息もできない

原題:
Breathless (=息もできない程)
年度:
2008
製作国:
韓国
監督:
ヤン・イクチュン
キャスト:
ヤン・イクチュン、キム・コッピ、イ・ファン、チョン・マンシク、ユン・スンフン、キム・ヒス、パク・チョンスン
ストーリー
仮借ない借金取り立てを生業とする組織の筆頭格サンフン。過去の因縁から、身寄りのない父を激しく憎む。ある日たまたま吐いたツバが通りかかった女子高生ヨニにかかる。凄むサンフンに対し全く動じないヨニ。こうして2人は出会ったが、ヨニもまた家庭内に問題を抱えていた。

 

評価
コメント
8
イクチュン魂の叫び。その滾った油のノリが作品全体から伝わってくるような名作。対照的な人生であっても、心にスキマが空く理由と、それが埋まる理由、埋めようとする激情は普遍だ。単純な「不器用だけど根はイイヤツ」譚とも取れるが、ラスト付近の編集の巧さもあって暴力描写の割に清々しい。

雑記:

  1. ヤン・イクチュンは、製作・監督・脚本・編集・主演。製作費捻出に家を売ったとか。その家はヨニの家として劇中に。
  2. 各国映画祭で高い評価。

地球で最後のふたり

原題:
Last Life in the Universe (=世界で最後の命)
年度:
2003
製作国:
タイ/日本/オランダ/フランス/シンガポール
監督:
ペンエーグ・ラッタナルアーン
キャスト:
浅野忠信/シニター・ブンヤサック/ライラ・ブンヤサック/松重豊
ストーリー
タイ・バンコク。日本文化交流センターで働くケンジは病的に潔癖で几帳面、そして自殺願望に囚われている。一方、日本人向けクラブのホステスのニッドは男のことで姉ノイと激しく諍い、橋の上で車を飛び出す。そこに居合わせたのは自殺直前のケンジだったが、直後ニッドは車に轢かれる。互いに心に空白を持つケンジとノイ。

 

評価
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6
映像にもストーリーにも奥行きがありセリフに頼らない。つまり芸術点が高い作品なのに不思議と嫌味になってない。ヤモリに表象させた孤独感には極めてアジア的な趣向を感じる。浅野さんイメージ通り過ぎるのが瑕。Last “Lives”でない意味をしばし考えた。

雑記:

  1. ヴェネツィア、トロント等各国映画祭で高い評価。
  2. ニッド・ノイ姉妹は本当の姉妹。
  3. NoiもNidもタイ語で「少ない」を表す語。
  4. 劇中の「さびしさの彼方を」という絵本はオリジナル。

ミリオンズ

原題:
Millions (=何百万)
年度:
2004
製作国:
イギリス
監督:
ダニー・ボイル
キャスト:
アレックス・エテル/ルイス・マクギボン/ジェームズ・ネスビット/デイジー・ドノヴァン/クリストファー・フルフォード
ストーリー
ついにイギリスもユーロ導入。全てのポンド紙幣が紙くずになる日が迫る。現実家で経済に聡いアンソニーと夢想家で信仰篤いダミアンの小学生兄弟は、ある日ポンド紙幣が詰まったバッグを発見。兄はクラスメイトにカネを配って人気者に。弟は聖者の助言に従い貧しい人に施す。

 

評価
コメント
7
ボイル監督がこんな作風、というギャップ狙いだろうが中途半端にボイル要素を入れたせいであまり成功してない。反面、題材もストーリーも面白く、意外性と皮肉たっぷりな設定(貨幣移行のCM!w)にも笑わせられた。原色多めの映像に拍手。

雑記:

  1. 「ウガンダの殉教者」に登場する役者の1人は実際のウガンダの殉教者の子孫(と本人が言っている)。
  2. 製作費の一部はアフリカに井戸を供給する団体に寄付された。
  3. 家族たちが鑑賞する”Who Wants to Be a Millionaire(「クイズ・ミリオネア」)”は、後のボイル監督「スラムドッグ$ミリオネア」(2009)のメイン舞台になる。

トゥー・ウィークス・ノーティス

原題:
Two Weeks Notice (=2週前通知)
年度:
2002
製作国:
アメリカ
監督:
マーク・ローレンス
キャスト:
サンドラ・ブロック/ヒュー・グラント/デヴィッド・ヘイグ/アリシア・ウィット/ダナ・アイヴィ
ストーリー
NYで体を張った環境保護運動を展開する生真面目な弁護士ルーシー。歴史ある建造物の公民館が土地開発計画で壊されるかも知れないと聞き、単身ウェイド社に。ハンサムで女癖の悪い経営者ジョージ。ちょうど弁護士に空きがあり、ルーシーは成り行きで雇われ弁護士に。。性格も社会観も正反対の二人。いさかいのタネは尽きないが。。

 

評価
コメント
6
まあ決してヒットしそうでも名作と呼ばれるわけでもなさそうな、ハナからある一定のマーケット向けに一定の興行だけを当てにしているような、そんな中華屋のメンマラーメン的映画なんだけど、それだけに僅かな工夫が嬉しかったりするもの。オープニングの2人の子供時代の写真とか、(両ブッシュではなく)「別のジョージ」とかね。

雑記:

  1. M・ローレンス監督は「デンジャラス・ビューティ」で脚本。S・ブロックとは2度目。
  2. 野球観戦のシーンは、実際の大リーグの試合の回交替の時に撮影された。
  3. 初めはカナダで撮影するつもりだったが、S・ブロックが「NYCの話をNYCで撮らないなんておかしい」と云って変更。
  4. 2003.06.01鑑賞。

ムーンライト・マイル

原題:
Moonlight Mile (=「ムーンライト・マイル」)
年度:
2002
製作国:
アメリカ
監督:
ブラッド・シルバーリング
キャスト:
ジェイク・ギレンホール/ダスティン・ホフマン/スーザン・サランドン/エレン・ポンピオ/ホリー・ハンター
ストーリー
結婚目前のフィアンセを銃撃事件の巻き添えで亡くしてしまったジョー。彼女の両親の元にしばらく身を置き互いに悲しみを紛らわせる。父親ベンは、不動産プロジェクトに没頭し、ジョーをパートナーにする。ところが結婚招待状の回収に行った郵便局である女性と出会い、ジョーは亡きフィアンセとの「最後の秘密」を抱えたまま揺れ悩む。

 

評価
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7
葬式に向かうオープニング、抜群に好き。ラブストーリーの為のラブストーリー、この手のおしゃれな虚構、好きかも。郵便局の彼女も同じ悩み、、とか法廷での予想外の証言、、、とかツッコミを入れたくなるような展開だけど、その料理の仕方が上手いので全然問題なし。J・ギレンホールも「目立つ」顔立ちで化けるのでは?音楽好き。

雑記:

  1. タイトルは挿入歌のローリングストーンズの曲から(というスタイル嫌い)。
  2. B・シルバーリング監督の恋人だったTV女優がストーカーに殺された実経験が元になっている。
  3. 脚本も監督が兼。初めからD・ホフマン&S・サランドンが念頭に。ただし主役はK・リーヴスだった。
  4. 2003.05.28鑑賞。

めぐりあう時間たち

原題:
Hours, The (=時間)
年度:
2002
製作国:
アメリカ
監督:
スティーヴン・ダルドリー
キャスト:
ニコール・キッドマン/ジュリアン・ムーア/メリル・ストリープ/エド・ハリス/スティーヴン・ディレイン/ミランダ・リチャードソン/ジョン・C・ライリー
ストーリー
1923年ロンドン郊外。療養中のヴァージニア・ウルフは妻の身を気遣う夫と暮らす。執筆中の「ダロウェイ夫人」の世界に没頭する。1951年LA。「ダロウェイ~」愛読者のローラは、結婚生活に疲れ、心が掻き乱れる。2001年NY。「ダロウェイ夫人」と呼ばれるクラリッサは、友人のHIV患者の小説賞受賞パーティに奔走。それぞれの一日。

 

評価
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6
多分現代側2人のエピソードの方が深いかもしれないけど、妙にN・キッドマンが印象に残るのは、きっとウルフだけが唯一の実在の人物で、そしてきっとこんな風だったんだろうなあと想像できるからかな。もっとも、原作もウルフも全く未読なのでエッセンスが楽しめきれていないけど。女優たちの安定した配置配役は、かなりヒットなのでは。

雑記:

  1. アカデミー主演女優賞(N・キッドマン)&ベルリン銀熊(女優賞)を3人受賞
  2. 原作はピュッリッツァー賞受賞のマイケル・カニンガム「三人のダロウェイ夫人」
  3. N・キッドマンは付け鼻し、右利きの訓練も
  4. そのメイキャップ、僅かにデジタル処理をした為オスカー候補から除外
  5. 2003.05.28鑑賞。

黄泉がえり

海外タイトル:
-
年度:
2002
製作国:
日本
監督:
塩田明彦
キャスト:
草なぎ剛/竹内結子/石田ゆり子/哀川翔/山本圭壱/伊東美咲/寺門ジモン/田中邦衛/RUI
ストーリー
九州のある地域。戦中に死亡したはずの息子が突然当時の姿のままで母の前に姿を現したのが始まりだった。次々と亡くなったはずの者が当時の姿で甦る現象が発生。婚約者を亡くし傷を負う葵もそんな奇跡を願うようになる。厚生労働省から派遣されたこの地出身の平太が調査し、やがてある法則を発見。葵への複雑な思いが交錯。

 

評価
コメント
3
う~ん、かなり不満というか残念というか。くだらないとは云わないけど、どうしてこうもワンパターンかなあ。境界を越えるとワープとか、3週間だけとか(なぜ?)、自動車降りて走って走ってとか、あなたなの!とか、何もそこまで類型的にならんでも。ファンタジーに欲しい要素が何一つ見当たらない。分かった、これは柴咲コウの映画なんだ。

雑記:

  1. 内容に合わせて、3週間のみの公開。
  2. RUIは柴崎コウだが、RUIでクレジット(にしてもCD売りたいからって3曲もねえ)。
  3. 原作は梶尾真治の同名小説。
  4. 2003.05.19鑑賞。

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

原題:
Catch Me If You Can (=捕まえられるものならやってみろ)
年度:
2002
製作国:
アメリカ
監督:
スティーヴン・スピルバーグ
キャスト:
レオナルド・ディカプリオ/トム・ハンクス/クリストファー・ウォーケン/マーティン・シーン/ナタリー・バイ/エイミー・アダムス
ストーリー
実在した60年代のサギ師フランク・アバグネイルの痛快な騙しっぷり。父を慕う高校生フランクは両親の離婚に反発して家出。生計の為に偽造小切手を作るが、失敗。ところが社会的信用のあるパイロットに成りすますと、以後は面白いように小切手偽造が成功する。医者や弁護士などにも化け、名前も変えながら、彼を追うFBIカールを欺く。

 

評価
コメント
7
軽快!ILM大活躍の凡百SFにカビ臭い哲学押し付けられるより、こんな軽い題材でキレイさっぱりエンターテインされたほうがどんなに良いことか。ディカプリオが「ギャング・オブ~」であまりにも影の薄い主役だったことを考えると、本当に活き活きしている!T・ハンクスやC・ウォーケンの適所っぷりも見事。音楽や冒頭アニメもグッド。

雑記:

  1. スピルバーグ監督の非公式「走る男」シリーズ3部作(「A.I.」と「マイノリティ・リポート」)の最後と言われている。
  2. 実在のF・アバグネイルは16歳からの5年間に26カ国の偽造小切手現金化に成功し400万ドルを稼ぎ、現在はセキュリティ会社を経営し、詐欺対策のコンサルを手がける。
  3. 2003.05.19鑑賞。

ボンボン

原題:
Bombón: El Perro (=ボンボン:その犬)
年度:
2004
製作国:
アルゼンチン
監督:
カルロス・ソリン
キャスト:
フアン・ビジェガス/ワルテル・ドナード/ミコル・エステベス/キタ・カ/パスクアル・コンディート/クラウディーナ・ファッツィーニ/カルロス・ロッシ
ストーリー
20年以上勤めたガソリンスタンドをクビになったフアン。副業の手作りナイフもさっぱり売れない。悲嘆していたある日偶然手助けした人にもらった一頭の犬。見る人が見れば第一級の真っ白な猟犬で血統書付き。その日を境に幸運が向いてきたフアン。ボンボンと名付けたその犬と一緒にドッグショーを目指す。

 

評価
コメント
8
イイネ。好きだよこういうの。冒頭のナイフ売りシーンで既にやられたかも。朴訥とした、味ありまくり演技というか表情!ラストもいいよね。きっちり回収しておきました的な。それも、カメラ回してたらうまく撮れましたが丸分かりな感じで。種犬ビジネス界の虚々実々はもう少し観たかった。

雑記:

  1. 主演J・ビジェガス(役名と同じ)は監督の知人の映画会社のそばの駐車場職員。
  2. ドゴ・アルヘンティーノは多くの犬種を交配させ、1947年に生み出された。凶暴な性格で無許可での飼育が規制される例も。

太陽のかけら

原題:
Déficit  (=欠落)
年度:
2007
製作国:
メキシコ
監督:
ガエル・ガルシア・ベルナル
キャスト:
ガエル・ガルシア・ベルナル/カミラ・ソディ/ルス・シプリオタ/テノッチ・ウエルタ・メヒア/フェルミン・マルティネス/アナ・セラディラ
ストーリー
メキシコ上流層のクリストバル。その日は仲間やその友人を何人も誘い、郊外のプール付き別荘でパーティを企画。可愛い子も来てテンション上がる。住み込みでメンテをしている幼馴染のインディオが何かと絡んでくるのが面白くない。ハプニングの連続。

 

評価
コメント
9
意図的に狂わされた映画語りのリズムのせいなのか何かと落ち着かず、妙にざわざわする心理の描写が巧い。気取ったアングルも気にならず、ぶわーっとドキドキしながらラストまで観られる。結果的に主演&監督ベルナルが何もかも持っていった秀作。他のも観たくなる。

雑記:

  1. カンヌある視点。

アバウト・シュミット

原題:
About Schmidt (=シュミットのこと)
年度:
2002
製作国:
アメリカ
監督:
アレクサンダー・ペイン
キャスト:
ジャック・ニコルソン/キャシー・ベイツ/ホープ・デイヴィス/ダーモット・マローニー/ハワード・ヘッセマン
ストーリー
勤め上げた保険会社を定年退職したシュミット。第2の人生はいかにも手持ち無沙汰。何となく会社に行っても慇懃に追い返され、妻の言動にはいちいち腹がたち、娘はロクでもない男と婚約。そんな折に妻が急死し、喪失感に襲われる。気まぐれで里親ボランティアとなった彼は、アフリカの里子に手紙でそんな心情をつづる。

 

評価
コメント
7
世相をきわどく映す映画という意味では、老境版「カッコー」かも。ユーモアが効いているし、ジャック氏も巧くて単なるオヤジにしか見えないし、ラストシーンとか秀逸だなあと思うし。孤児の代わりのシスターの語り、かなりグッと来た。身につまされるというわけではないけど(笑)、ジャックの声はこんな役でも渋いなあと思ったわけです。

雑記:

  1. 舞台のネブラスカ州オマハはA・ペイン監督の出身地。
  2. 娘の婚約者ランドール役のD・マルロニー(「ベスト・フレンズ・ウェディング」)は剃髪。
  3. J・ニコルソンはゴールデングローブ主演男優受賞。オスカーノミネート。
  4. 2003.05.19観賞

パズル

原題:
Nadie conoce a nadie (=誰も誰のことも知らない)
年度:
1999
製作国:
スペイン
監督:
マテオ・ヒル
キャスト:
エドゥアルド・ノリエガ/ホルディ・モジャ/ナタリア・ベルベケ/パス・ベガ
ストーリー
同居人カエルとセビリアに住み、小説家を志すシモン。食いブチである新聞クロスワードに頭をひねる。ある日、クロスワードの言葉を指定する脅迫めいた電話がかかってくる。そのとおりにすると、その言葉に符合するような事件が起こる。折りしもセビリアは聖週間で沸き返っており、次々と起こる不思議な「パズル」がシモンを悩ませる。

 

評価
コメント
5
なんだか凝った仕掛けの割にはかったるい展開。クロスワードも導入部分が印象的だったのに。創世記も。ましてやオウム麻原も。多分エキゾチックな大仰な要素でも置かないことには差別化ができなかったのでしょう。残念だけど。でも、好きなセビリアの街並みが大変ウルワしく紹介されていることに免じて。あの街模型、欲しいな。

雑記:

  1. M・ヒル/A・アメナーバル(今回は音楽)/E・ノリエガのトリオによる3作目。「テシス」「オープン・ユア・アイズ」に続き。
  2. 原作はスペインで大ヒット。ただ、セマナ・サンタ(聖週間)を汚すものとして非難も浴びた。
  3. 聖週間は4月の終わりでセビリアでは非常に有名。
  4. 2003.05.17観賞

シカゴ

原題:
Chicago (=シカゴ)
年度:
2002
製作国:
アメリカ
監督:
ロブ・マーシャル
キャスト:
レニー・ゼルウェガー/キャサリン・ゼタ・ジョーンズ/リチャード・ギア/ジョン・C・ライリー/クイーン・ラティファ
ストーリー
1920年代のシカゴ。退屈な夫と暮らす日常から抜けて舞台スターを夢見るロキシー。憧れのケリーのダンスを今日も観た夜、ショウビズ界にコネがあると騙した愛人を激昂して殺してしまい、収監。やがて刑務所には何と別の容疑でケリーもやってきた。二人の弁護を引き受けたのは当代一の弁護士ビリー。彼の一風変わった法廷術とは。。

 

評価
コメント
8
主役の3人がベリーグッド。舞台で生のミュージカルとして観たくなるのはある意味避けられないけど、その分映画は常に最高のモノが観られる訳でおいしい。さらにこれだけ上手だと云うことないという感じ。スト-リーよりも主役たち(特にR・ゼルウェガー)を観ていれば満足できる。巧いアクター達にはますますヒイキしてしまうなあ。

雑記:

  1. ミュージカル界の大御所ボブ・フォッシーが演出・振付。
  2. 監督R・マーシャルも現在ブロードウェイで活躍中。
  3. C・ゼタ・ジョーンズはロングヘアで髪が隠れると吹き替えだと疑われるのでボブにこだわった。
  4. ビリー役にはJ・トラヴォルタがかなり有力だった。
  5. 2003.05.10観賞

ヒポクラテスたち

海外タイトル:
Disciples of Hippocrates (米=ヒポクラテスの弟子たち)
年度:
1980
製作国:
日本
監督:
大森一樹
キャスト:
古尾谷雅人/伊藤蘭/光田昌弘/狩場勉/柄本明/西塚肇/真喜志きさ子/小倉一郎/阿藤海/内藤剛志
ストーリー
モラトリアムという言葉が出てきた時代の、まさにそんな若者たちが、医学生という立場で共同生活を送りつつ、それぞれの青春の道を進む話。臨床実習(ポリクリ)を回りながら医学を志す荻野たち。目指す医科はまだ決まらない。医術の真髄を巡って若い論争を繰り広げる寮仲間たち。。そんなある日、荻野は恋人を妊娠させてしまった。

 

評価
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7
ブラック・ジャックをなぞってみせたり(脚本でなくカメラでね)、「分裂病」患者の手記からの引用を長々と読ませたり、と映像学校の生徒のようなシロウト臭いテクニックと、俳優たちのエラくヘタな演技がとっても気になったけど、それも含めて青春映画の王道、という感じで嫌いじゃないです。脚本抜群だし。古尾谷氏、なんだか切ないね。

雑記:

  1. 手塚治虫が小児科教授役で出演。
  2. 鈴木清順が「南部麒六」という劇中劇の役名で出演。
  3. 卒業写真を撮るカメラマンは森本レオ。
  4. 大森監督は、当時京都府立医科大の学生だった。
  5. 学生運動下火で「しらけ世代」なんて世相。
  6. 2003.04.13観賞

ネメシス/S.T.X

原題:
Star Trek: Nemesis (=スター・トレック:ネメシス)
年度:
2002
製作国:
アメリカ
監督:
スチュアート・ベアード
キャスト:
パトリック・スチュアート/ブレント・スピナー/トム・ハーディ/ジョナサン・フレイクス/マリナ・サーティス/マイケル・ドーン

シリーズ:
1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11

ストーリー
ライカー副長とカウンセラーのトロイが結婚し、ペタゾイドへ向かう途中、ピカード艦長は総督からの使命を受ける。ロミュラン帝国が新たな指導者シンゾンを擁立し、惑星連邦との接近を図っているというのだ。早速シンゾンと対面することになったピカードは、シンゾンとの間に特異な関係を見出す。このロムスの新司令官の意図は何か。

 

評価
コメント
7
スタトレと知らずに観た人もいるくらいの不思議な日本のマーケティング戦略。良くも悪くも新しい試みが随所に見られ、いよいよスタトレも次の世代なのかも。歴の浅い身でこう思うくらいだからエンプラEに格別の思いのあるトレッキー達にはなんとも感慨深い終章となったのでは。スタトレ界に参入した一員として今後も応援します!

雑記:

  1. 米国興行成績が悪く、日本ではスタトレ色を消す為にタイトルからスタートレックが消えた。
  2. TNGシリーズ最終章。
  3. 脚本にB・スピナー参加。
  4. シンゾン役には初めJ・ローがオファー。
  5. 前作「叛乱」から4年、これはST映画の中では最長のインターバル。
  6. 2003.04.13観賞

シャレード

原題:
Truth About Charlie, The (=チャーリーの真実)
年度:
2002
製作国:
アメリカ/ドイツ
監督:
ジョナサン・デミ
キャスト:
サンディ・ニュートン/マーク・ウォールバーグ/クリスティン・ボワソン/ティム・ロビンス/パク・ジュンフン
ストーリー
長い休暇からパリの家に帰ったレジーナは、部屋が荒らされている上に新婚の夫チャーリーが何者かに殺されたことを警察に告げられる。しかもチャーリーは美術商などではなく、アメリカの諜報機関に関わっていたらしいことが判明。彼が所持していた筈だという600万ドルの行方を巡ってレジーナの周辺にも怪しい者たちが現れ始める。

 

評価
コメント
7
特徴的なカメラワーク、特に正面のバストショットが多くて、独特な良い効果。プラス、話のテンポが小気味良くて好き。その他にも一見古い映画手法をセンス良く料理している感じで好感。サスペンスとして普通に面白かった。それにしても恥ずかしい&やるせないのは、「シャレード」の前に、しかもリメイクだと知らずに観てしまったこと。

雑記:

  1. 撮影はタク・フジモト。J・デミ監督とM・ナイト・シャラマン監督の常連。
  2. P・ジュンフンは、ハリウッド進出をした最初の韓国人。「アメリカン・ドラゴン」(97)など。
  3. 「シャレード」のリメイク
  4. F・トリュフォーへのオマージュ?墓が一瞬登場(どこ?)
  5. 2003.03.30観賞

バンガー・シスターズ

原題:
Banger Sisters, The (=バンガー・シスターズ)
年度:
2002
製作国:
アメリカ
監督:
ボブ・ドルマン
キャスト:
ゴールディ・ホーン/スーザン・サランドン/ジェフリー・ラッシュ/エリカ・クリステンセン/ロビン・トーマス/エヴァ・アムーリ
ストーリー
60年代のロック全盛時代に、彼らの追っかけとして浮き名を轟かせた「バンガーシスターズ」のスゼットとヴィニー。それも思い出となったある日、昔と変わらぬ奔放さのスゼットはヴィニーをはるばる訪ねる。ところがヴィニーは一流弁護士の妻に落ち着き、過去を隠して生きてきた。潔癖の脚本家ハリーを巻き込み、旧友たちは初め諍うが。。

 

評価
コメント
5
主役の3人、適材適所。特にG・ホーンはいろいろ余計な心配をしたくなるくらいのしなやかさで毎度驚く。でもなんだかストーリーがテンポ悪くて参った。S・サランドンが昔の情熱を徐々に取り戻すところが肝のハズなのになあ。家族たち受け入れ過ぎじゃない?父を撃つ、という決意もイマイチ独立していて残念。というわけで勿体無い系でした。

雑記:

  1. ジンジャー役E・アムーリとS・サランドンは実の親子。しかも共演は4度目。
  2. 主役3人はオスカー主演賞役者(「サボテンの花」「デッドマン・ウォーキング」「シャイン」)。
  3. ロック歌手たちのペニス写真で盛り上がるシーンでスタッフが写っていた為、S・サランドン素でビックリ。
  4. 2003.03.30観賞

アイ・スパイ

原題:
I Spy (=僕はスパイ)
年度:
2002
製作国:
アメリカ
監督:
ベティ・トーマス
キャスト:
エディ・マーフィ/オーウェン・ウィルソン/ファムケ・ヤンセン/マルコム・マクダウェル
ストーリー
米空軍の姿を消せる最新鋭戦闘機がブタペストの武器商人ガンダーズに盗まれた。国家保安局(BNS)のアレックスに、ガンダーズ捜査と戦闘機奪還のミッションが下るが、相棒に選ばれたのは傲慢な無敗ボクサーのケリー。ブダペストの試合前のパーティでうまくガンダーズを誘おうとする魂胆。変則コンビに世界の運命がかかる?

 

評価
コメント
3
なんだかなあ。今ひとつな感じ。いまさら往年のコメディを復活させるからには何かこれはという目玉があるのかと思ったら、そうでもなかった。あの目視不可の戦闘機、本当にアレだけ?スパイ道具も、コンタクトレンズは面白かったけど、他がなあ。M・マクダウェルだけが妙に似合ってて(笑)、良かった。ブタペストは目に麗しいですな。

雑記:

  1. 60年代の人気TVシリーズがオリジナル(ビル・コスビー&ロバート・カルプ)
  2. ブダペストがフィーチャーされるハリウッド映画は初めて
  3. UK版ではナイフが足に突き刺さるシーン1秒をカットして、レイティング15を避けた
  4. 2003.03.26観賞

闇の列車、光の旅

原題:
Sin nombre (名前の無い)
年度:
2009
製作国:
アメリカ/メキシコ
監督:
キャリー・ジョージ・フクナガ
キャスト:
パウリーナ・ガイタン/エドガー・フロレス/クリスティアン・フェレール/テノック・ウエルタ/ディアナ・ガルシア
ストーリー
メキシコのギャング集団のカスペル。団の無慈悲さに疑問を感じつつリーダーには抗えない。今日の標的はホンジュラスから鉄道でアメリカを目指す不法移民たち。その鉄道に乗っていた少女サイラを目の前で襲うリーダーを見てカスペルは行動に出る。

 

評価
コメント
8
ハリウッド的「ギャングの掟」「ロードムービー」「破滅型ロマンス」の典型のような脚本なのに、題材とテイストを入れ替えぐっと良くなった。死を賭してでも抜け出したい様が多くの映画で描かれたメキシコを、死を賭して目指さなければいけないという現実。

雑記:

  1. C・フクナガ監督は本作準備の為、中米の電車屋根で移動する人々やギャングたちと2年暮らした。

光の雨

国際タイトル:
Rain of Light (光の雨)
年度:
2001
製作国:
日本
監督:
高橋伴明
キャスト:
萩原聖人/裕木奈江/山本太郎/池内万作/鳥羽潤/小嶺麗奈/川越美和/塩見三省/大杉漣
ストーリー
日本のプロレタリア闘争の悲劇の一つ、いわゆる「連合赤軍事件」(71-72)を描いた小説「光の雨」を映画化しようとする全共闘世代の樽見監督。二派が雪山で共闘を結成し、殲滅戦に向けた「軍事訓練」を行う若者。雪山での「思想ごっこ」の運命、総括という名のリンチ殺人を赤裸々に描きながら、樽見はこの映画の行く末を案じ始める。

 

評価
コメント
8
題材や手法でポイント稼いでる良い映画。イデオロギーだけで熱く狂えた時代って何?、と改めて興味津々。現代の若者視点がチープなのは皮肉。劇中劇でもなお異彩を放つ赤い若い迫力と、我々世代ののっぺらした軽薄が見事に対比。あと、偽名は仕方ないけど初め混乱した(赤色パルチザン?)。ところで共産党最近何やってる?

雑記:

  1. 赤色パルチザン=赤軍派 革命共闘=京浜安保共闘 連合パルチザン=連合赤軍 などとそれぞれ言い換えられる。人名も仮名
  2. にも関わらずビデオ題は「光の雨 連合赤軍事件」。(意味不明)
  3. 題材は立松和平「光の雨」
  4. 倉重同士こと森恒夫は獄中自殺する聖書愛読
  5. 2003.03.22観賞

イナフ

原題:
Enough (もうたくさん)
年度:
2002
製作国:
アメリカ
監督:
マイケル・アプテッド
キャスト:
ジェニファー・ロペス/ビリー・キャンベル/ジュリエット・ルイス/テッサ・アレン/ダン・ファターマン
ストーリー
田舎のダイナーのウェイトレスのスリムは、親切で裕福なミッチと結婚、娘を設ける。幸せと思ったのも束の間、浮気が発覚した後のミッチの度を越した束縛そして暴力。耐え切れなくなったスリムは夜逃げを敢行。ところがミッチは警察へのコネなどあらゆる手を尽くしてスリムを追い廻す。娘と自分の人生の為、スリムはある決断をする。

 

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6
くっだらないけど、程よくスッキリ楽しめた。何よりJ・ロペスがあまりにもスカッと清々しい(意外にも巧いと思った)のでアリなのではないでしょうか。あの意味不明なキャプションはどうにかして欲しいけど。また、深刻なDV問題を少し軽く描いているという意見もあるだろうけど、これも一つの描き方。でもパトロンなんて普通いないよ。

雑記:

  1. 脚本は、ニコラス・カザン(「アンドリューNDR114」など)。エリア・カザンの息子
  2. J・ロペス、スタントのほとんどは自分でこなした(らしい)
  3. 夫役B・キャンベル191cm、J・ロペス166cm。2人とも、People誌の最も美しい50人に選ばれた経験アリ
  4. 2003.02.08観賞

シモーヌ

原題:
S1m0ne (s1m0ne:シモーヌ)
年度:
2002
製作国:
アメリカ
監督:
アンドリュー・ニコル
キャスト:
アル・パチーノ/キャサリン・キーナー/エヴァン・レイチェル・ウッド/プルイット・テイラー・ヴィンス/ウィノナ・ライダー
ストーリー
良い映画を作ることに情熱を燃やす監督タランスキーだが、スタイルが古く売れない。プロデューサーの元妻にも愛想をつかされる。ところが彼の熱烈なファンだという男が病死間際に彼に渡したディスク内部には、CGの女性が完璧にクリエイトされていた。彼は彼女を作品に登場させ、大喝采を浴びる。彼女の素性に世間の注目が集まる。

 

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7
女優のホクロを消すなど当たり前、大抵のシーンは役者なしでも創れてしまう技術の進歩、果たして役者は生き残る意味があるのか、、という議論をあからさまに狙っているのがミエミエなんだけど、それでも一瞬ひょっとして、と思わせるのがスゴイ。W・ライダーは終ったな、と(いろんな意味で)思わせるのもスゴイ。諸々プロモ、お疲れ様!

雑記:

  1. 製作側の作戦で、公開前の一部の情報には、シモーヌは本当のCG女性という噂も
  2. 劇中のアカデミー賞のシーンで、シモーヌの他にノミネートされている女優クラリス・アップル、リサ・パッカード、ロータス・コーレル、、(笑)
  3. 劇場版ではシモーヌ役は「herself」でクレジット
  4. 2003.02.02観賞

ボーン・アイデンティティー

原題:
Bourne Identity, The (ボーンの正体)
年度:
2002
製作国:
アメリカ
監督:
ダグ・リーマン
キャスト:
マット・デイモン/フランカ・ポテンテ/クリス・クーパー/クラヴ・オーウェン/ブライアン・コックス
ストーリー
マルセイユ沖で漁船に引き揚げられた男は、記憶を失っていた。背中の弾痕、皮膚に埋め込まれたスイスの銀行の金庫番号。そのスイスの金庫には「J・ボーン」という名前の世界各国のパスポートと拳銃と多額の現金。やがてボーンは見知らぬ者に命を狙われていることに気付く。高い戦闘能力を有する彼は追手を躱しながら自己を探索する。

 

評価
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4
カーチェイスの危なっかしさに少しドキドキしたほかは、コレといって見所のない作品。多分、CIAのウソ臭さが原因なのでは。世界中の人間のあらゆる過去を瞬時に検索できたり子供の頃の写真が出てきたり、世界を股にかける工作員がいたり、っていう諜報機関、ハッキリ云って荒唐無稽だし今更流行らないのでは。M・デイモンよく鍛えた!

雑記:

  1. ロバート・ラドラム原作(製作総指揮も)の国際サスペンス3部作の第一作目
  2. チューリヒに米国大使館は存在しない
  3. カナダのパスポートの有効期限は5年なのに、10年有効?
  4. TV版は1988年に放映
  5. 2003.01.29観賞

マチュカ~僕らと革命~

原題:
Machuca (マチュカ)
年度:
2004
製作国:
スペイン/チリ
監督:
アンドレス・ウッド
キャスト:
マティアス・ケール/アリエル・マテルナ/マヌエラ・マルテリ
ストーリー
1973年チリ・サンティアゴ。折からの社会主義政権誕生の影響で、小学校高学年のゴンサロが通う小学校は貧民街の子供たちも受け入れ始める。理想を語る校長の思惑とは裏腹にいじめられる貧しい子供。ペドロ・マチュカもその1人。ゴンサロは次第にペドロと打ち解け友情を育む。。

 

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9
名作。政権イデオロギーによって寄せたり離れたり。アカだ右だモミオだと随分と翻弄させてくれる。子供の純真さなんてとんでもない。左右両サイドに旗を売り、唇をおねだりし、お釣りはくすねる。ピノチェト前夜、社会主義の虚無、絶望の目。重いが現実であり歴史。

雑記:

  1. 予算の関係で、日曜日だけの撮影。
  2. 冒頭のスタッフクレジットで、右端文字がより右に動くのはナショナリズムを暗示?
  3. 子供たちは撮影前に7ヶ月間、監督からの演技指導を受けた。

パールハーバー 戦慄の日

原題:
Pearl Harbor A Day of Infamy (=真珠湾 忌まわしき日)
年度:
2001
製作国:
アメリカ
監督:
ジョゼ・ブガリン
キャスト:
ジャック・ハメット/ウィリアム・カー/ピーター・リモン/ルー・ノックオルドラン
ストーリー
ドキュメンタリー。1941年12月7日早朝(現地時間)、200機の日本の大編隊が真珠湾の米軍を「奇襲」、停泊中の戦艦アリゾナを沈没させるなどの甚大な打撃を与えた。米側死者は「2403」名。この「屈辱の日」に関して、生存者たちがインタビューに応え、リアルな体験談として語り、そこに多くの映像が重ねられる。あの歴史的事件への生存者自身の談話集。

 

評価
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6
表面的にいくら仲良くなっても、中村ノリがメッツを「裏切る」と「真珠湾以来の裏切りだ」と口に出してしまう米国人。埋められないギャップだけど生の声を聞くことは意味のあること。でも、ヒロシマナガサキ被害者30万人は、300万人近い日本人を救ったのだからやむを得ない犠牲、というリクツ、本当に信じてるのかな。。だとしたら理解不能。

雑記:

  1. 映像・資料協力:米国立公文書館/米国防省/ユニヴァーサル・ニュース・ライブラリー/米議会図書館、協力:戦艦アリゾナ記念館財団海外派兵在郷軍人会/復員軍人庁/コスタメサ歴史協会/米在郷軍人会第555支部(つまり全て米側資料)
  2. 2003.01.03観賞

ウィスキー

原題:
Whisky (ウィスキー)
年度:
2004
製作国:
ウルグアイ/アルゼンチン/ドイツ/スペイン
監督:
フアン・パブロ・レベージャ/パブロ・ストール
キャスト:
アンドレス・パソス/ミレージャ・パスクアル/ホルヘ・ボラーニ/アナ・カッツ
ストーリー
うらぶれた靴下工場を経営するハコボ。毎日車で出勤し、助手の中年女性マルタとともにシャッターを開け、機械にスイッチを入れる。繰り返される同じ動作、同じ飲み物。ある日、母の墓石建立式出席のため、ブラジルにいる弟エルマンがやってくることになる。ハコボはマルタに一時的に妻役を演じてもらうように頼む。

 

評価
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9
作り手の丁寧な映画運びが心地よい良作。主役の風采、繰り返される日常の微妙な差異、男女の差異。経営上手な弟の靴下と不器用な兄の靴下の違い。「ウィスキー」の微妙な表情は良いね。ハコボ唯一の笑顔。クロウト受けは間違いなさそうだけど、意外と万人向けかも。

雑記:

  1. ウルグアイは本作時点で過去60本程度しか映画製作がされていない(らしい)。
  2. 本作の雰囲気から、「南米のカウリスマキ」と呼ばれる。確かに。
  3. 東京国際映画祭グランプリ&主演女優賞(M・パスクアル)。カンヌ映画祭「ある視点」賞。
  4. 監督2名は本作時点で30歳。

明日へのチケット

原題:
Tickets (切符)
年度:
2005
製作国:
イギリス/イタリア
監督:
エルマンノ・オルミ/アッバス・キアロスタミ/ケン・ローチ
キャスト:
カルロ・デッレ・ピアーネ/ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ/シルヴァーナ・ドゥ・サンティス/フィリッポ・トロジャーノ/マーティン・コムストン/ウィリアム・ルアン
ストーリー
オーストリアからローマまでの電車での帰路にある教授。チケットを手配し駅まで送ってくれた女性を忘れられず想いをメールで綴り始める。また、途中で乗り込んできた中年女性。付き従う若い青年は兵役代替奉仕。彼女の傍若無人さに嫌気を募らす。一方、スコットランドの青年3名は大ファンのセルティックの応援の為にユニフォームを着込んでローマへ。アルバニア移民の少年と懇意になるが・・・。

 

評価
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9
制約が増す題材ありきの企画の料理が巧みで名監督たちゆえん。最初のオルミ編は淡いロマンスよりも電車の揺れ・混雑した視線の会話・座席とデッキという奥行きに格差の象徴とする「リアル」に驚いた。続くキアロスタミ、ローチは鬱陶しいほどの人間心理。爽快なラスト。結果的にこのオムニバスは何よりも「順番」に拍手喝采。

雑記:

  1. 3監督ともカンヌ・パルムドール受賞経験者。
  2. 教授の使うコンピューター。本体はWindowsなのにソフトはMac。

蟲師

海外タイトル:
Bugmaster (虫使い)
年度:
2006
製作国:
日本
監督:
大友克洋
キャスト:
オダギリジョー/蒼井優/大森南朋/江角マキコ/李麗仙
ストーリー
同名漫画の実写映画化。人間に取り憑き病気等を引き起こす「蟲(むし)」を鎮め、人々を癒しながら諸国を歩く「蟲師」ギンコ。ある雪深い村の少女に聴こえる大音声の正体を解き明かす。やがて、蟲の記録をしたため文字に封印する知己の女性・淡幽に異変が起きたと伝え聞き、急ぎ向かう。

 

評価
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5
原作未読。ツノ少女のプロットが長いので「蟲」はすんなり理解。反面、他蟲師の絡みのセリフ把握の困難さもあり、「蟲師」の理解が消化不良。映像きれいで勿体ない。せっかくの濃いキャラたちと濃い世界観が、映画的ファンタジーでもって伸び伸び遊んで欲しかったなあ。現代ぎりぎりに妖怪を配置する設定は示唆的で良い。

雑記:

  1. 漆原友紀原作から。「柔らかい角」「筆の海」「雨がくる虹がたつ」「眇の魚(すがめのうお)」の4編を脚色。
  2. ヴェネチア映画祭コンペティション部門出品。

アンナと過ごした4日間

原題:
Cztery noce z Anną (アンナとの4晩)
年度:
2008
製作国:
ポーランド/フランス
監督:
イエジー・スコリモフスキ
キャスト:
アルトゥール・ステランコ/キンガ・プレイス/イエジー・フェドロビチ/バルバラ・コウォジェイスカ
ストーリー
病床の母と暮らす独身の中年レオン。温情で雇ってくれた病院に勤める侘しくつましい生活。かつて目撃したレイプ被害者が近くの寮に住むことを知り心を奪われる。初めは窓越しに生活を覗くだけだったが次第にエスカレートし・・。

 

評価
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8
中年男のひねくれた純愛という実にドラマ性たっぷりのテーマを寡黙に丁寧に。ストーカーの上を行く大胆さでキモがられること請け合いなのに、この人間の弱さには不思議と共感。正装独りパーティーの長回しや牛の死体の映像など、作り手の印象的な演出が光る。

雑記:

  1. 東京国際映画祭審査員特別グランプリ。
  2. 脚本と製作も兼ねるI・スコリモフスキ監督が、愛する女性の家に忍び込んで寝顔を見ていたという日本のニュースを知り着想。

(500)日のサマー

原題:
(500) Days of Summer (サマーの500日)
年度:
2009
製作国:
アメリカ
監督:
マーク・ウェブ
キャスト:
ジョセフ・ゴードン・レビット/ズーイー・デシャネル/ジェフリー・エアンド/クロエ・グレース・モレッツ
ストーリー
グリーティングカード会社で働くトムは、ある日役員秘書として入社してきたサマーという女性に一目惚れ。その運命の日が「1日目」。以来、トムの500日間の淡い恋の行く末をトムの思い出をなぞるように描く。高嶺の花に思えた美女だったけど、好きな音楽が共通していることで次第に親密に。しかし彼女は恋人との真剣な付き合いを望まないポリシー。

 

評価
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8
リンゴ・スターを持ってきたりイケアではしゃいだり、と村上春樹風の「どこかインテリどこかポップ」なファッション恋愛モノにも思えるし、草食男の純愛なんてこそばゆくてガラじゃないとか思ってたけど意外と楽しめた。いや面白かった。冒頭の意表を突くクレジット含めて変わった演出が興味深く。贈り物に向いてる。

雑記:

  1. 脚本スコット・ノイスタッター自身の経験が75%ほどを占めるらしい。
  2. 青い衣装のミュージカルのシーンは、サマーの瞳の色を表現。
  3. M・ウェブ監督は元々ミュージックPVを数多く手がけた経歴。劇映画は初。
  4. M・ウェブ監督は本作と前後して主演2人の「シド&ナンシー」ショートバージョンも撮影。男女が逆なのも本作中の言及どおり。
  5. サマーがカラオケで唄う曲はZ・デシャネル自身の曲。
  6. トムたちが働くグリーティングカードのオフィスとトムのアパートは同じビル内で撮影。
  7. 海岸で十字軍の服装でチェスをする劇中劇はI・ベルイマン「第七の封印」のオマージュ。

J・エドガー

原題:
J. Edgar (J・エドガー)
年度:
2011
製作国:
アメリカ
監督:
クリント・イーストウッド
キャスト:
レオナルド・ディカプリオ/ナオミ・ワッツ/アーミー・ハマー/ジョシュ・ルーカス/ジュディ・デンチ
ストーリー
29歳から77歳で死ぬまでの半世紀近くにわたりアメリカ連邦捜査局(FBI)の初代長官を務めたジョン・エドガー・フーヴァーの半生。若くしてFBIの前身機関の長に任命されたフーヴァーは当時先進的だった科学捜査を積極的に導入。連邦犯罪の明確化や銃器保持などの改革を訴える。共産主義を打倒し正義を貫く信念で、権力を集中させていく。

 

評価
コメント
8
奇をてらわない素朴な、しかしテンポとユーモアのある演出でしっかり人間内面の深みを描く手法はC・イーストウッドお手の物。彼の国では児玉誉士夫とか正力松太郎とかの半生に日本人が抱くフクザツな心情だと推察。ひたすらに人間を追い人間を描く。A・ハマーが素晴らしい。強いて言えば正義の確信の根源に迫って欲しかった。

雑記:

  1. 脚本は「ミルク」のダスティン・ランス・ブラック。
  2. クライド・トルソンを演じたA・ハマーはオクシデンタル石油の重鎮アーマンド・ハマーの曾孫。アーマンドはフーヴァー長官にソ連との関連を疑われマークされていた。
  3. J・デンチは本作の前の映画撮影中に足指を骨折していたが、役者交替を避けるために本作撮影中にはそのことを隠して演じた。撮影終了後、プロデューサーが気づいた。

僕らのミライへ逆回転

原題:
Be Kind Rewind (巻き戻してご返却ください)
年度:
2008
製作国:
アメリカ
監督:
ミシェル・ゴンドリー
キャスト:
ジャック・ブラック/モス・デフ/ダニー・グローヴァー/ミア・ファロー
ストーリー
VHSしか置いてないショボいビデオ屋の留守番店長を任されたマイク。腐れ縁のトラブルメイカーのジェリーがひょんなことで磁気を帯びてしまい、店のテープが全部ダメになってしまった。借りに来たお客をごまかすために、2人で即席の「リメイク」を作って急場を凌ぐ。しかしそんなチープな作品が次第に話題に。

 

評価
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9
これは心温まる。J・ブラックのお得なキャラを伸び伸びと生かしながら、映画に対する深い愛情を表現。「こち亀」を思わせるご都合主義の連続は映画というフィクションエンタメの本質を突き、そんなバカ映画がクチコミで人気を獲得してしまうあたりは映画ビジネスの本質を突く。役者も演出も巧い。

雑記:

  1. 「ゴーストバスターズ」のテーマ曲のオリジナルが使われていないのは法的な理由による。
  2. リメイクを「Swede」と表現するのは、スウェーデン政府がインターネットの海賊版やパロディに寛容であることが理由。
  3. ファッツ・ウォーラーの伝記を町の人達が見に来るシーンは実際のパセーイクの皆さん。
  4. 黒い袋から2つのタイトルを選ぶシーンでアルマが言う「人生は卑劣で、残酷で、短い!」は、トマス・ホッブズ「リヴァイアサン」からの引用。

17歳

原題:
Brujas (魔女たち)
年度:
1996
製作国:
スペイン
監督:
アルファロ・フェルナンデ・アルメロ
キャスト:
ペネロペ・クルス/アナ・アルバレス/ベアトレス・カバジャル/アレックス・アングロ
ストーリー
想い人と結ばれることを夢見て家を飛び出した17歳のパトリシア。家賃が払えずアパートを追い出された20代のソル。夫と大げんかの末にカネを持って家を飛び出した中年のビルヘニア。3人の女性が偶然出会い、いがみ合いながらも絆を深めていく。3世代の女が抱えるそれぞれの悩み。

 

評価
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4
つまらない訳ではないけど公開年考えると陳腐さが隠せない。P・クルスの未成熟な演技は愛嬌だし良い味出しているけど、「泥棒に泥棒」や「大写しのスクリーン」や「泥まみれ」等、全体的な演出にレトロ感。せっかくの3世代も生かされていないような。

雑記:

  1. P・クルスとA・アルバレスは、スペインで大ヒットしたアレハンドロ・アメナーバル監督デビュー作「テシス」の役を断って本作に出演。

セックス依存症の私

原題:
Diario de una ninfómana (セックス中毒者の日記)
年度:
2008
製作国:
スペイン
監督:
クリスティアン・モリーナ
キャスト:
ベレン・ファブラ/レオナルド・スバラグリア/ジュム・バレラ/ジェラルディン・チャップリン/アンヘラ・モリーナ
ストーリー
キャリアウーマンのバレリアは、セックスの快楽に憑かれ愛なき男性遍歴を重ねる。そんな自分の症状に悩む。そんな折、不況により職を失い就職活動中に知り合った会社社長ハイメと初めての激しい恋に落ちる。裕福で幸福な同棲生活が始まり安らぎを得るが、やがてハイメの異常な嫉妬深さが際立ってくる。

 

評価
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6
考えさせられるテーマなだけに一つの症例ゆえの悩みを掘り下げて欲しかった。過度な展開に走りがちな脚本(DV、娼婦、不能者etc)にやや鼻白む。でも、この本能の営みに正面から斬り込み、これまた正統派の「人生とは」をぶつけるあたりは勇気があり、演者の激しそうに見えて実は奥ゆかしい演技とともに評価。

雑記:

  1. 娼館に務めた経験を持つヴァレリー・タッソーが原作。脚本は「ハモン・ハモン」(1992)のクーカ・カナルス。
  2. 娼館の主クリスティーナはアンヘラ・モリーナ(「欲望のあいまいな対象」(1977)etc)。同姓だが監督との姻戚関係は無い。
  3. 冒頭に映される手書きの日記には「vivir」(生きる)が何度も。

プラダを着た悪魔

原題:
Devil Wears Prada, The (悪魔がプラダを着た)
年度:
2006
製作国:
アメリカ
監督:
デヴィッド・フランケル
キャスト:
メリル・ストリープ/アン・ハサウェイ/エミリー・ブラント/スタンリー・トゥッチ/エイドリアン・グレニアー/サイモン・ベイカー
ストーリー
ジャーナリストを目指すアンドレアは、ほんの腰掛け程度のつもりで一流ファッション誌「ランウェイ」の編集長アシスタントとして働くことに。ファッションにとことん疎い彼女はカリスマ編集長ミランダの威光も全然知らない。ミランダの理不尽かつ殺人的な要望をこなすうち、彼氏や友人と溝ができはじめる。

 

評価
コメント
6
肩の凝らない軽めな成長物語。だけど、結果を出せないリスクヘッジとしての愚痴とか「他人ではなく自分の決断」あたりはお仕事の「根幹」なわけで、ニヤけながら観賞(多分)。主役2女優のフォトジェニックな華々しさも良いけど、同僚E・ブラントの素直な演技に好感。セルリアンブルーの薀蓄には感心しちゃいました。

雑記:

  1. 「ハリー・ポッター7作目の原稿」の小道具はネットオークションで586ドルで販売。ハンディキャップ女性の就労支援をするNPOに寄付された。
  2. アンディーを雇う「ニューヨーク・ミラー」紙は1898年まで存在した実在の新聞社。エドガー・アラン・ポーの初稿を出版していたことで有名。
  3. スターバックス店員役をM・ストリープの娘が演じていたが、編集段階でカットされた。
  4. ミランダが離婚のことを吐露するシーンのノーメイクはM・ストリープ自身のアイデア。
  5. ミランダの双子の娘の登場シーンは僅かだが、100組以上がオーディションされた。
  6. 服飾提供に多くのファッションデザイナーが参加。その為、「最も高価なコスチューム」の映画の一つに。
  7. 映画PRで衣装担当が来日。これは稀。

マチェーテ

原題:
Machete (マチェーテ)
年度:
2010
製作国:
アメリカ
監督:
ロバート・ロドリゲス/イーサン・マニキス
キャスト:
ダニー・トレホ/スティーブン・セガール/ロバート・デ・ニーロ/ジェシカ・アルバ/ジェフ・フェイヒー/ドン・ジョンソン/ミシェル・ロドリゲス/リンジー・ローハン
ストーリー
メキシコの麻薬捜査官マチェーテは周囲が止めるのも聞かずに麻薬王トーレスの本拠地へ。そこで罠にハマり妻と娘を惨殺される。国境を渡りテキサスに逃亡した彼は不法侵入者として肉体労働に身をやつす。そんな彼に、不法移民根絶に燃える上院議員暗殺を持ちかけるブースという男が現れる。

 

評価
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5
分かってますこういう映画って。ビール片手にアホやな~って言いながら何も考えずにB級を楽しむ映画だって。グロもエロもOKなのですがどうも苦手な部類かも。跳ねるクルマすげー。ちょっぴり政治臭を紛れ込ませるあたり興行映画の源流はこちらでしょ、とタランティーノが高笑いしてそうw いやその通りでございます。

雑記:

  1. 元々はQ・タランティーノ&R・ロドリゲス「グラインドハウス」(07)の為に製作したニセ予告編。それを膨らませてしまったのが本作。
  2. ハンガリー人ボディーガード役のニムロッド・アーントルは、プレデターシリーズ3作目「プレデターズ」(2010)のハンガリー人監督。D・トレホも出演。
  3. 「プレデターズ」は本作とほぼ同時期に撮影。元々R・ロドリゲスが監督する予定。
  4. ジェシカ・アルバは契約上ヌードNG。ヌードシーンはデジタル処理。
  5. S・セガールがタイマンで負けるのは初めて。
  6. D・ジョンソンが「introducing」枠でクレジットw。

レイチェルの結婚

原題:
Rachel Getting Married (結婚するレイチェル)
年度:
2008
製作国:
アメリカ
監督:
ジョナサン・デミ
キャスト:
アン・ハサウェイ/ローズマリー・デウィット/ビル・アーウィン/トゥンデ・アデビンペ/マーサー・ジッケル/アンナ・ディーヴァー・スミス/アニサ・ジョージ/ロビン・ヒッチコック/シスター・キャロル・イースト/デブラ・ウィンガー
ストーリー
薬物中毒患者のキムは姉レイチェルの結婚式の為に更生施設を退院。既に10年も入退院を繰り返している。家族や友人たちは2日後に迫ったレイチェルの結婚式の準備で大わらわ。歓迎されるべきキムの帰宅のはずだが、腫れ物扱いされる側とする側、その間に横たわる言葉にならない不協和音が次第に露わに。

 

評価
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10
痛い痛い痛い。ホームドラマ「っぽい」演出であることは十分理解しているが、「親しい人たち」が見せる欺瞞と虚構の数々に胸が絞られ、そのあまりの「日常」に心が掴まれる。眼をしっかと見開いてその現実を見つつも、そこに絆や愛を躍動させるのが我々人間という純朴な演技者なのだ。A・ハサウェイ心の底から見直しました。

雑記:

  1. 脚本ジェニー・ルメットは、巨匠シドニー・ルメットの娘。脚本自体は5本目だが、映画になるのは初。
  2. 食洗機の「競争」シーンは、シドニー・ルメットとボブ・フォッシーが関わった実在のできごと。
  3. 本作の音楽は、全てスクリーン上の演奏者による。
  4. イーサンの写真はA・ハサウェイの実弟。

プロヴァンスの贈りもの

原題:
Good Year, A (当たり年)
年度:
2006
製作国:
アメリカ
監督:
リドリー・スコット
キャスト:
ラッセル・クロウ/マリオン・コティヤール/アルバート・フィニー/フレディ・ハイモア/アビー・コーニッシュ/トム・ホランダー/ディディエ・ブルドン
ストーリー
少年時代にヘンリーおじさん所有の南仏のワイナリーで夏を過ごすことが楽しみだったマックス。成人した彼はロンドンの金融街でトレーダーとしてのし上がり、豪腕で名を馳せていた。そこへ届いたのがヘンリーの訃報。遺産相続手続きの為に懐かしいシャトーを訪れるが、彼の関心は売却益のみ。ところが、思い出の地での体験が彼を徐々に変えていく。

 

評価
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6
リドリー・スコットがこんな叙情的なラブコメを描くとは。プロヴァンスの一面のぶどう園のように伸び伸び撮った感が良く現れている。ワイン映画だけど、通にも半可通にも中途半端な内容になってしまったのは仕方ない。ハリウッド監督がフランス映画風に撮るとこうなるのかも。R・クロウは意外と似合ってた。

雑記:

  1. 原作ピーター・メイルは、R・スコット監督の友人。スコット監督自身がプロヴァンスにワイン園を所有。
  2. デュフローの犬「タチ」は、勿論、ジャック・タチから。バウムの巨大なスクリーンにもタチ作品が多く登場。
  3. プロヴァンス地方観光局のウェブサイトで紹介されていた。

イカとクジラ

原題:
Squid and the Whale, The (イカとクジラ)
年度:
2005
製作国:
アメリカ
監督:
ノア・バームバック
キャスト:
ジェフ・ダニエルズ/ローラ・リニー/ジェシー・アイゼンバーグ/オーウェン・クライン/アンナ・パキン/ウィリアム・ボールドウィン
ストーリー
1986年ニューヨーク。落ち目の作家バーナードと作家デビューを控えたジョーンの夫婦の間には16歳のウォルトと12歳のフランクの2人の息子。不和が続いた夫婦の溝は修復不可能となり、離婚を選択。多感な兄弟は同じ町の2つの家を交互に行き来することになる。息子たちは身勝手にも思える泥臭い両親を見て、それぞれのやり方で人生を学ぶ。

 

評価
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8
すっきりと観られる佳作。生涯一度きりの本気に賭けた「私小説」的な作品もたまには良い。ディテール含めてバームバック監督のこだわりが随所に見られ、心から共感したキャストとクルーが懸命に制作した。その本気度がとても清々しい。NYが舞台なのにテーマとノリが北欧っぽいのも良い。

雑記:

  1. バーナードが断られるエージェントは「ICM」。J・ダニエルズとL・リニーも所属する実在のエージェント。
  2. 教師と生徒役のJ・ダニエルズとA・パキンは「グース」では親子。
  3. 脚本も兼ねたバームバック監督は、当初プロデューサーのウェス・アンダーソン(「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」「ダージリン急行」等)に監督を依頼したが、バームバックの個人的経験に基づいていることから彼自身に監督を薦めた。

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

原題:
Charlie Wilson’s War (チャーリー・ウィルソンの戦争)
年度:
2007
製作国:
アメリカ
監督:
マイク・ニコルズ
キャスト:
トム・ハンクス/ジュリア・ロバーツ/フィリップ・シーモア・ホフマン/エイミー・アダムス/シリ・アップルビー/エミリー・ブラント
ストーリー
実話ベース。1979年ソ連軍アフガニスタン軍事介入。共産圏の拡大を防ぎたいアメリカは議会の抵抗もあり実質的な対抗策が打てずにいた。テキサス州選出下院議員チャールズ(チャーリー)・ウィルソンは武装ゲリラ勢力ムジャヒディンに対する支援に動き、CIAや軍を動かし莫大な裏予算を獲得する。

 

評価
コメント
7
トムハンクスさすが。後にビンラディンを生むことになるの軍事支援に奮闘する英雄譚、という視座が痛い。しかもそれを明示せず「今に分かる」と繰り返すのみ。原作の脚本化が色濃く出ているのか、実話とは思えぬ戯画調が気になるが、内幕なんてこんなもの、という意味かも。

雑記:

  1. 原作はジョージ・クライルの同名ノンフィクション。
  2. スティンガー銃の模型の爆発でスタッフが重症。
  3. チャーリーがプレゼントされた実際のスティンガー銃は自宅で大事に保管されている。
  4. チャーリーの美人アシスタントたちは「チャーリーズ・エンジェル」と呼ばれた。クレジットにもそう表示。
  5. ガスに「将来のことを考えろ」とアドバイスを受けた後、聴こえる飛行機の音は、当然、9・11テロの暗示。

ユナイテッド93

原題:
United 93 (ユナイテッド93便)
年度:
2006
製作国:
アメリカ
監督:
ポール・グリーングラス
キャスト:
ベッキー・ロンドン/シェエン・ジャクソン/チップ・ジエン/クロー・シェーン
ストーリー
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件。ハイジャックされた4機のうち唯一目的地に到達せず、ペンシルヴァニア州に墜落したユナイテッド93便。ハイジャック機内の乗客たちの絶望と奮闘を描く。前代未聞の事態に大混乱に陥る航空管制当局や軍。

 

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9
この緊迫感は相当なもの。テープレコーダーと関係者の証言から起こした再現ドラマという割引は考慮する必要はあるが、突然巻き込まれた惨事に対する人間の困惑と勇気の描写に感動。情報の錯綜ぶりも余すことなく伝え時系列を合わせる手腕は見事。ひとつの記録映画として素晴らしい。

雑記:

  1. 実際の米軍航空司令室も使われている。
  2. 犠牲になった乗員乗客40名(テロリスト4名を除く)の遺族たちが積極協力。着ていた服装や聴いていた音楽、機内に持ち込んだキャンディの種類に至るまで。
  3. 管制官等の相当名は本人が演じている。
  4. テロリストを演じた俳優たちと乗客を演じた俳優たちは、撮影中、別々のホテルに泊り、別々に食事した。本当の恐怖を演じて欲しい意図。
  5. テロリストのリーダー、ジアド・ジャラを演じたイラク出身のハリド・アブダラは、ニューヨークでのプレミア試写会の為のビザが下りなかった。かつてイラク軍に所属していた過去があるため。
  6. 作中で乗客の名前はほとんど明かされないが、これは英雄を描きたいわけではない製作者の意図。
  7. エンドクレジットの最後:「本作はユナイテッド・エアラインズ社からの資金援助は受けておらず、同社とはいかなる形でも関係しておりません。」

パラノイドパーク

原題:
Paranoid Park (パラノイア公園)
年度:
2007
製作国:
アメリカ/フランス
監督:
ガス・ヴァン・サント
キャスト:
ゲイブ・ネヴァンス/テイラー・モンセン/ジェイク・ミラー/ダン・リュー/ローレン・マッキーニー/スコット・グリーン
ストーリー
ポートランド。高校生アレックスはスケボー三昧。友人ジャレッドと共に地元のスケーター達が集う「パラノイドパーク」を訪れる。私費で設営されたその「公園」は、違法で治安も悪いがアレックスはそのカッコ良さに羨望の眼。ある日、常連スケーターの誘いで貨物列車への飛び乗りを体験した彼はある事件に巻き込まれる。

 

評価
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9
バラバラにした時間軸、技巧的な映像の奔流、エンタメ色など映画に不要と言わんばかりの映像芸術。最近のヴァン・サント氏の王道かな。岩井俊二も嫌いじゃないけど彼も好き。スピードがズレる音声や唐突な音楽も含め、揺れる少年の心情表現をカメラで追及した時、本作はひとつの答えだろうな。確かに自分も世界をこのように思いこのように観ていた、とさえ思う。

雑記:

  1. 撮影監督はクリストファー・ドイル。
  2. 弟がアレックスに聞かせる「ナポレオン~」の話は「バス男」(Napoleon Dynamite/2004)。MTVムービーアワードを受賞したヒット作。

聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実

海外タイトル:
Isoroku Yamamoto, the Commander-in-Chief of the Combined Fleet (連合艦隊司令長官・山本五十六)
年度:
2011
製作国:
日本
監督:
成島出
キャスト:
役所広司/玉木宏/柄本明/柳葉敏郎/阿部寛/吉田栄作/椎名桔平/益岡徹/袴田吉彦/五十嵐隼士/坂東三津五郎/原田美枝子/瀬戸朝香/田中麗奈/中村育二/伊武雅刀/香川照之
ストーリー
1941年12月の真珠湾攻撃による日米開戦当時の帝国海軍連合艦隊司令長官・山本五十六を描く。支那事変の戦況は膠着し、世論と新聞記者は国威発揚と景気浮揚の為の日独伊三国同盟を熱望。アメリカを敵に回す同盟締結に強烈に反対する山本らだが、やがて同盟は締結される。後戻りのできない情勢のなか、起死回生の真珠湾攻撃作戦がまとまる。

 

評価
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7
乃木希典の如くに英雄と戦犯双方の視点で語られる一人。世論や勢いに流されず国際情勢を冷静に俯瞰する先見性。情に厚く義を尽くし、孤高に主張し責任を果たす稀代の戦略家。そればかりか「日本一の厭戦家」として描かれる。いくらなんでも眉唾だ正直。ただ、役所さん始め俳優陣の貫禄、そして新聞記事を含む数々の考証が良い。

雑記:

  1. 長男の山本義正氏の制作協力。
  2. コミカライズ版がグランドジャンプで連載。
  3. まんじゅうに砂糖、干し柿、乾燥芋、、。山本は甘党だった。
  4. 成島監督と役所広司の監督・主演コンビは、「油断大敵」(2003)以来7年ぶり。

フローズン・リバー

原題:
Frozen River (凍った河)
年度:
2008
製作国:
アメリカ
監督:
コートニー・ハント
キャスト:
メリッサ・レオ/ミスティ・アップハム/チャーリー・マクダーモット/マイケル・オキーフ/ジェームズ・ライリー
ストーリー
ニューヨーク州最北端の町メシーナ。ギャンブル狂の夫に新居購入費用を持ち逃げされたレイは、自分の少ない稼ぎで息子2人を抱える現状に悩む。夫を探していると、見知らぬモホークの女性が夫の車を運転している。州法も届かぬこのモホーク保留地で、レイとモホーク女性ライラは、背に腹変えられぬ各々の事情により、共犯体制を組む。

 

評価
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8
大都市に囲まれた地域に留め置かれた「アメリカのトラウマ=保留地」の描かれ方を興味深く鑑賞。人種を超えて共通した、理性の及ばぬ大胆かつ深い母性を濃く表現。中年女性の締まらない身体を強調し、カネに揺れる醜さも描く。貧困、そして女性というものを味わい深く描いた佳作。

雑記:

  1. 兄弟役のC・マクダーモットとJ・ライリーは、実のいとこ。
  2. サンダンス映画祭グランプリ。その他各賞受賞。
  3. ネイティブ・アメリカン保留地はアメリカ中にあるが、北部ニューヨーク州の6部族の保留地は「イロコイ連邦」という独立国家連合を形成している。

奴らを高く吊るせ!

原題:
Hang ‘Em High (奴らを高く吊るせ)
年度:
1968
製作国:
アメリカ
監督:
テッド・ポスト
キャスト:
クリント・イーストウッド、インガー・スティーブンス、エド・ベグリー、デニス・ホッパー、ブルース・ダーン
ストーリー
9人の無法者に囲まれ牛泥棒の嫌疑をかけられた元保安官クーパー。私刑の末、樹に首吊られる。奇跡的に一命を取り留めた彼は、判事の勧めで保安官に復職し、9人への復讐に向かう。保安官と司法官の数が極端に少ないこのオクラホマ準州では法執行にも恣意が入り込む。

 

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6
凱旋イーストウッドを堪能するのは勿論だけど、当時のオクラホマが置かれた状況を考えると実はマカロニほど浅くない。自己は自己で守り、ならず者も鍛冶屋や牧場主だったりする。判事の言う「州になるまでは私が法だ」は実にアメリカ的な発想で良い。西部劇を(日本の時代劇のように)現代と切り離さず、むしろ現代に連なる価値観が具現化されてると見ると面白い。

雑記:

  1. 撮影中にプロデューサーのレナード・フリーマンとT・ポスト監督にいざこざがあった。
  2. 村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」に本作鑑賞シーンあり。
  3. イーストウッドの生涯の師になるセルジオ・レオーネが本作を監督するアイデアもあったが、ちょうど「ウエスタン」(68)と重なり断念。
  4. イーストウッドが同年に設立しているマルパソ・カンパニーの初プロデュース作品。

マネーボール

原題:
Moneyball (マネーボール)
年度:
2011
製作国:
アメリカ
監督:
ベネット・ミラー
キャスト:
ブラッド・ピット/ジョナ・ヒル/ロビン・ライト/フィリップ・シーモア・ホフマン/クリス・プラット/ケリス・ドーシー/キャスリン・モリス
ストーリー
メジャーリーグ球団オークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーンの半生を描く。勝ちに見離され、有力選手も次々とチームを去る。資金力がないチームを引っ張り上げるにはライバルと同じやり方ではダメ。データ分析理論に敏いアシスタントのピートを引き入れ、経済的に勝つ。ビーンの眼に光る冷徹な確信。

 

評価
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9
期待以上。ブラピ氏の強烈な存在感が映画を貫く。およそ語り尽くされた感のあるスポーツ(それも野球)モノ、しかも弱小チームの成長という「直球勝負」。これほどのドラマが描けるとは。電話のトレード交渉はスリルすらある。放出を言い渡される各々の反応も良い。実写フッテージの使い方が光る。

雑記:

  1. スティーヴン・ソダーバーグ監督で開始。ソダーバーグが脚本と違うプロットを撮影するなどしてプロダクション側に反対され、監督降板。B・ミラー監督が起用された。
  2. ビーンのアシスタント、ピート・ブランドはポール・デポデスタがモデル。はじめ実名だったが自身の描かれ方に異を唱え役名が変えられた。
  3. ビーンの元妻の現パートナー役を演じているのはスパイク・ジョーンズ(「マルコヴィッチの穴」「アダプテーション」等の監督)。
  4. ライバルに移籍したひとりデイヴィッド・ジャスティスを演じたスティーヴン・ビショップは実際の元メジャーリーガー。
  5. 2002年当時のアスレチックス選手で映画公開時に現役だったのはマーク・エリスのみ。

エビータ

原題:
Evita (エビータ)
年度:
1996
製作国:
アメリカ
配給:
UIP
監督:
アラン・パーカー
キャスト:
マドンナ/アントニオ・バンデラス/ジョナサン・プライス/ジミー・ネイル/ビクトリア・サス
ストーリー
20世紀前半のアルゼンチンで国民から絶大な支持を得たペロン大統領夫人エバ(愛称エビータ)。その短い生涯を描いたウェバーのミュージカルを映画化。田舎の私生児に生まれ、貧しい暮らし。タンゴ歌手の愛人となり憧れのブエノスアイレスへ。そこで女優としてキャリアを積み、やがて運命の人ペロン大佐に出会う。

 

評価
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9
マドンナが最高に輝く名作。伸びやかな歌唱の聴かせぶりは当然としても、聖俗併せたキメ細かい演技、そしてそれを引き出したパーカー監督の演出の妙。バルコニーで民衆を揺さぶる演説はミュージカル映画史に残る。狂言回しバンデラスの野太い(そして想像以上に巧い)歌声には痺れる。

雑記:

  1. 脚色・音楽がアンドリュー・ロイド・ウェバー。
  2. 脚本はA・パーカー監督とオリヴァー・ストーン。当初はストーンが監督予定だったが、アルゼンチン政権側とのトラブルもあり実現せず。
  3. アルゼンチンでは一部で猛反発。チェが暴くエビータの秘めた野心の描写が受け入れられないとして。
  4. 一方、撮影はエビータ本人が演説したカサ・ロサダでの撮影に成功。
  5. アカデミー歌曲賞(You Must Love Me)。オリジナルのミュージカルにはない曲。
  6. マドンナは主役を得るためにパーカー監督に長い手紙。
  7. マドンナが着用したコスチュームの多さでギネス受賞。85回の衣装替え。帽子39。靴45。イアリング56。
  8. マドンナの「地のセリフ」はたった140語。A・バンデラスはなんと6語(!)。残りはすべて歌。
  9. CM撮影中のエバの演技の下手さに頭を抱える監督役はA・パーカー監督自身(笑)。

中国の植物学者の娘たち

原題:
Filles du Botaniste, Les (植物学者の娘たち)
年度:
2005
製作国:
カナダ/フランス
配給:
アステア
監督:
ダイ・シージエ (戴思杰)
キャスト:
ミレーヌ・ジャンパノワ/リー・シャオラン/リン・トンフー/ワン・ウェイトン/グエン・ニュー・クイン
ストーリー
孤児院の少女リー・ミンは、昆林の湖に浮かぶ孤島の植物園を管理するチェンに植物学を師事するため園を訪う。保守的な価値観を固辞するチェンはミンに厳しくあたるが、その娘アンは何かと気にかける。母を既に亡くしているアンもまた、この厳格な父のもとで孤独だった。ミンとアンはやがて互いに強く惹かれ合う。

 

評価
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8
極端に牧歌的(墨画的か)でエキゾチックな美しい叙情にこだわったのは正解か。主演2名の美しさと相まって高い芸術度。自由の制約を様々なメタファーで表現し(共産国家、時代、父権、湖、籠の鳥、食虫植物、「チベット」等)、中国からフランスに飛び出した監督のメッセージ性が露わ。狂おしい悲恋の佳作。

雑記:

  1. ダイ・シージエ監督は中国生まれでフランスで活躍。フランス語で著した小説で文学賞受賞。
  2. 舞台である「昆林」という地名は架空。1976年唐山地震は史実。
  3. 雲南省を思わせる美しい風景だが、撮影はベトナム。中国では撮影許可が降りなかった。
  4. M・ジャンパノワは父が中国人、母がフランス人。中国語は解さない。L・シャオランは英語も仏語も解さない。

ボルベール <帰郷>

原題:
Volver (回帰)
年度:
2006
製作国:
スペイン
配給:
ギャガ
監督:
ペドロ・アルモドバル
キャスト:
ペネロペ・クルス/カルメン・マウラ/ヨアンナ・コバ/ブランカ・ポルティージョ/ロラ・ドゥエニャス
ストーリー
つましい暮らしのライムンダ。夫と多感な娘を抱え多忙な毎日。3年前に焼死した母の墓参りを兼ね、姉ソーレと娘を連れ帰郷。痴呆が進む伯母パウラはライムンダとの同居を頑なに拒む。ライムンダは心配。近所の友人アグスティナに当面の世話を頼み後ろ髪を引かれる思いで帰宅。事件はその翌日に起こる。

 

評価
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9
冒頭クレジットの墓ドリーからやられっ放し。主人公と観客を裏切る小気味良い脚本。冴えわたる色彩感覚(女性4人の上着の色とか!血でさえも)。女性賛美というより男性嫌悪としたほうが適切と思われる(笑)ほどの徹底ぶり。「たくましさとしての母性」に加え、「あそうそう過去大変だった思い出した」とでも言いそうな高度な順応には勇気をもらえる気がした。

雑記:

  1. 主演女優6人がカンヌ主演女優賞。脚本賞も。/li>
  2. 舞台のラマンチャ地方は監督が出身。
  3. ライムンダは下半身(尻など)だけ付け肉。P・クルスはスタイルが良すぎたのでそうした。
  4. アルモドバル監督の「私の秘密の花」(95)の主役レオが書く本の内容が、本作の重要な展開に酷似。

それでもボクはやってない

海外タイトル:
I Just Didn’t Do It (国際=僕はやってない)
年度:
2007
製作国:
日本
配給:
東宝
監督:
周防義和
キャスト:
加瀬亮/瀬戸朝香/山本耕史/もたいまさこ/役所広司
ストーリー
フリーターの徹平。面接に向かう満員電車で女子中学生に痴漢に間違われ駅事務所へ。警察に留置。取り調べにも一貫して否認を続け、示談の提案も頑なに乗らない。やがて徹平の主張に耳を傾ける弁護士や冤罪被害者仲間も現れるが、ついに起訴される。日本の異常な起訴後有罪率の高さに挑む。

 

評価
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8
他人の人生を覗き見る裁判は本能に訴えるエンタメ要素がある。裁判・冤罪モノが高確率で面白いのもそれが理由。本作のプロットの焦点は冤罪そのものではなく、冤罪を生み出すシステムとプロセス。それは観る前に予想できたが、「被告人が裁判官を裁く」という発想は斬新。この古くて新しい問題への最善の解答を得た国家はあるのか。

雑記:

  1. 周防監督が2002年の実際の逆転無罪判決をきっかけに意欲的に取材。
  2. 冒頭「「十人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれ」は「疑わしきは被告人の利益に」とともに刑事裁判の原則。
  3. ラスト「どうか私をあなたたち自身が裁いてほしいと思うやり方で、裁いてください」アメリカの黒人人権運動家アフェニ・シェカーが自らの裁判の最終弁論で述べた言葉。