ゲイを弾圧する隠れゲイ政治家を探し出せ! (Outrage)

原題:
Outrage (義憤)
年度:
2009
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
カービー・ディック
キャスト:
マイケル・ロジャーズ他
ストーリー
ドキュメンタリー。アメリカ連邦議員、特に共和党議員に自らがゲイでありながらそれを隠し、結婚や公民権などのゲイの社会的権利を認めない法案に賛成票を投ずる「隠れゲイ」たちがいる。その存在に証拠を突きつけブログで公開するM・ロジャーズらの活動を追い、宗教保守層を票田に抱える議員たちの虚飾と不誠実を暴く。

 

評価
コメント
3
「どうして彼らは隠さざるを得なかったのか」という本質に斬り込んでおらず、制作者のスタンスも不明でストレスのたまる映画。民主党の選挙キャンペーン映画に思える。誰だって隠したくない。だから苦しむ。政治家の嘘が良くないこともみんな知ってる。でも何故? 極めつけに、肝心の「暴く」部分が他人任せなのは致命的。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. 主要紙や主要局の映画評では作中で言及された政治家の名前を紹介することを控えられた。そのことにK・ディック監督は「プレスの使命を果たしていない」と批判。
  3. ロジャーズは映画紹介で招かれたTV番組で番組ホストと大激論

縞模様のパジャマの少年

原題:
Boy in the Striped Pyjamas, The (ストライプのパジャマの少年)
年度:
2008
製作国:
イギリス/アメリカ
配給:
ディスニー
監督:
マーク・ハーマン
キャスト:
エイサ・バターフィールド/ジャック・スキャンロン/ベラ・ファーミガ/デビッド・シューリス/アンバー・ビーティー
ストーリー
ベルリンのナチス将校の子ブルーノ、8歳。父の強制収容所所長への昇進を機に空襲を避け収容所傍の新居に家族で越す。友人もいない環境で退屈したブルーノは禁止されていた裏庭に入り、皆が何故かお揃いの「パジャマ」を着た「農場」に着く。そこで同い年の少年と出会い友情が生まれる。収容所の意味もユダヤ人の意味も理解していないブルーノに転機が。

 

評価
コメント
9
罪なまでの無垢さ。この救いのなさがフィクション、、、いやまてフィクションじゃないぞと思い泣く。そして少年たちの運命とその家族の複雑な立ち位置に泣くが、次の瞬間には「感情移入ができた彼らだけ」の救いを望んでいた自分に絶望。収容所モノは鑑賞にエネルギーが要るが名作揃い。少年たち名演!

雑記:

  1. ドイツ女性の既婚の標は右手にバンド
  2. 映画内で言及はないが4つの火葬場があることからアウシュビッツ
  3. ロケはブタペスト
  4. ジョン・ボインの同名小説の映画化。世界的ベストセラー。

フォロウィング

海外タイトル:
Following (尾行)
年度:
1998
製作国:
イギリス
配給:
アミューズ
監督:
クリストファー・ノーラン

キャスト:
ジェレミー・セオボルド/アレックス・ハウ/ルーシー・ラッセル/ジョン・ノーラン

ストーリー
孤独な作家志望の男ビルの独白。ある時から街中で無作為な人物の尾行をすることを始めた。再尾行の禁止、という自らに課したルールを破った時、相手の方から話し掛けられた。彼は空き巣を生業で、這入った家の主の人生を想像することが楽しいという。彼に付き、空き巣を始めるビル。ある女性宅に侵入してから、事態が狂い始める。

 
 

評価
コメント
6
時間軸の狂わせ方は「メメント」の原点なのだろうけど、記憶疾患、というような理由付けが本作にはないので単純に違和感。それでもこの手のギミックは、何度観てもまだ新鮮味があり、目が離せない。その脚本・編集術に舌を巻く。残念なのは「メメント」の原点、との評価にしかなり得ないところ。ファン以外には飽きられる恐れ。

雑記:

  1. 主人公を尋問する警官役ジョン・ノーランは、監督の叔父 
  2. 脚本・編集・撮影もC・ノーラン
  3. フィルム・ノワールに多分に影響
  4. 低予算で定職のあるスタッフばかりなので、土曜日のみの撮影。したがって撮影に1年

弾丸ランナー

海外タイトル:
Non-Stop (米=ノンストップ)
年度:
1996
製作国:
日本
配給:
日活
監督:
SABU(サブ)

キャスト:
田口トモロヲ/DIAMOND☆YUKAI/堤真一/麿赤兒/大杉漣/菊地隆則/白石ひとみ

ストーリー
ダメ男安田が一念発起、銀行強盗を計画。入念な準備を終え本番。マスクを忘れて近くのコンビニへ。財布を忘れて万引きを画策するも見つかり、思わず発砲。ヤク中の店員に追われる。一方ヤクザの竹田は、自分の弱気で親分と兄貴分を刺されたばかりでブルー。そこへヤクの金を払わない店員と鉢合わせて憤激。走る追う追われる3人!

 
 

評価
コメント
7
アイデア直球という感じで粗削りなんだけど、三者三様の表現がとっても映画らしくて好き(特に性癖。わはは)。劣等感だの敗北感を、走って走ってスカッと解消!大袈裟に言えば走りつづけてある境地すなわちコレ人生、って随分センチなテーマなのに、リアリティを適度に薄めた「映画感覚」が冴え冴えと。センスを感じます。

雑記:

  1. 挿入歌「Shame」は、作詞・作曲・歌:DIAMOND☆YUKAI 
  2. 堤真一は、(何故か)「友情出演」
  3. 組長を暗殺するチンピラ役は、サブ監督
  4. ベルリン映画祭パノラマ部門招待作品
  5. 撮影期間14日間

少年たちは花火を横から見たかった

海外タイトル:
-
年度:
1999
製作国:
日本
配給:
ロックウェルアイズ
監督:
岩井俊二

キャスト:
奥菜恵/山崎裕太/小橋賢児/麻木久仁子/深浦加奈子

ストーリー
CX系ドラマ「ifもしも」の一話として制作された「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」(93)から6年。成長した奥菜恵と山崎裕太の2人が舞台となった千葉県飯岡町を再び訪れる。彼らが辿る撮影の想い出や、岩井監督自らが語る脚本の変遷やアイデアの源泉。当時の番組スタッフ達も制作秘話を語る。

 
 

評価
コメント
5
本編がお気に入りなので、ある意味では楽しめた。特にプールシーンでのライティングに至る経緯や5通りのカメラ視点などは、大変に興味深かった。ただ、自らが企画・監督する「作品」としては、疑問。OVとしてのリリースにしても。磯野家の謎を長谷川町子が企画したような。特に「銀河鉄道の夜」の人形劇は面白いけど、自慰。

雑記:

  1. 奥菜恵はもとより、ノリミチ役山崎裕太は、「あっぱれさんま大先生」や「グッバイ・ママ」(91:秋元康)などで活躍
  2. 劇中のショートストーリーは、「檸檬哀歌」

ゴダールの決別

原題:
Hélas pour moi (嗚呼、わが悲しみよ)
年度:
1993
製作国:
フランス/スイス
配給:
コムストック
監督:
ジャン・リュック・ゴダール

キャスト:
ジェラール・ドパルデュー/ロランス・マスリア/ベルナール・ヴェルレー/ジャン・ルイ・ロカ

ストーリー
ある夫婦を主人公とした物語で、神の降臨がテーマ。神と肉体関係を持ったその人妻の告白や、周辺の人々が彼ら夫婦の所在を説明、それと、彼らを物語の劇中人物として動向を追う語り部役の語りが入る。全篇に哲学的・神学的な引用がセリフとキャプションによって散りばめられる。静止した人物が動き出すなど、実験的手法多々。

 
 

評価
コメント
6
邪道を承知で巻き戻しつつ鑑賞。時間軸が掴みづらい上に、「映画言語の限界か」などと、メタ的セリフが入ったりと、彼の文法を受け入れないとキツい。そのクセ飽きるわけでも腹が立つ訳でもないけど。それにしても、あのペダンチックな「文章の数々」(映画なのに!)を逐一説明してくれる弁士さんが欲しい、と思いつつ再見を誓う。

雑記:

  1. ギリシア神話をモチーフにしたジャン・ジドローの戯曲「アンフィトリオン」に着想を得た。その中で人妻と関係を持つゼウス神が登場
  2. カンヌ映画祭審査員グランプリ
  3. 「神」の潰れた声色はマイクをのどぼとけにつけて発声したゴダール自身

トイ・ストーリー3

原題:
Toy Story 3 (おもちゃの物語3)
年度:
2010
製作国:
アメリカ
配給:
ディズニー
監督:
リー・アンクリッチ
キャスト:
トム・ハンクス/ティム・アレン/ジョーン・キューザック/ネッド・ビーティ/ドン・リックルズ/マイケル・キートン

シリーズ:
1/2/3

ストーリー
人間が見てないところで意志をもったおもちゃたちの世界。シリーズ第3段。前作から10年後。カウボーイ人形のウッディやスペースレンジャーのバズは以前のようにアンディに遊んでもらおうと気を引くがアンディはもう大学生に。寄付された保育園では持ち主はいないが代々遊んでくれる子供たちが。アンディのもとに帰ろうとするウッディと残ろうとする他のおもちゃ。しかしこの保育園は大変なところだった。

 

評価
コメント
10
IMAX3D鑑賞。素晴らしい。回を重ねるごとに完成度高まる。おもちゃは歳を取れない、という前作の主要テーマをもう一回?と思ってたが、この見事な料理の仕方に驚く。ともかくいきいきとキャラが立ち、伏線回収と大団円に至る脚本がキレにキレる。スペイン語バズに吹いた。そしてもう一度観たい。3Dでなくてもいいかも。

雑記:

  1. スクリプトに2年半。総製作期間は4年。
  2. 出てくるキャラクターは302
  3. アンディの苗字は「デイヴィス」。一瞬登場する高校の成績表より。
  4. 字幕がついたピクサー映画は「Mr.インクレディブル」以来。

浮き雲

原題:
Kauas pilvet karkaavat (漂う雲)
年度:
1996
製作国:
フィンランド
配給:
ユーロスペース
監督:
アキ・カウリスマキ

キャスト:
カティ・オウティネン/カリ・ヴァーナネン/エリナ・サロ/サカリ・クオスマネン

ストーリー
レストランの給仕長イロナは、夫の市電運転手ラウリと、貧しいながらも幸せな中年夫婦。ところが、レストラン買収で彼女も解雇されるなど、夫婦で失業。思うように職もなく、紹介所の斡旋のいかがわしいダイナーもロクなモンじゃない。やがてかつてのレストランのオーナーの取り計らいで、自分のレストランを経営する夢を与えられる。

 
 

評価
コメント
7
本棚はあるけど本はこれから、とか寂れたレストランを良くするアイディアが給仕とコックの見せかけ一人二役、、などのユーモアはもとより、ラストのお店繁盛の安心感は感情共有。妻の給料を取りに行ってボコボコにされ妻にTELし、「いま遠くに居る」という夫と、それを「絶対許さない」という妻。それでも花を受け取って家路。コレ良いよ。

雑記:

  1. カウリスマキ兄弟はフィンランドで、映画製作会社(ヴィレアルファ)、配給会社(センソ・フィルムズ)、映画館(シネマアンドラ)を設立・所有。評論家からのキャリアスタートでまさに映画漬け人生
  2. 製作時のフィンランドの失業率22%
  3. 子供の写真は、M・ペロンパーの子供時代

ザ・コーヴ

原題:
Cove, The (入り江)
年度:
2009
製作国:
アメリカ
配給:
アンプラグド
監督:
ルイ・シホヨス
キャスト:
リック・オバリー他
ストーリー
ドキュメンタリー。和歌山県太地町は伝統的な捕鯨地区。世界の水族館向けのイルカ供給産地としても有名。アメリカ人活動家リック・オバリーらはこの地で「隠密裡に」行われているイルカ漁に注目。イルカ漁の事実、その手法、水銀が多く含まれる肉を鯨肉と「偽装して」販売していること等を世界に訴えようと撮影禁止地区に忍び込み、隠された「事実」を告発する。

 

評価
コメント
9
ドキュメンタリーとして良質。良い映画。撮影手法や一面的・断定的な視点には批判もあろうが、それらを含めて活動家なりの義憤に基づく問題提起。映画のテーマはイルカ漁や捕鯨そのものよりも「隠蔽」に重きがあり、地元や日本政府やマスコミは耳を傾ける必要。日本版テロップは不要と思った。「扇情的な」血の海には特に何も感じなかった。カンガルー映画、誰か作らないのかね。

雑記:

  1. アカデミー最優秀長編ドキュメンタリー賞
  2. 岩に偽装したカメラの製作にはILM系の企業が。
  3. 日本公開版は顔にボカシ。また、「別の統計もある」などのテロップ入り。
  4. 日本公開には抗議運動が起こり上映中止が相次ぐ。ニコ動で先行限定公開など話題に。
  5. 国際公開版に映画の最後で映画に登場する水産庁役人について”deputy of fisheries for japan fired in 2008″(解雇された)と記されている。しかし実態は通常の人事異動とのこと。日本公開版に記載なし。

三人の狙撃者

原題:
Suddenly (サドンリー:「突然」)
年度:
1954
製作国:
アメリカ
配給:
UA/松竹
監督:
ルイス・アレン
キャスト:
フランク・シナトラ/スターリング・ヘイドン/ジェームズ・グリーソン/ナンシー・ゲイツ
ストーリー
アメリカ中西部の小さな町サドンリー。急遽大統領がお忍びでやってきて釣りに興じるのだという。警備体制が極秘裏に進められるなか、到着する駅を見下ろす高台の家にFBIを名乗る3人組がやってくるが彼らこそが狙撃手。リーダー格ジョンは戦争経験を経てその冷徹な殺しを誇示する。囚われた家族と保安官は犯人との会話の中に突破口を見出そうとする。

 

評価
コメント
6
きっちり伏線を回収する原点のような脚本。日本の占領と朝鮮戦争を終えた直後で戦争の悲劇が市井に広まった頃のアメリカ社会で、銃や戦争に正面から向き合う映画。「大統領も50万ドルにしか思えない。大統領を殺す意味がわからん」と嘯くシナトラは本質を突いている。その意味で「歴史的に」重要な作品だと思う。

雑記:

  1. 後にデジタルリマスターでカラー化されたバージョンも登場。F・シナトラの目がブラウンになっていて論争に。
  2. 後のケネディ暗殺事件(63)に影響を与えた可能性がある。オズワルドが少年期を育ったニューオーリンズでちょうどロングラン。また、暗殺前年にはTVでも放映。
  3. F・シナトラにとっては53年「地上より永遠に」から大スターへのステップになる重要な作品。