ノーカントリー

原題:
No Country for Old Men (老人にとって住みにくい国)
年度:
2007
製作国:
アメリカ
配給:
パラマウント/ショウゲート
監督:
ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
キャスト:
トミー・リー・ジョーンズ/ハビエル・バルデム/ジョシュ・ブローリン/ウッディ・ハレルソン/ケリー・マクドナルド
ストーリー
テキサスの荒野でハンティング中に、麻薬取引のこじれで凄惨な銃撃戦があった場所に出くわしたベトナム帰還兵モス。そこにあった200万ドルが詰まったカバンを持ち帰ってしまい、そのせいで冷酷な殺人鬼シガーに負われる身となる。老保安官エドはモスとシガーを追う先々で次々と殺人が重ねられていく。

 

評価
コメント
7
特に何が起こるわけでもないのにこの不条理な怖さはすごい。そして淡々と起こる殺人にすら諦めの境地で人生を「仕方なく」生きるように見える保安官が切ない。コーエンらしい粋なセリフ回し(ドラッグストアとの店員のやりとりが絶妙)。「ファーゴ」に似てるねやっぱり。T・L・ジョーンズよりもJ・バルデムの渋い演技が好き。

雑記:

  1. アカデミー作品、監督、脚色、助演男優賞(J・バルデム)
  2. 編集もコーエン兄弟だが、「ロデリック・ジェインズ」名義
  3. 原作コーマック・マッカーシー「血と暴力の国」
  4. 多くの原作の有る映画と違い、相当原作に忠実。シーンの順番やセリフも。
  5. J・バルデムは「運転ができず、英語も苦手で暴力も嫌い」という理由で断ろうとしたがコーエン兄弟から「だから声をかけた」と言われて受諾。

レリジュラス (Religulous)

原題:
Religulous (あほらし宗教)
年度:
2008
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
ラリー・チャールズ
キャスト:
ビル・マー他
ストーリー
ドキュメンタリー。アメリカの社会風刺コメディアン、ビル・マーが世界で支配的な一神教、すなわちユダヤ・キリスト・イスラム・モルモンの各教の信者や聖職者に会い、素朴な疑問をぶつけていく。神は何故今すぐ世界を救わないのか、ヘビが喋ったなんてほんとに信じてるの?など。聖地も訪れ、行く先々でキツい皮肉をお見舞いする。

 

評価
コメント
7
信仰の自由は保証されるべきだけど、科学的な教育の阻害になるのは明らかに有害。その意味でアメリカ保守層は全く支持できない。彼らが「終末の核ボタンの投票権」を持つことが恐ろしい。この映画が公開され、それなりに賛否を醸すことはとても健全(保守地域でも上映されてるとして)。また、コメディアンが政治を堂々と語ることが羨ましい。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. 「スピリチュアル・ジャーニー」という仮題でインタビューを申し込む。聖職者たちはビル・マーが来ることをその場まで知らされていなかった。
  3. 2008年イースター(3月)に合わせて公開の予定だったが脚本家組合のストと重なり結局10月にずれ込んだ。
  4. 2008年の米公開ドキュメンタリーで興収1位。歴代では現在7位(米公開ドキュメンタリー)。
  5. ビル・マーは父がユダヤ教、母がカトリック。自身はカトリックとして育てられた。
  6. 「レリギュラス」と発音しそうだが、ビル・マー自身が「レリジュラス」とわざわざ訂正しているCBSインタビューがある。

ONE PIECE FILM STRONG WORLD

海外タイトル:
One Piece Film: Strong World (国際=ワンピース映画: 強者の世界)
年度:
2009
製作国:
日本
配給:
東映
監督:
境宗久

キャスト:
田中真弓/中井和哉/岡村明美/山口勝平/平田広明/大谷育江/山口由里子/矢尾一樹/チョー/竹中直人/北島康介/皆藤愛子

ストーリー
漫画「ONE PIECE」劇場版10作目。海賊王を目指すルフィとその個性的な仲間たちの「麦わら海賊団」。冒険中に、故郷の「イーストブルー」が何者かに襲われたことを知る。そこへ、かつての海賊王ゴールド・ロジャーに敗れたものの脱獄していた「金獅子のシキ」が20年ぶりに現れルフィたちと遭遇する。

 
 

評価
コメント
5
劇場版初見。完成度の高い(ってまだ未完成だけど)漫画なだけに映画はかえって難しいのかな。仲間がさらわれて助けに行く、という普通の英雄譚はワンピース向きじゃないのでは。どちらかと言えば縦横無尽で綿密な舞台演出と(特に敵の)キャラ設計(多彩な「能力」含む)を楽しませて欲しかったなあ。いや、つまらなかったわけじゃないよ、うん。

雑記:

  1. 原作の尾田栄一郎氏が製作総指揮と映画ストーリーまで務めた。
  2. 他の作品は3月公開ばかりだったが、本作は12月公開。
  3. ブルック映画初登場

Dr.パルナサスの鏡

原題:
Imaginarium of Doctor Parnassus, The (パルナサス博士の幻想館)
年度:
2009
製作国:
イギリス/カナダ
配給:
ショウゲート
監督:
テリー・ギリアム
キャスト:
ヒース・レジャー/クリストファー・プラマー/ジョニー・デップ/ジュード・ロウ/コリン・ファレル/リリー・コール/アンドリュー・ガーフィールド/バーン・トロイヤー/トム・ウェイツ
ストーリー
現代のロンドン。「パルナサス博士」率いる移動式見世物小屋の一座。安っぽい大道芸と思いきや、パルナサス氏はかつての悪魔との契約で1000年生きている奇術師。舞台の鏡に入った者は自らの欲望の幻想世界を観ることに。博士の娘ヴァレンティナが16歳になれば悪魔と新しい契約をすることになってるが、そんなとき額に不思議なマークのある青年トニーが一座に加わり・・・。

 

評価
コメント
8
ギリアムさん遊び過ぎでっせ。楽しい映画。どう収拾つけるのが心配なほど散らかってた要素が綺麗に収束。選択に悩み過ちを繰り返すのが人生でありつまり苦行なのだよと。T・ウェイツ似合い過ぎ。そして幻想世界はもっとキモくできたと思うな。H・レジャーには良い遺作になったね。J・デップ前面の宣伝は仕方ないのかなあ。

雑記:

  1. トニー役H・レジャーが撮影半ばで急死。鏡の中の役を3人(デップ、ロー、ファレル)が引継ぎ映画が完成。3人はギャラ全額をレジャーの遺児に寄贈。
  2. エンドクレジット終了後におまけサウンド。
  3. 「バロン」(88)以来、T・ギリアムが脚本担当。ついでにいくつか作曲も(着メロ含む)。
  4. H・レジャーが女性たちを誘う即興文句は半分くらい本当に即興。
  5. 橋の下の首吊り自殺に使われた橋で、後に全く同じやり方でイタリアの銀行員が自殺。

パンズ・ラビリンス

原題:
Laberinto del fauno, El (牧神パンの迷宮)
年度:
2006
製作国:
スペイン/メキシコ
配給:
パラマウント/ショウゲート
監督:
ギレルモ・デル・トロ
キャスト:
セルジ・ロペス/マリベル・ベルドゥ/イバナ・バケロ/ダグ・ジョーンズ/アリアドナ・ヒル
ストーリー
1944年スペイン。内戦終了後もフランコ独裁の圧政下。軍大尉と再婚した母によって山間部の軍司令部に連れられてきた少女オフェリアは、ゲリラ掃討の指揮を執る残忍な継父に馴染めない。幻想の境目のような森の迷宮でオフェリアは牧神パンに出会い、自分が魔法の国の王女の生まれ変わりであることを告げられる。

 

評価
コメント
8
苦手なホラー系の描写が多くて一部我慢しながら観たけど、観て良かった。夢と現の境目をあえてぼかし、心情世界を敢えて現実世界の悲惨さに重ねて巧みに描写。幻想世界でも血と泥にまみれる彼女の姿に心を打たれる。アメリカ映画には観られないだろうラストにもカタルシス。それにしても邦題センスが悪すぎなのが残念。

雑記:

  1. アカデミー外国語映画賞ノミネート。美術賞、撮影賞、メーキャップ賞受賞。その他各国で受賞多数。
  2. ファンタジーと思われ子供づれ家族が大勢。そのため残酷なシーンが多いことをポスターで喚起。
  3. パンとペイルマン(目がないクリーチャー)はD・ジョーンズ二役。現場では唯一のアメリカ人であり唯一のスペイン語非話者。
  4. 英語字幕はG・デル・トロ監督自らが担当。過去に他人に任せた翻訳に不満。
  5. 歌手ビョークは本作に深く感動し、家に帰って1曲作曲。(Pneumonia)
  6. 2匹の虫も「チーチ」と「チョン」という名前でクレジット。「安らかに」とも。

ブタがいた教室

海外タイトル:
School Days with a Pig (国際=ブタがいた学校の日々)
年度:
2008
製作国:
日本
配給:
日活
監督:
前田哲

キャスト:
妻夫木聡/大杉漣/田畑智子/池田成志/ピエール瀧/清水ゆみ

ストーリー
4月。6年2組に新任で赴任した星先生は教室に生後間もない子豚を連れてくる。1年間みんなで育てて最後は食べよう、他の命を犠牲にしている命というものを見つめなおそう、という提案をする。子供たちは手作りの豚小屋を作りPちゃんと名づけ、とても可愛がって育てる。1年が過ぎようとするころ、いよいよPちゃんを食べるのかを決めなければならない・・・。

 
 

評価
コメント
6
初めてこの実話に触れたときほどの感動はなかった。それは、教師としての結論が自分の感覚とずれているからか。議論のシーンの迫力は鬼気迫るものがありとても演技とは思えない。正答がないなかで他人の意見の尊重し、かつ自分の意見を伝える、という技はオトナでも難しい。市場教育はやはり必要。

雑記:

  1. 1990年代前半に大阪の小学校で実際にあった話が基。
  2. 討論のシーンは7つのカメラ使用。台本無し。リハーサル無し。

名もなきアフリカの地で

原題:
Nirgendwo in Afrika (アフリカの名もなき地で)
年度:
2001
製作国:
ドイツ
配給:
ギャガ・コミュニケーションズ
監督:
カロリーヌ・リンク
キャスト:
レア・クルカ/カロリーネ・エケルツ/メラーブ・ニニッゼ
ストーリー
第二次世界大戦直前、祖国ドイツでのナチスの迫害を逃れて英植民地ケニアのロンガイの農場で暮らすことになったユダヤ人一家。ヴァルターとイエッテルの夫婦は慣れぬアフリカでの暮らしに戸惑い、時に諍う。幼い娘レギーナは異国の暮らしに順応し、現地の料理人オウアや子供たちとともにたくましく成長する。

 

評価
コメント
9
良い映画。違いにこそ価値がある。陳腐な箴言のようでいて、人の諍いのほとんどはそれを忘れてしまうことに原因があるのだ。夫婦のすれ違い、言葉の壁、文明差、文化や死生観の違い、そして、同国人なのに「よそ者」として逃げなければならない事実。そんな大人の事情をよそに、レギーナの屈託ないたくましさはどうだ。2人とも撮影現場ではさぞ才覚見せたんだろうな。

雑記:

  1. アカデミー外国語映画賞
  2. 原作シュテファニー・ツヴァイク。自伝。
  3. 監督C・リンクは「ビヨンド・サイレンス」(96)「点子ちゃんとアントン」(00)
  4. ドイツ語、スワヒリ語、英語

アバター

原題:
Avatar (「アバター」(化身))
年度:
2009
製作国:
アメリカ
配給:
20世紀フォックス
監督:
ジェームズ・キャメロン
キャスト:
サム・ワーシントン/ゾーイ・サルダナ/シガニー・ウィーバー/スティーブン・ラング/ミシェル・ロドリゲス/ジョバンニ・リビシ
ストーリー
デジタル3D映画。22世紀。急死した兄の代役として急遽太陽系外の衛星パンドラに送りこまれた下半身不随の元海兵隊ジェイク。パンドラでは青い肌と大きな眼の原住民ナヴィとしての化身(アバター)を神経接続で操り、ナヴィ社会に入る。目的は生態調査だが、貴重な鉱物資源の採取を目論む企業や軍と対立する。ナヴィの信頼を得るうちにジェイクに葛藤が。

 

評価
コメント
8
IMAX 3Dの最良の席で鑑賞。本映画の最大の功績は家庭視聴に押されてた「映画館」に再び足を向かせたこと。技術が新たな地平を築いた。だから勿論ストーリーだけ追えば「ポカホンタスの3D版」だしある意味浮ついた「エコ映画」。ただせっかく作った擬似世界の文化への踏み込みは甘かったのでは。食事や生殖がないし伝説の赤竜をどうやって?続編かな。

雑記:

  1. マイケル・ビーンが大佐役で検討されていたが、S・ウィーバーが既に決まっており、もう一回「エイリアン」(86)か、と思われることを避け変更。
  2. J・キャメロン監督は「タイタニック」(97)直後に本映画を撮るつもりだったが当時の特撮技術の見積もりで4億ドルの制作費。どのスタジオも予算組めず断念。本作は結局推定制作費2.8億ドルで史上最高。
  3. アバターは眉があり5本指。ナヴィは眉がなく4本指。
  4. ナヴィの言葉は言語学者ポール・フロマーが創作。1000ほどの「発音しやすい」単語が作られた。
  5. タイ語で海兵隊を表す単語は「Navi」。従ってタイではジェイクはNaviからNaviになった。
  6. 特殊効果スタジオの「二強」WETAとILMが共同制作した初の映画。

猛烈ロック教師 (Rock School)

原題:
Rock School (ロック・スクール)
年度:
2005
製作国:
アメリカ
配給:
ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督:
ドン・アーゴット
キャスト:
ポール・グリーン他
ストーリー
ドキュメンタリー。フィラデルフィアで9~17歳の少年少女を対象に、「ロックの学校」を運営する元ミュージシャンのポール・グリーン。本当のロック魂を身につけ、一流のロックスターになる為スパルタ式の厳しい指導。生徒たちもそれぞれの事情でロックを学ぶ。目標はあの伝説ミュージシャン、ザッパのフェスティバル出場だ。

 

評価
コメント
6
言うほどスパルタでもクレイジーでもなかったと思う。ロック好き熱血漢が大スターになれなかった夢を子供たちに託す、という割とよくある話では。演奏の上達っぷり(特にギターソロ)は本当に素晴らしい。監督の立ち位置が不明で若干不安。もの珍しいネタについての単なる密着取材に見えなくもない。ザッパネイルの様子はそれなりに感動。

雑記:

  1. 日本未公開
  2. 旧東ドイツ地域のBad Doberanで開催されるザッパネイル(Zappanale)は旧共産圏の東ドイツでザッパの音楽が禁止されていたことに由来。
  3. P・グリーンの教育手法には賛否両論。
  4. 「スクール・オブ・ロック」(03)はこの学校をモデルに
  5. “Paul Green School of Rock”は全米各地に分校開設中

みなさん、さようなら

原題:
Invasions barbares, Les (蛮族侵入)
年度:
2003
製作国:
カナダ/フランス
配給:
コムストック
監督:
ドゥニ・アルカン
キャスト:
レミ・ジラール/ステファン・ルソー/マリー・ジョゼ・クローズ/ドロテ・ベリマン/ピエール・キュルジ/イヴ・ジャック/ルイーズ・ポルタル
ストーリー
ロンドンでせわしく働く証券ディーラーのセバスチャンは、モントリオールの母からの電話で急遽しぶしぶ帰省。父レミの病状が悪化したというのだ。女グセが悪く母に迷惑をかけてきた父を軽蔑していたセバスチャンだが父が末期ガンで余命僅かだと知ると、父の望む最期を演出しようとする。病室を改造しかつての友人を呼び、、、。

 

評価
コメント
8
軽妙洒脱というのだろうか。一人の男の静かな死をそばに置きながらゆっくりと進む展開が良い。随所に出る監督(?)の歴史認識の会話が旧き良き左派の栄光を見るようで良かった。資本主義の結実のようなスワップ取引が理解できない社会主義者の父の姿、そしてそれが「滅びる」というモチーフなど、さりげなく仕込まれてる。

雑記:

  1. アカデミー外国語映画賞。
  2. D・アルカン監督は「アメリカ帝国の滅亡」(86)。本作はその続編的位置づけ。続編の上記賞受賞は初。
  3. 脚本執筆中に911テロ。「蛮族侵入」のテーマなので差し挟む。
  4. 病院の労働組合の組合員にD・アルカン監督がカメオ。上着背中には「Directeur」(監督)
  5. セザールの「最優秀フランス語映画賞」。カナダ映画の同賞受賞は初。