。前線と支援、兵士と平民、国民と政府といった戦争ドラマの対立の常套句を面白い視点で描き切り、これまた語り尽くされた英雄の苦悩が全編で繰り返される。陰鬱だけど強烈な色彩やリアルな死体描写もアリ。ただ日本視点も作ってることを知らない場合同じ評価になるかは微妙。

雑記:

  1. 日本側視点の「硫黄島からの手紙」に続くシリーズ。
  2. 航行中の艦隊から落下した水兵を助けられなかったシーンは実話。「1人の為に24艦を止めることはできなかった。周囲を航行中の船に助けられるようにと願ったが、そうはならなかった」
  3. ほぼアイスランドで撮影。黒い砂浜や銃火器の使用などで条件一致。
  4. 本作でアフリカ系米兵が登場しないことにスパイク・リーが抗議。イーストウッドは旗を立てた人を描こうとしただけだと反論。これがきっかけで険悪に。
  5. ジェイムズ・ブラッドリーとロン・パワーズ『硫黄島の星条旗』が底本
  6. 有名な写真の撮影者はジョー・ローゼンタール。ピューリッツァー賞受賞。

僕はラジオ

原題:
Radio (ラジオ)
年度:
2003
製作国:
アメリカ
配給:
SPE
監督:
マイク・トーリン
キャスト:
キューバ・グッディングJr./エド・ハリス/デブラ・ウィンガー/アルフレ・ウッダード/S・エパサ・マーカーソン/クリス・マルケイ/サラ・ドリュー
ストーリー
実話に基づく。1976年、サウスカロライナ州のハナ高校。アメフトチームの熱心なコーチ・ジョーンズは高校のまわりをうろつくラジオ好きな知的障害の黒人青年のことが気になる。あるきっかけでチームに仲間入りさせ練習を手伝わせる。サポーターや学校からは疎まれ受け入れない人も。だが「ラジオ」と渾名された彼の純真さはやがて周りに受け入れられ始める。

 

評価
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6
実話でなければベタな展開。だけど不思議と心に響く。主演2人の好演が光る。まっすぐな心はどこで失うんだろうね。露骨な差別などは時代なのかもだけど、現代でもそうそう変わらんだろうと思う。ラジオを聞くエピソードと反対者の理屈の深掘りはもう少し欲しかったかな。全体的にもうちょっと。

雑記:

  1. ラジオことジェイムズ・ロバート・ケネディ氏は今でもハナ高校フットーボールチームで練習手伝いを。試合前に「クオーターバックとれる?」と聞くことで有名。
  2. 全体的に、時代考証甘いところ多数。車やサングラスや帽子など。

ドッグヴィル

原題:
Dogville (犬の家)
年度:
2003
製作国:
デンマーク
配給:
ギャガ
監督:
ラース・フォン・トリアー
キャスト:
ニコール・キッドマン/ポール・ベタニー/クロエ・セビニー/ローレン・バコール/パトリシア・クラークソン/ステラン・スカルスガルド/ジャン=マルク・バール
ストーリー
アメリカの架空の小さな町ドッグヴィルで起こる人間性のドラマ。床に街並みや家を表す白線と文字列を書き込んだ舞台風のセット。ギャングに追われ、この閉鎖的な町に逃げ込んだ美しい女性グレース。作家志望のトムは彼女を匿い、町で受け入れるよう皆を説得。ドッグヴィルの人々を手伝いながら次第に心を通わせるグレース。だが、やがて人々のエゴがあらわになり始める。

 

評価
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9
名作。多くの実験的手法が賛否あるだろうが映画的虚飾を排したドラマとして非常に高い芸術性。「傲慢」をテーマに繰り広げられるエグい人間性、それも「ダンサー・・」同様吐き気を催すレベル。そしてこのセットと人間の舞台性のなかで唯一の、しかも重要な役であるはずの犬が絵。この象徴。ドグマを推進する監督だと、虚構に喜怒哀楽する映画的手法が傲慢だと言ってる気さえする。

雑記:

  1. フォン・トリアー監督の「機会の土地アメリカ3部作」の初作。残り2つは「マンダレイ」「ワシントン」。
  2. 監督がベルトルトブレヒト「三文オペラ」(と劇中歌の「海賊ジェニー」)に触発された
  3. 真上から町全体を観るアングルは実際は156の別々の映像を組み合わせた映像
  4. エンドクレジットの犯罪や貧困のスチール群は、「American Pictures」という写真集より
  5. 撮影はスウェーデン。N・キッドマンがスウェーデンに向かう際、15年ぶりに商用機を使った。

フライド・グリーン・トマト

原題:
Fried Green Tomatoes (グリーントマトのフライ)
年度:
1991
製作国:
アメリカ
配給:
アスキー
監督:
ジョン・アブネット
キャスト:
キャシー・ベイツ/ジェシカ・タンディ/メアリー・スチュアート・マスターソン/メアリー・ルイーズ・パーカー/シシリー・タイソン
ストーリー
自分よりTVに夢中な夫に倦む中年の主婦エヴリンは人生に疲れ気味だったが、たまたま老人ホームで出会った老女ニニーが語る過去の物語に激しく心を揺さぶられる。閉鎖的な南部の田舎町でたくましく生きるイジー、そんな彼女の奔放さに魅せられるルース。最愛の人を亡くしたきっかけに急速に友情を深める2人。

 

評価
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8
何が素晴らしいって女優たちの演技。K・ベイツ完璧。まさかのホラー女優卒業宣言w 戦前の南部に存在した様々な社会問題を忍ばせ、過去の出来事が現在に影響を与える手法が面白い。陳腐な友情のテーマをこんなに美しく爽やかに描くとは。結末は読めたけど問題ではない秀作。多分何年かあとに再見しそう。

雑記:

  1. 原作スージー・ブライトの小説。原作は同性愛要素があり、原作者は本作に納得してない。
  2. メアリー~という2人の女優を区別する為に撮影現場ではそれぞれ「ルー」「スチュー」と呼ばれた
  3. M・S・マスターソンがミツバチを採るシーンはスタントなし。用意していたスタントが直前でキャンセル。
  4. オスカー。J・タンディは「ドライビングMissデイジー」(89)で主演女優賞、K・ベイツは「ミザリー」(90)で主演女優賞。

インセプション

原題:
Inception (発端)
年度:
2010
製作国:
アメリカ
配給:
ワーナー
監督:
クリストファー・ノーラン
キャスト:
レオナルド・ディカプリオ/渡辺謙/ジョセフ・ゴードン=レビット/マリオン・コティヤール/エレン・ペイジ/トム・ハーディ/ディリープ・ラオ/キリアン・マーフィ/トム・ベレンジャー
ストーリー
他人の夢すなわち潜在意識に潜入しアイデアを盗む産業スパイのスペシャリスト・コブは妻を殺した嫌疑で故郷に戻れない。巨大企業に君臨するサイトーから、アイデアを盗むのではなく植えつけることでライバル企業を潰滅させる依頼が舞い込む。コブは入念に計画を練りメンバーを集め、意識の深層まで降りていく。

 

評価
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8
多層的な夢を扱う点とその直感的説明をうまく演出に組み込む脚本手腕が相変わらず巧い。矛盾も強引もなくCGは見事。ディカプリオやケン・ワタナベの存在感は圧倒的で是非オスカーを。ただ目新しさという点では「オープン・ユア・アイズ」や「マトリックス」を超えられないのでは。あと、集めたチームの個性が薄い気がしたのだけど・・・。

雑記:

  1. C・ノーラン監督のプロダクション「シンコピー」社のロゴも迷路をモチーフ
  2. アリアドネは、ミノタウルスの迷宮からテセウスを助けたギリシャ神話の女神に由来
  3. モル役のM・コティアールは「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」で主演。本作の重要な「音楽」はピアフのもの。
  4. 「モル」(Mal:マル)は、ラテン語で「悪」
  5. C・ノーラン監督の1作目「フォロウィング」の主人公も盗みが生業
  6. オスカーノミネートされたことのあるキャスト7人(T・ベレンジャー、L・ディカプリオ、P・ポスルスウェイト、渡辺、E・ペイジ、M・ケイン、M・コティアール)。うち受賞2人(ケイン&コティアール)。
  7. ロバート(ボビー)・フィッシャーとは言うまでもなくかつてのチェス世界チャンピオン
  8. 「ダークナイト」同様、C・ノーランは「second unit」を置かずにノーラン自ら撮影に立ち会っている

ビジネス・オブ・ビーイング・ボーン (Business of Being Born)

原題:
Business of Being Born, The  (生まれてくるお仕事)
年度:
2008
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
アビー・エプスタイン
キャスト:
アビー・エプスタイン/リッキー・レイク他
ストーリー
ドキュメンタリー。女性の一大イベントである出産。多くの先進国が助産師による分娩が大半であるのに対しアメリカでは医師介在による出産が大勢。背後にはアメリカ医療制度の構造的問題が潜む。自らも妊娠期間中の製作者コンビが多くの出産に立会い出産の本質に迫る。

 

評価
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8
製作者が高い問題意識を持ち、実地取材と実体験をもって世に訴える、という社会派ドキュメンタリーの手本のような、それでいて(意図しなかったにせよ)映画的にも面白い結末を得て見ごたえがある。アメリカ医療制度の不備というより自由主義経済のあるひとつの側面、と捉えたほうが良さそう。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. 製作リッキー・レイクは女優。A・エプスタインを誘ってプロジェクト始めた。

硫黄島からの手紙

原題:
Letters from Iwo Jima (硫黄島からの手紙)
年度:
2006
製作国:
アメリカ
配給:
ワーナー
監督:
クリント・イーストウッド
キャスト:
渡辺謙/二宮和也/伊原剛志/加瀬亮/中村獅童/裕木奈江

シリーズ:
1/2

ストーリー
太平洋戦争末期の小笠原諸島・硫黄島での日米交戦を描く2部作。日本側(防衛戦)視点。新司令官として着任した栗林中将はかつて駐在武官としてアメリカ滞在経験があり米軍の強さをよく知る。海岸線防衛を進言する部下たちに対し、塹壕掘削による持久戦を主張。援軍は見込めず戦死が前提。兵卒の西郷らは故国に残した妻らに手紙をしたため続ける。

 

評価
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7
ヒューマニズムと戦争の不条理という語り尽くされたテーマをまっすぐに描いた。イーストウッドだけど日本映画としても優れた点が多い。ただ編集のせいか物語の経過がセリフ頼りになって把握しづらくそのセリフも聞き取り辛い(英語字幕がちょうど良かった)。自決シーンはあの時代の美徳を行動で表すものとして印象に残る。現代シーンは必要だったのか?

雑記:

  1. 父親たちの星条旗」(米側視点)に続く硫黄島シリーズ。
  2. ほぼカリフォルニア州で撮影。硫黄島での撮影は1日だけ許可が出た。
  3. 現在の硫黄島は海自所轄の航空基地で一般人入島不可。日本で唯一、陸・海・空の3自衛隊の統合的作戦演習が可能な場所
  4. アカデミー4部門にノミネート。日本語作品が作品賞ノミネートされるのは初めて。
  5. 当初監督は日本人を起用する予定だったがC・イーストウッド自らに落ち着いた。
  6. ロス五輪の馬術金メダリストの「バロン(男爵)西」の硫黄島参戦は実話。
  7. 当初のタイトルは”Red Sun, Black Sand”
  8. 劇中で使われる「ライフル」「ジープ」などは当時は敵性語扱いで使用禁止のはず